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青いTシャツと乙女心[2024/5/15(水)〜5/21(火)]



2024/5/15(水) 昼寝して、雨に降られて

ようちえんのぬらし絵の日。人数が多いため、今年は前半後半に分かれているが、我が家は後半組のため出発がゆっくりだった。7時半頃起きてきた娘と、のんびり朝ご飯を食べ、生協の注文や日記のアップなどを済ませる。

あ、お弁当作ってない!9時半になって、慌てて弁当を作る。ケチャップライスを炒めたものに卵を焼いて乗せ、オムライス弁当が完成。町民センターの坂道を自転車で駆け上る。ギリギリになってしまった!と急いで部屋へ入ったが、ちょうど前半組が終わって出るところで、後半組はまだ集まっていなくてホッとした。

ぬらし絵をする。娘の描く絵に、いろんな色が現れてくる。2歳の頃はすべての色を画面いっぱいに混ぜていた。それを思うと、画用紙のそこここにいろんな色が現れるのを楽しみながら描いていて、成長を感じる。「これは夕焼け」と言いながら「ゆうやーけ こやけーの 赤とんぼ」を鼻唄していた。

山に登る娘と分かれる。「2時にお迎えくるよね?」と何度も確認される。原稿に集中したくて、誰かに預かりお願いしようかな、と言っていたら、とても嫌がられた。「来るよ」と返事すると、「オッケー」と娘は親指を立てた。

帰宅。12時。お昼ご飯を食べる。食器の片付け、履いていたズボンがしわしわだな、とアイロンをかける。そんなことをしていたら、仕事をする間もなく、お迎え。

帰り際に久しぶりに駅前の小さな食材店Nでお買い物。野菜や、Tさんのカップケーキを買う。

家に帰り、バナナとチョコのカップケーキをそれぞれ半分に割って、二人で食べた。チョコレートが食べたい!と言われて、冷蔵庫の中から秘蔵の板チョコを出して2人でバリバリとした食感を楽しむ。

娘が「ストライダーする!」と言う。「お母さんはお仕事したいな」と言うと、車が来る道路まで出ずに、家の前でぐるぐるするから、私はウッドデッキでパソコンを開きながら見ていていい、ということになった。

「お母さん見て!」。始まる前に見られない、と言ったのに、やっぱり見て、と言う。仕方ないからたまに目線をあげる。屋根のないウッドデッキは暑くて長居するのは難しそうだ。

何度かぐるぐると回った末に、娘は転んだ。「大丈夫?」。声を掛けると顔をしかめながら立ち上がった。「もうおしまいかな」「もうおしまいだね。」そう言って、中に入った。

娘はひとりで遊び始め、私はリビングでパソコンを開いたけど、眠くなった。今日は久しぶりに3時に起きた。とても眠い。「ちょっと寝るね」と娘に断って、ソファにごろんと横になった。

「寒い」と思って目を覚ます。目を開けると、向かいのソファに横たわって目を瞑っている娘がいた。私と同じように昼寝したらしい。そろそろ出かける時間だ。娘が「うーん」と伸びをしたところで、「そろそろお出かけだよ」と声を掛ける。赤い頬をした娘は起き上がった。「まだ眠い」と言う。「まだ眠いね」と答えながら、食器棚から娘と私の分のお椀を取り出し、炊飯器に余っていたご飯を弁当箱に詰め、大根を洗って袋に入れた。

「もう靴履いたよ〜」まだ眠たいと言っていた娘は準備が早い。荷物を準備する私の方が結局「待ってて」と言うことになった。二人で自転車に乗って出かける。

今日オープンした地域の居場所でご飯会に参加。持ち寄った野菜を切る。娘も玉ねぎをくし形に切った。大きな鍋に入れて、お味噌汁を作る。

元文具店というその場所に保存されていたという文房具のガレージセールをやっていて、昭和なデザインのノートや文具を楽しく見る。子どもの頃、友達と文房具屋さんへ行って、好きな消しゴムやシールを買っていたのを思い出してわくわくする。

