ショートショート「違法の健康」
たらはかにさんの毎週ショートショートnoteに参加してます。
今回のお題は「違法の健康」
違法の健康
「本気で思ってたよ。
革命を起こし、暁の天上戦士達に逆らう者はすべて消すと。暁の天上戦士達に逆らう者が健康でいるのは、違法にしてやると」
「でもその組織を抜けたんですよね?」
と、僕は彼に聞いた。
居酒屋の帰り、裏通りだ。
会社の先輩が、酔った勢いなのか自分の過去を話してくれた。
彼は昔、過激な教えの組織に入っていたと。
「病気になり弱っても組織はちっとも助けてくれなくてさ、弱い人間は用なしかよ何が天上戦士だインチキめ。そう気づいて抜けたよ。手術したら病気は治ったさ」
「よかったですね」
と言った後、僕は隠していたナイフを彼に向けた。
「暁の天上戦士達に逆らう者は消す」
「お前が組織の刺客なのか」
先輩は素手でナイフを握りつぶした。
「何?」
「こんなこともあろうかと、手術ついでに国が禁止している兵器を体に埋め込み肉体を強化したのさ。おかげでこんなに健康だ」
ありえないほど膨らんだ彼の右手に襲われ、僕は呟く。
「先輩、それはマジ違法…」
***終わり***
読んでくださってありがとうございました。
組織の名前は「暁の天X(あかつきのてんエックス)」で意味ありげな感じにして、構成員を「暁の奏達」で、組織のリーダー的な集団を「暁の天上戦士達」にしよう。などと設定を何時間もかけて考えましたが私は何をやってるんだろう。