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授業で11歳に聞かれた「日本のバレンタインって...」

「バレンタインデー」を題材に英語の授業をした水曜日。パートナーのSanjaが用意してくれた教材を持って、5つのクラスで授業をしました。

その時に、groep7(小5)のクラスで1人の女子生徒が私に投げかけた質問にとても驚いた話について書きたいと思います。


「大切な人」にメッセージカードを作ろう!

単独で授業をした時のことについては、前回の記事を読んでいただけるとわかりやすいかと思いますが、オランダの現地校の小学校で初めて単独で授業をしました!

急な連絡だったので、教材はパートナーのSanjaが印刷してくれていて、私は前日にその教材を確認して導入からどうしようかな〜なんて思いを巡らせながら眠りについたのでした。

授業日当日、groep7のクラスに行ったのは4限目。10〜11歳ということもあって、いわゆる思春期の生徒たちです。導入が終わって、生徒たちに、

「じゃあ大切な人にバレンタインのメッセージカードを作りましょう〜!」

と言ってカードを配り、生徒たちは思い思いに誰かを思い浮かべてカードづくりを始めたのでした。

日本に興味がある生徒とのおしゃべり

このクラスの授業は通常12時半まであるのですが、私はいつも娘のお迎えの都合で12時頃に退散します。よって、このクラスの授業には最後までいたことがありませんでした。

今日はせっかく最後まで(しかも1人で)授業をする日だったので、これまで時間をかけて話せてこなかった生徒たちのそばへ行って、進んで会話をするように心がけました。

その中に、日本に興味があるという女子生徒がいたのでした。

「日本に行ったら絶対食べた方がいいものはある?」
「日本に行ってみたいな〜!」


そんな風に話す彼女と色んな話をしていた時のことでした。

「日本にもオランダのようなバレンタインはあるの?」

その生徒は、
「日本にもオランダのようなバレンタインはあるの?」
と聞いてきたので、
「オランダのバレンタインはどういう風なものなの?」
と聞いてみました。すると、
「菜央が言ったみたいに、"大切な人"に愛を伝える日だよ」
と彼女は答えました。

「なるほど。日本では必ずしもではないけれど、バレンタインデーは女の人から男の人にプレゼントを渡したりする日って感じかな。その逆として、3/14にホワイトデーっていうのがあって、その日はプレゼントをもらった人、まぁ男性が多いってことになるけど、その人たちがお礼に何かを返す日になっているの」

すると、その生徒は他の女子生徒と顔を見合わせながら、
「"ホワイトデー?"そんな日があるんだね。苦笑」
と、言ったのでした。

それからすかさず、

「でもさ。じゃあ、女の人が女の人を好きな場合はどうするの?他にも男の人が男の人を好きな場合は?女でも男でもない人は?そういう人たち、日本ではバレインタインデーの日、どうしたら良いのってなるよね?」

と聞き返したのでした。そして、周囲の生徒たちも、

「うんうん。どうするの?困るよね?」

と言ったのです。

「男女を分けることへの違和感」が普通な子どもたち

その時、私は咄嗟にどう答えたら良いのかわかりませんでした。それは、質問のこたえがわからないからではなく、そんな質問が彼女たちの口からあっさりと出てくることにとても感動したからでした。

「本当にね。そんな風に分けるのって、おかしいよね」
そう言う私に、

「うん。少なくとも、このクラスで困る子がでてきちゃうよ」
と言ったのです。

私はこのクラスの生徒たちのセクシャリティについては知りません。でも「ひょっとしたらそうかな?」と思い当たる生徒は何人かいます。この時、私が話をした生徒たちはクラスメイトのセクシャリティについてちゃんとオープンに話をすることを終えていて、そういったクラスメイトへの配慮を念頭に置いて生きているのだとわかりました。

小5の子どもでも「一緒に生きていく」を理解している

先日、日本の岸田総理の国会での答弁のニュースを見た時、私はとても悲しい気持ちになりました。

「社会が変わってしまう」ってどういうこと?「変わってしまう」という言い方は決してポジティブな表現ではないと思います。

さらに、秘書官でもこんな発言が。

この報道を見た後だった私にとって、目の前の11歳の生徒が、日本の総理大臣でも大切にできない人権をあっさりと大切にできることに、子どもたちを取り巻く社会の寛容さを感じました。

もちろん、オランダという社会に差別や偏見が全くないと言っているのではありません。そしてもちろん、この生徒たちは「そう教えられた」ことによって、その知識を得ている訳ですが、彼らも彼らなりにクラスメイトや周囲を見渡して「一緒に生きていくこと」を理解しようとしているのです。

子どもたちに大切なことを教えてもらったこの日。
大人である私たちには何ができるのか?そんなことを問われた気がしました。






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