部屋に戻るとほとんどできあがるところだった。お椀に味噌汁をよそい、ご飯に炒り卵や誰かが持ってきてくれたソーセージを乗せて「いただきます」した。

にぎやかでわちゃわちゃしていて。娘はそういう場所で最初は私から離れない。苦手なのかな、と思いきや、だんだんいろんな人と交わっている。慎重なだけで、にぎやかで人がたくさんいる場所も決して嫌いではないのだ。

家に帰ろうという頃、雨が降っていた。今夜雨が降るなんて知らなかった。えいや!と外へ出て、自転車を漕いで帰る。

家に帰ると夫がいた。「お父さん会いたかったー!」と言いながら娘が家へ入った。夫は昨日も遅く、今朝も早かったから、娘にとっては久しぶりの再会となった。

私に続いて娘がシャワーを浴びる。呼び出し音がなって、お風呂場まで迎えに行く。あがってきた娘は「雨に濡れて寒かったから、あったまったぁ」とキラキラの水滴をまとって言った。


2024/5/16(木) 自分の力で登るチャンス

起きて仕事部屋にいると、5時過ぎに娘がトイレに起きてくる。トイレが終わると「一緒に寝て、ちょっとでいいから」と誘われる。ちょっとなら、と布団に横になる。娘が眠りにつきそうなところで、そっと布団を出た。

起きてきて、朝ご飯。ようちえんへ行く準備をしながら、「2時にお迎え来る?」と何度も確認される。最近原稿を書くので切羽詰まっていて、「誰かに預かりお願いできたら」など私がつぶやいているものだから、お迎えに来ないのではないかと不安に思っているらしい。

「〇〇ちゃんはお母さんにお迎えにきてほしいんだね」と言う。「そうだよ、だって〇〇ちゃんはポルサティラなんだから」。ポルサティラというのは、ホメオパシーのレメディの一つで、「6つの根本体質」と呼ばれるものの中で一番娘に合っているなと思う。娘の「ポルサティラなんだから」はつまり、甘えん坊でさみしがりということだ。

ようちえんの集合場所の果樹園跡地まで送る。「お迎え来るよね?2時?」と念を押してくる娘に「2時にお迎え来るからね!」と告げて帰った。

帰宅して仕事。お昼に娘のお弁当にとつくった、卵焼きやなすとピーマンの炒め物やおひたしなどを、全部ごはんの上に乗せて食べた。

仕事は思ったように進まないが、お迎えの時間。「見て!」と虫取り網を手にやってきた。ハンガーや玉ねぎのネット、竹の棒を使って、今日の活動の中で作ったらしい。玉ねぎネットを上手にハンガーに縫い付けてあった。「根気よくやってたよ」と園長に教えてもらう。

梅の実を持っている子がいて、ああもうそんな季節か、と思う。ようちえんが解散すると「梅の実取りに行こう」と娘を誘って、果樹園を左手に進んだ。もいだ梅に鼻を近づけてみるけれど、あまり香りがしない。まだ若すぎるのかもしれない。時を待つことにして、袋には少しだけ入れておいた。

近くに桑の木があった。木の下あたりに、ようちえんのNちゃん親子がいるのが見える。木に近づくと、木の中にようちえんのお友達のFくんの姿があった。まるで山猿のように、枝から枝へ渡り歩き、桑の実を食べたり、集めたりしている。

「下の方は子どもたちが食べちゃったから全然ないの」とNちゃんが教えてくれる。たしかに、下の方は赤い実ばかりで、熟れた黒い実はひとつも残っていない。手を伸ばして、上の方にある黒い実を取る。食べたり、「ほしい!」と言う娘に渡したりした。

Nちゃんちの年少のKちゃんが「あたしも登る!」と木を登り始める。小柄なKちゃんは身軽で、足の裏の摩擦でするすると登っていく。娘も登りたい、と靴を脱いだ。Kちゃんほどするするとは行かず、登ろうとしては足がすべってうまくいかない。何度目かの挑戦で「押さえて!」と言われて、娘のお尻を押し上げた。

