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保護者の力を借りるオランダの読書週間

こんにちは!オランダはどんどん気温が低くなり、毎日15度程度の日々が続いています。さて、9月に新年度が始まり約1ヶ月経ち、来週から毎年恒例の"kinderboekenweek"が始まります!


"kinderboekenweek"とは?

日本語に直訳すると「子ども読書週間」や「児童書週間」と訳せる"kinderboeknweek"は、毎年10月のはじめ頃にある恒例行事で、オランダにある多くの学校(特に小学校)で取り組まれる読書に関するイベントです。

今年も、この「子ども読書週間」に向けて、学校からこんな連絡がきました。

「今年の子ども読書週間は10月6日〜17日です!今年のテーマは"be what you want(なりたいものになろう)"ということで、初日から学校は異学年で本を読みあったり、テーマに沿った学習や読書で忙しくなります!」

オープニング/クロージングは学校全体で祝う!

このイベントの祝い方は学校によるとは思いますが、娘が通う小学校ではこの子ども読書週間のオープニングを盛大に祝います。

オランダには"kinderen voor kinderen(子どものための子どもたち)"と呼ばれる異年齢の子どもたちで構成されたアーティストがいます。日本で言うNHKなどで踊ったり歌っている子役のようなものでしょうか。

kinderen voor kinderenの子どもたちは不定期で曲をリリースしたりしているのですが、kinderboekenweekにはそのテーマに沿った曲を必ずリリースしてくれます。今年のテーマ、"worden wat je wil"の曲も「ダンス練習バージョン」や「歌練習バージョン」など種類を変えてYoutube上にたくさんアップされています。

彼らのリリースする曲はどれも耳に残るようなキャッチーなメロディばかりで、去年の"en toen?"も、今年の"worden wat je wil"も、大人たちが口ずさんでしまうくらい脳裏に焼き付くようなメロディーです。笑

動画を見ても分かる通り、子どもたちも踊れるようなダンスもあるため、娘の小学校では体育の授業で踊ったり、音楽の授業で歌ったりするようで、子どもたち自身もオープニングやクロージングで楽しめるよう学校のカリキュラムが構成されているように思います。

「保護者の助けが必要です!」とのこと

今年のテーマ"worden wat je wil(なりたいものになろう)"に沿って、娘の通う小学校では「社会の仕事」にスポットを当てています。
学校から送られてきたメッセージには、

「今年のテーマに合わせて、学校では私たちのクラスに来て、子どもたちに"仕事"の話をしてくれる保護者を探しています!ご自身の仕事にまつわる話を、是非子どもたちに聞かせてあげてください。また、groep1-2(年中、年長クラス)では、子どもたちに本を読んでくれるおじいちゃんおばあちゃんも募集しています!」

「なりたいものになろう」それはつまり、社会にはどんな仕事があるかを知り、それに携わっている人たちから話を聞くことかもしれません。去年のテーマは「旅行」だったのですが、娘のクラスのパパがKLMのパイロットだったこともあって、制服姿でクラスに来て話をしてくれたそうです。

コロナ禍であっても、こうやって子どもたちの学びを止めない学校の努力に対して、保護者としてとても感謝しています。

最後の日は「仕事」の格好で学校に来てね!

また、メッセージでは14日のクロージングについても言及されていました。

「14日のクロージングセレモニーでは、体育の授業を通して練習した"worden wat je will"のダンスも踊りましょう!そして、その時は子どもたちには「お仕事のコスチューム」で学校に来て欲しいと思います!」

初日から最後の日まで一貫して"worden wat je wil(なりたいものになろう)"というテーマに沿って過ごす子どもたち。娘は「バレエの先生の格好で行こうかな!」と、今からワクワクしています。

図書館や書店も協力、イベントも開催!

オランダでも子どもたちの活字離れが問題になっているそうですが、こういったイベントを通して改めて「読書の重要性」を啓発しているように思います。

その役割を担うのは学校だけではなく、図書館や書店も積極的にイベントを開催していくようです。もちろん子どもを持たない人にとっては目にも留まらないイベントかもしれません、また地域によっては「そこまで盛り上がっているように見えない」と思えるイベントかもしれません。

しかし、大切なのは少なくともオランダではこのイベントを支えるのが「学校だけ」にとどまっていないことなのではないかと思っています。「名ばかりのなんちゃら週間」ではなく、子どもたちのワクワクやドキドキを支えるために、社会が力を貸している。そこに魅力を感じます。

保護者の力をしっかり借りて教育活動を行おうとするオランダの小学校。

開かれた学校、開かれた教育づくりとは、学校が社会に向けて「助けてくれませんか?」「皆さんの子どもにとって大切な教育だから、一緒につくりませんか?」と懐を開くところから始まるのではないかと改めて感じています。

そして、それに喜んで協力できる人たちがいること。
教育に対して「当事者意識」を持って関われる人たちのもとで教育は成り立っていると感じます。

私たちの活動内容に賛同いただける方々からのサポートをお待ちしています。ご協力いただいたサポートは、インタビューさせていただいた方々へのお礼や、交通費等として使わせていただきます。よろしくお願いいたします!