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『ミッドナイト・スワン』追記

とても順調な興行成績を上げつつあるというこの映画、年間の割合から言うと邦画をそこまで多く見ているとは言えない人も見ているのではないでしょうか。自分含めて…

前回、書き忘れてしまった事があります。

多少ネタバレになるのかも…。
なので、まだ見ていない&情報入れたくないという方はご覧になってから以下をどうぞ。

   ***

海でバレエで生命力を得る少女、一果が海で踊る場面。
草彅剛氏演じる凪沙は体調が良くありません。そんな衰え、死にゆく身体で見つめる躍動感あふれる、美しい海辺の身体。

監督の意識がなかったとは到底思えないのですが、あの場面を見た映画好きだと「あ!」と思った人が多いはず。(だと私は思ったけれど、どうなのかしら?)

ヴィスコンティ監督の名作『ヴェニスに死す』で美少年タッジオを見つめながら、その美と若さに恋焦がれる作家アッシャンバッハが死ぬシーンと見事に重なるからです。
海と若さと加齢と死。

海、という存在もこの映画の中では色々意味を読み込むことができますね、そういえば。

個人的には一果が生母の元に居た頃のバレエ経験が気になるものの、「自習」だったのか、良く分かりませんでした。
書籍の方を読むと分かるのかもしれませんが。

バレエが「リアル」に日本でお金のかかるもの、そしてお金持ちの家の少女とレッスン代払うのも大変な家の少女という構図になっているのはちょっと前のバレエ漫画の世界を思い出させますね。バレエのパブリックイメージが変わっていないという事なのだろうな、とも思います。

この「バレエ」のイメージ~「リアル」はそう簡単に変わるとは思えませんし、変わらないかもしれないけれど~をどうにか少しだけでも大人も男女共に楽しめる「舞台芸術」としても知られて欲しい、それが伝わらないと豊かで楽しい、ダンス史・バレエ史が伝わりにくすぎて、と模索する日々です。

ダンス史・バレエ史は本当に要素が沢山で絶対楽しい! 豊か!それを伝え手行きたいと思うばかりです。
こちらの著書で是非どうぞ。









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