やってしまってから、押し上げなければよかったな、と思う。私が手を貸さなければ自分でできたかもしれない。手を貸すのは簡単だし、その方が娘も私も葛藤はなくなるが、自分の力で登るチャンスを奪ってしまった。

だから続いてやってきたYくんが登る!と言ったときには、手を貸さずに見守った。何度も滑って、やっと乗り上げようというときにまた落ちて。手を貸してほしそうなYくんに「ここに足乗せてみたら」などの助言はしつつ、手は出さなかった。惜しいところで今日は登れなかったけれど、もしかしたら次回は登れるかもしれない。ようちえんのお友達だと見守れるのに、我が子ほど手を出してしまうなあ。気をつけよう。

娘とKちゃんは集めた桑の実で「桑の実屋さん」を始めた。「いらっしゃいませ」「桑の実ひとつください」「300円です」「これお願いします」。両手いっぱいに桑の実を持っている娘とKちゃんはお金を受け取れず、葉っぱのお金は娘のショートパンツのポケットに突っ込むことになったから、娘のポケットは葉っぱでパンパンになって溢れていた。

Nちゃんが木の枝にぶら下がってくれて、しなった枝に私が手を伸ばす。熟した黒い実が「桑の実屋さん」に大量入荷した。

口の周りが真っ赤になるまで桑の実を食べた。気づいたら夕方で、残った桑の実をお弁当箱に入れて解散する。

MちゃんちのAちゃんを連れて、MちゃんがいるEコーヒーへ。今日はMちゃんのおにぎり販売の日で、おにぎりとおかずを買って食べる。遅めのおやつのような、夕飯のはじまりのような。

2種類のおにぎりを娘と半分ずつ食べ終わると、「おにぎりもう一個食べたい」と娘に耳元で囁かれる。「え...」と固まって考えていると「言わないで!」と口を指先でつままれた。なぜかみんなに聞かれたくないらしい。ツナとフェンネルのおにぎりを一個追加して、また半分に分けて食べた。

「ドーナツも食べたい」という娘に「あとで注文するね」と言っていたら、あとから来たお友達が最後の一個を頼んでいた。「早く注文しないから」と娘が泣きそうになる。ちょうどそこへMちゃんのドーナツが届き、「一口もらえないかな」と聞いてみると、半分分けてもらえることになった。ありがたい。

Eコーヒーを出て、家に帰る。夕飯を作る。昨日駅前のNで買ったそら豆を、Mさんに教えてもらった通りに、さやから出してオリーブオイルでカリカリになるまで炒めて塩を振って食べたらとてもおいしかった。

持ち帰った桑の実は、弁当箱の中で寝た。


2024/5/17(金) 取り残された淋しさと誇らしさと

朝から取材で都内へ。ちょうど混み合う時間帯で、乗り換えの地下鉄の駅では駅員さんがロープを手に持ち、ホームへの入場規制をしていた。毎日のことだったらきっとげんなりするだろうけど、たまにのことなので、「This is 通勤ラッシュ!」とテーマパークにやってきたかのごとく、興奮する。

青山で体験型展示の取材。とても楽しんだ。

表参道の大好きな本屋、青山ブックセンターまで歩く。途中でふらりと立ち寄った山陽堂書店で、益田ミリさんの原画展が開催されていた。嬉しい。

青山ブックセンターでは、店内をぐるりと巡り、買おうか迷っていた書籍を買った。どうせ買うなら、好きな本屋さんで買いたい。

コンビニに立ち寄って、予約していたプリントをする。今夜参加するイベントで名刺を交換する場面がありそうだったのだが、今朝名刺が残り数枚しかないことに気が付いた。まったくもって準備が悪いことこの上ない。慌てて「緊急名刺」なるアプリで名刺をスキャンした。はがきに印刷して、このはがきをちょきちょきすると名刺サイズになるらしい。

