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保護者へのメッセージ / 0歳-18歳の性教育

このマガジンでは、オランダの性教育について、またオランダで提供されている性教育のパンフレットや学校教材などについてご紹介しています。

Rutgersというシンクタンクが提供している資料の中には、4ヶ国語に翻訳されている「0歳-18歳の性教育」というパンフレットがあるのですが、このパンフレットでは、0歳-18歳までの子どもの年齢に応じてどのような性の変化があるのか、また保護者が具体的に何ができるのかが説明されています。

0歳〜18歳の子どもの性の発達

そのパンフレットの最後のページにある「結びのことば」とも言える、保護者へのメッセージがとても印象的だったので、最初にそのページを紹介したいと思います。

子どもたちの性教育を担うのは、学校と家庭です

「学校だけではない」この言葉にドキっとされた方も多いかもしれません。
「教育」とつくものは学校でなされて欲しい...そう思われるでしょうか。
しかし、オランダでは性教育は学校"だけ"の役割だとは考えられていません。ここに書かれている文言をご紹介します。

このパンフレットでは学校だけなく家庭でも性教育がなされるために、その内容をわかりやすく説明しています。そして、その性教育を行うところの責任は学校だけではなく、保護者にもあると言えるでしょう。

保護者とは、子どもにとって最も信頼できる存在であり、輝きながら生きている存在です。それは"大人の例"とも言えます。
そんな保護者は、自分の子どもが学校で性教育をどのようにして、どういったことを学んでいるのかということについて知る必要があると言えます。そして保護者は、子どもたちが学校で学んでいることについて、家庭で子どもと話し合う役割を担っています。

性教育は"母親"だけが担うものではありません

家庭での性教育を考えた時、父親もまた、母親と同じくらい重要な役割を担っています。父親は娘に対して、男の子や男性について語ることができます。また、息子がいる場合には、男性の身体が実際にどのようなものなのかを伝えることができます。もちろん、母親であっても息子に対して女の子や女性とは何なのかを伝えることはできるでしょう。そして、娘に対して女性の身体の変化や役割についても話をすることができます。

子どもと性教育について話すことは、子どもがセックスをするタイミングを早めることにはつながりません

実際のところ、性教育について正しい理解を身につけた子どもたちは、性に対する興味が少ないのです。そしてその後、遂にセックスをするとなった時、より安全な方法で(ピルとコンドームの併用)その行為に及ぶ傾向があります。性に対して正しい知識を身につけていない子どもたちの方が、性に対する興味が勝ることで、実験的に行為に及びやすくなります。

幼い子どもでも愛について考え、人との関係や性について考えています

赤ちゃんや幼児であっても自分の身体に興味を持ち、誰かに恋に落ち、8歳程度になれば男の子も女の子もそういった話をするようになります。つまり、幼い子どもたちであっても、愛について考え、人との関係や性について考えているのです。もちろんその方法は、より年上の子どもたちや大人とは異なるかもしれません。そのような発達を辿る子どもたちにとって、保護者はその発達を支える役目として存在し、時に助け、必要な支援を行うことが重要になってくるのです。

いかがでしたか?

このパンフレットは「保護者の言い訳」をバッサリ切っているように思います。笑

「性教育なんて、家庭でどうやって教えて良いかわからない」
「そういったセンシティブな話題は女性の方が向いている」
「そんな話をするからこそ、子どもの性への意識が加速してしまうのでは」
「幼い子どもにわざわざ性の話をするのは早すぎるのでは」

もし、このように考えている人がいるならば...いや、きっとオランダにもこういった考え方の保護者はいることでしょう。

しかし、オランダの性教育はその「タブー」を乗り越え、オープンに話すことができる社会のあり方がマイノリティを置き去りにせず、誰もが自分らしく生き、その「誰も」に社会に生きる人々全てを含むことができる...そんな人間を性教育を通じて育てていきたいと考えているのかもしれません。

次の記事では、このパンフレットの最初のページから紹介していきます。
ご興味があれば、是非一読していただければと思います!

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