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若宮大路 : SJO COFFEE 大村俊次郎さん


あ、こんなところに、地下にコーヒー屋さんがあるんだ!・・・と、フト、毎回思うけれど、海に行きたいから今日も通りすぎる。わたしにとって、SJOさんは、長年そんな秘密感溢れるコーヒー屋さんでした。

『鎌倉で深煎りなら、SJOさんは外せない。』

そんな、とある鎌倉住民の声を聞き、いそいそ向かった、秘密基地。

さあ、探検です!


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(ね? オトナの秘密基地感たっぷり)


えーっと。初めてなので、ぜひ最初に1杯。淹れていただいてもいいですか?

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おお。7人の焙煎家の中で、唯一のネルですね!せっかくなので淹れ方からお伺いしましょう。

Q どんな淹れ方が、おすすめですか?


お店ではネルで淹れています。ネルは口当たりがまろやかになるんです。お店ではすぐ飲むので、出てきたときにちょうどいい温度にしています。店と外では飲み方は違うので。テイクアウトは、一番最初の温度を高くしておいて、量を少し多めにし、冷めても大丈夫なようにしています。

お店の基本は、「13g、85度、130ml」これがうちの基本的なバランスの取り方です。これに少しずつ豆に合わせた調整を加えています。今回お出しする深煎りの、マンデリンは「13.5g、80度、130ml」ですね。基本バランスだとマンデリンのハーブ感の上に、1枚雑味みたいなものが引っかかる気がして。だから、少しだけ温度を下げて、その分、味が薄くなってしまうのを避けるため0.5gだけ豆を増やしています。

もちろんご自宅では、ペーパードリップが便利だと思います。
ネルのまろやかさとの違いは、ぜひ、お店にいらして味わってみて下さい。

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(85度とか、80度って、どうやって測ればいいんですか?)

お湯が沸くと100度。火を止めて98度。お湯が沸いてから、カップや道具や豆を、すべてを準備し始めるぐらいでいいと思います。また、お湯を器から器に入れ替えると、1回で4−6度温度が下がると言われています。お湯の入れ替えを、2−3回やるとちょうどいい感じでしょうか。

もちろん、”沸かして、しばらく置いておく”というシンプルさも、一つの手です。



Q どんな珈琲豆を、今回は?


マンデリンの深煎り
を、お出ししようと思います。
「深煎りならマンデリン」という人も多い豆です。世界でインドネシアのスマトラ島でしか作られていない豆。トバ湖の近くが産地で、ここでしかやっていない精製方法で、深く煎っても、フレーバーがよく出るんです。

上質な苦味。マンデリンでよく言われる、ミントとかハーブ系の風味で、なめらかな味わいです。普段、あまり苦いのを飲んでいなくて、ちょっと試してみたいなという方も、嫌悪感なく飲んでいただける深煎りだと思います。

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(深い洞窟のような、隠れ家のような席。)



Q 店主のこだわりを教えて下さい。


うちは、コーヒーしか、出していないんですね。
食べ物は一切ない。
持ち込みいただくのはOKです。僕も甘いものは好きなので、コーヒーと一緒に食べたい気持ちはよくわかるんです。ただ、作らない/作れない。だから持ち込みいただくのが一番早いなーと。

僕は、コーヒー屋さん。コーヒーでいい。
一人でやっているので、今は10が珈琲。もし甘いものを作るとすると、珈琲が7や8になる。性格的にそれは何か違うというか...。コーヒーのことだけで、10やり続けていたい。もちろんお金の面を考えると、コーヒーだけで食べていくのは大変です。でも、食べ物を扱えば、残ったものは捨てなくてはいけない。コーヒーだけだと、入るものは少ないけれど、出るものも少ない。長い目で見ると、僕は、コーヒーだけでいいと思うんです。

お店は6年経ちましたけど。コーヒーだけでも勉強することは、まだまだいっぱいあるんです。ソムリエさんはすごいと思うんですけど、国・品種・産地・製法・作り手の想い・・・全部言えるじゃないですか、ワインについて。珈琲の話は、覚えらんないんです笑 国・農園・品種・地域・豆・・・。そもそも名前がだいぶややこしい。あと、コーヒーの世界は、理系的な面もすごくあるんですね。化学的な話もいろいろあって。突き詰めると、覚えることはいくらでもあって、ほかのことに構ってる暇はないぐらい、正直いっぱい一杯です笑

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(コーヒーが10の店。店主の大村さん)


「お客さんに美味しい」って言ってもらえるのが、一番嬉しい。

美味しいって、目に見えないものじゃないですか。嗜好のものだし。僕の美味しいっていっているものが、目に見えないものなのに、相手の嗜好の一部に届いた!っていう。人と同じ共感が、得られた!っていう。「美味しい」が一番ですよね。「美味しい」って言ってもらって、何回もきてくれると、本当にうれしい。


Q コーヒーの未来を、どう考えていますか。


未来にもいろいろありますけど、せっかくですからコロナで自粛・・・ということで話をしてみましょうか。こういう時お店をするのは、けっこう大変ですからね。

喫茶店・カフェ市場は、実は1970年代をピークとして、ずーっと下がってきているんです。高度成長期の頃、脱サラなどで自家焙煎ではなく、卸から豆を仕入れて簡単に喫茶店をやるのが一つのブームのようになったんです。70年代は、誰でも喫茶店ができた時代。そこからずーっと下がっている。

コロナで、また減る。若い子たちがスペシャリティ・コーヒーを始めて、最近、珈琲の需要は増えてきているけれど、喫茶店の数そのものは減っていて。そんな中、コロナで飲食店が危ないと言われていて、みんな頑張って危機を乗り越えようとしている。通販も増えている。人口も減る。人対人で食べていくのが難しくなってくる・・・。

おそらくこれから先何十年生き残っていくためには、お客さんに来てもらう環境を作っていかないといけない。珈琲で切磋琢磨しつつ、つながりをどう持っていくかが大切になる。人とつながりつつ、感謝もしつつ、美味しいコーヒーをいかに提供していけるか。舌・技術・・・努力を続けないと、と思う。そして、つながりを持って来店していただける、実店舗のお店で飲む価値をどう生み出し続けていけるかが大切。それが未来になる。僕は、そんな気がしています。



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気持ちのよい、海への散歩道。
あたらしく立ち寄る場所が、鎌倉に1つ増えました。
「美味しい」の笑顔を見るために。
こだわりのネルの一杯を味わいに、また伺いますね〜!


fin.


■店舗情報
SJO COFFEE
住所:鎌倉市神奈川県鎌倉市由比ヶ浜2−9−62フォーラムビル101
業態:カフェ、テイクアウトあり
営業時間:12:00~19:00(自粛期)
定休日:木曜日
通販:オンラインショップあり(https://www.sjocoffee.jp)


『鎌倉コーヒー図鑑』

鎌倉の愛される焙煎家7人の豆を飲み比べられる、鎌倉ローカル協働住民が作ったアソートパック。もちろん、SJO COFFEEさんも、ご参加下さっています!
鎌倉まちごとオーケストラで、お取り扱いしています。(*時期限定)
HP : http://k-machioke.site
Facebook: 鎌倉まちごとオーケストラ
Instagram : kamakuramamachioke

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