どこかではがきをチョキチョキするのと、お昼ご飯を食べるのとで、カフェに入りたい、と思っていたらルノアールを見つけた。

入店したルノアールは、つくりがゆったりしている。右側のひとり用の席エリアは、同じ方向を向いていて、テーブルの向こうには衝立がある。半個室のような落ち着いて作業できるつくりになっていた。

一番安いブレンドコーヒーで830円、という値段にびっくりするが、これはもはや簡易のコワーキングスペースだろうと、納得する。この値段だから混まないし、ゆっくりできるのだ。コーヒーとピザトーストをいただきながら、はがきをチョキチョキして名刺に変身させていった。

1時間ほどして、六本木へ移動。立ち上げから3年間ライターとして関わっているウェブマガジンの3周年記念パーティへ出席した。不特定多数の人が集まるイベントは久々で、そわそわしながら向かったが、SNSでつながっていた会いたかった人たちやオンラインでは会っていたけれどリアルでは初めて会う人にも会えて、とても嬉しかった。

楽しい気持ちで帰る。恵比寿駅から満員のグリーン車に乗り込み、今日買ったばかりの本を読む。最寄り駅に到着して本をしまい、立ち上がると、車両の中は私だけだった。取り残されてしまったような淋しさと、気がついたらそこが私の王国になっていたような誇らしさと、同時に感じながら、電車を降りる。

家に帰ると、夫と娘はお風呂に入っていた。「ただいま」とお風呂場のドアを開けると、「おかえり、〇〇ちゃんのイルカショーはじまります」と夫が言う。「ジャンプ」の夫の掛け声で娘は湯船から飛び上がった。「水がかかるから前の人は気をつけてね」。たしか、GWに見たイルカショーでもそんなことを言われた。次の「ジャンプ」の合図で娘が勢いよく飛び上がり、湯船から大量のお湯がこちらへ飛んできた。そっとドアを閉める。

お風呂からあがってきた娘が「野いちごあるよ!」と冷蔵庫からビニール袋を取り出した。今日のようちえんで摘んできたらしい。「ありがとう」とひとつ口に含む。おいしい。冷えているのがまたいい。「まだ〇〇ちゃんも食べてないんだよ」と夫に言われる。おっと、二人で食べた残りかと思ったら、食べずに待っていてくれたらしい。2つ目と3つ目ももらった。

私がお風呂に入っている間に娘は寝る準備を済ませ、布団に入っていた。しかし私が来るまで律儀に待っていたらしい。私が布団に入ると、「手つなごう」と娘が言う。握ると、すぐに力が抜けていった。

布団から這い出して自室に移動し、電車の中で読んでいた本の続きを読み終えてから寝た。


2024/5/18(土) パーティの新しい風がやってくる予感

(実はこの日の翌朝から、原稿がスーパー切羽詰まっていて、「日記は翌朝書く」というルールが一週間ほど滞っていた。なのでここから数日の記録は、1週間ほど後に振り返りながら書いている)

夫が昨晩買ってきてくれていたお弁当の残りのからあげを朝ご飯にいただく。

今日は友人宅のホームパーティ。果物か何か持って行こうかと思ったら、夫が「バゲットがいいんじゃない?」と言う。バゲットなら、あのパン屋さんかな、と娘とパン屋さんへ。バゲットは3種類あった。どれが良いかわからないながら、週末限定のちょっと濃い味、というのに惹かれてそれを買う。

友人宅へは駅前からバスで。夫婦揃ってお酒を飲む想定だ。夫が昔海外で買ってきて、もう10年ぐらい眠らせていたお酒を持っていった。娘は、おばあちゃん作の真っ白なドレスを着ている。ドレスの下にはパニエを履いていて、ふわふわである。

友人宅にはすでにもう一家族が到着していて、女の子3人がわいわいと遊んでいた。娘はその輪になかなか加わろうとせず、夫と一緒にいた。私は子どもたち用にと炊いてくれていたご飯をおにぎりに握ったり、おしゃべりしたりしていた。

庭でBBQした塊肉の他に、タコスを用意してくれていた。焼けたお肉やレタス、アボカド、トマト、チーズ、フライドオニオンなどを自分で好きなように乗せて食べるスタイルで。以前同じ友人宅で、生春巻きをごちそうになった。自分で好きなものを乗せて食べるのが楽しく、以来、我が家で生春巻きパーティを度々するようになった。いつも新しい風を我が家にもたらしてくれる友人家のパーティスタイル。このタコスも流行ってしまいそうである。

子どもたちはロフトで映画鑑賞をすると言う。ひとりで行けない、と娘が言うから、一緒にはしごを登る。ソファに座ると落ち着いたようだ。ジュースやポップコーンを運ぶ。最高の映画鑑賞環境だなあ。ソファにぎゅぎゅっと並んで座っている子たちがかわいい。

大人はおいしいものを食べながらおしゃべりして、子どもは遊んで、とても楽しい時間だった。バスで帰る。お腹いっぱいで、夕飯は食べずに寝た。


2024/5/19(日) 青いTシャツと乙女心

朝、朝食を食べて着替えた娘が、自分の机に座り、何かになりきって見えない誰かに話している。
聞き耳を立てると、動物園の受付のようだ。

「駐車場にはゾウさんやトラやチーターがいます。ぶつかるとすぐに食べられることがあります。おけがもうしのため、大変なことが起こるので、お気をつけください」

怖い。そんな動物園入りたくない。

続けて「場内のあんないしょうじにはいっぱいの動物がいるのでそこを通らなければぶつかることや食べられることはありません。それではお進みください」と言うと、丁寧に頭を下げた。

GWに動物園に行ったが、受付で説明はあっただろうか。本当によく見ているし、オリジナリティもすごい。

やがて埼玉の実家から母が遊びにやってきた。少し娘と遊ぶと、みんなで駅へ。一緒に電車に乗り、私と母は隣駅へ。隣町の、様々な本が販売されるイベントへ遊びに行く。娘と夫はそのまま電車に乗り、野球観戦へ。娘は「お洋服買ってもらうんだー!」とチームのTシャツかユニフォームを買ってもらうのを楽しみにしていた。フリフリやヒラヒラが好きな娘が気に入る服はあるのだろうか。

母と町内に点在する様々なお店を巡り、本を手に取る。淡路島のZINEを作って売っている人に出会い、GWに淡路島を横断したばかりの私は、今度は降り立ちたい、と思わず購入してしまった。その他に良い絵本との出会いもあった。母が気に入った大型絵本があって「母の日」と言って私が購入する。そういえば去年もこのイベントで「母の日」をした気がする。

お昼ごはんにタイ料理を食べた。ずっと行きたかったがいつも並んでいて入れなかったお店。12時前は何組か待っていて諦めたが、13時半頃訪れるとすぐに席につくことができた。ゆっくりしたかったが、実は原稿が切羽詰まってて、という話を母にすると、早く帰って書いたほうがいい、ということになり、解散する。

家に帰って原稿とひたすら向き合う。

気がついたら夜で、夫と娘が帰ってきた。急いで夕飯を作る。試合の最後までは見ずに、途中で帰ってきたらしい。

娘は買ってきた、スヌーピーが描かれた青いTシャツを着てみせた。大人のSサイズを、だぼっとワンピースのように着こなしているのがかわいい。だが、娘的にはなかなか気にいるのがなくて、やっと選んだ一着だったらしい。それでも「これで電車に乗るのは恥ずかしいから」とスタジアムで元の洋服に着替えたとか。かなり洋服や自分のスタイルにはこだわりがある乙女なのである。


2024/5/20(月) いもいもチャンネル

雨の朝は、空気が揺れている。雨粒のバタバタする音。家の前の大通りを滑っていく車の音。原稿に向かう。

8時になって、娘のことを夫が起こしにいく。夫ものんびりしているのか、なかなか寝室から二人が出てこない。「おーい、ぽぽちゃーん」と私も立ち上がって寝室に足を踏み入れた。ちなみに娘の名前はぽぽちゃん、ではない。たまに実際の名前と違う名前で呼びたくなって、適当な呼び名で呼びかけてみることがある。「はーい!」と夫がごろんと横になったまま手を挙げる。「ぽぽちゃんはわたしでしょう」と娘が言う。

雨が降っていたのは朝だけで、ようちえんに向かう頃にはちょうどやんだ。集合場所まで送る。今日お当番の友達が「ようちえんの後(子ども)見てようか?」と言ってくれる。たぶん忙しくてギリギリな私を察してくれたのだと思う。とてもありがたく、甘えさせてもらう。

家に帰って集中して仕事。途中ミーティング。お昼ごはんに袋麺にキムチを入れたものを食べたら、具だくさんの辛ラーメンのようでとてもおいしかった。再び集中して仕事。

16時にお迎えへ。娘は友達の子どもとお菓子を食べていた。ずっとパソコンの画面とにらめっこしていたせいか、新緑がチカチカして見える。向こうの木々の葉っぱを眺め、しばし目を休めた。

帰ってきた娘がYouTubeの動画を見ている間にまた原稿を書く。原稿を書きながら、蒸したさつまいもを食べる。タッパーに入っていたいもは、いつの間にか消えていた。動画から目を離した娘が「これなにが入ってたの?」とタッパーを指さして言う。「え、いもだよ」と言うと、「〇〇ちゃんも食べたかったのにー」と泣き始めた。

いもぐらいで泣くなよー!と思うが、仕方ないから、プリプリしつつ、夕飯にもう一度さつまいもを蒸す。娘はご機嫌になった。

「いもいもチャンネル!」とオリジナルYouTubeが始まった。「はい、いもが嫌いな子は、どうやったら好きになれますか?」と質問すると、「皮をむいて、少しずつちぎって食べてみてね」と言う。「そこのボタンをピッと押してね」と言うのに応えて「ピッ」と口に出すと「チャンネル登録してくれたから、プレゼントあげます」と、さつまいもを一切れくれた。


2024/5/21(火) アーティチョークをしがんで

朝、ようちえんの集合場所まで送る。

私は集合場所近くの産直で野菜を買って帰宅。帰って仕事。ひとつの原稿を朝仕上げ、別の仕事の修正を取りまとめてデザイナーさんに送り、また別仕事の原稿を書き進める。今日も夕方まで友人たちが見てくれてありがたい。

16時半にお迎えへ。娘は遊んでいた。友達が「『〇〇ちゃん家ではこんなじゃないのに、男の子たちと遊んでると怒っちゃうのなんでだろ』って言ってたよ」と笑いながら話してくれる。娘は「もう!」と怒りながら男の子たちの世話を焼いているらしい。

家では限りなく甘えん坊な娘は、ようちえんでは違う姿を見せているようで、それが面白い。「こわいモードのときとやさしいモードのときがあるよね、いろんな立場を試してみてるのかな」と別の友達が言う。家でも一人でなにかになりきっているから、演じているような感覚なのかもしれない。でもそれを私に見られるのは恥ずかしいようだ。

娘と家に帰る。ぱぱっとあるもので夕飯。朝産直で買ったアーティチョークを、半分に切って、オリーブオイルで焼く。緑色の巨大な花のような、不思議な外見のこのめずらしい野菜を娘は大好きで、ペリペリと鱗のようなガクを一枚一枚はがしては、根元を歯で削るようにして食べる。

アーティチョークを最初に食べた人はどうしてこれを食べてみようと思ったんだろうね、と娘と話す。およそ野菜っぽくない。ガクのほとんどは固くて、根元のつぼみ部分しか食べられない。この不思議な野菜を思い切って食べようと思ってくれた誰かに、いつも想いを馳せ、感謝しながら、一枚一枚をしがむ。

夜。もう少し仕事をしたかったが、諦めて娘と寝る。翌朝の自分に託すことにした。




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