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新人マンガ賞で「荒削りだけどセンスが光る」と言われたい人へ②

新人マンガ賞で「荒削りだけどセンスが光る」と言われたい人へ①では、ごく少数の天才以外は「荒削りだけどセンスがある」作品を意図的に描くことが新人マンガ賞の入選やデビューへの近道だと描きました。

では、具体的にどんな描き方をすればいいのでしょうか。
私が考えるポイントは3つです。

①構図にこだわる
画力がない新人は、どうしても自分が得意とする構図でなんとか作品を描ききろうと思ってしまいます。その結果、人物のバストアップや顔のアップばかりになってしまい、審査員が「センス」を確認することが出来ません。
デッサンや遠近法がめちゃくちゃでもなんでも、とにかく俯瞰やあおりや、全身画、手や指先のアップなど、難しい構図やズームアップ・ズームアウトに挑戦し、こだわって描いて欲しいと思います。マンガは「きれいで整った絵」だけで構成されていなくていいのです。

②時間をかけた大ゴマを必ずつくる
見せ場のシーンは絶対に時間をかけたほうがいいです。コマも大きくして、そこに全神経、全エネルギーを注いで描いてください。
おすすめは、そのコマをペン入れの最後(最後の方)に描くことです。「このコマで終わりだ~!」という別の意味での感動も入り交じって、気持ちのこもった線になるので(笑)。それがすごくシンプルな主人公のアップだったとしても、全神経を集中して時間をかけて描いたことは絶対に画面にあらわれ、読者に伝わるものです。もしそのコマだけ浮いてしまったとしても、それが「良い違和感」となって強い印象を残します。

③うますぎる人はあえて「違和感」をつくる
①で小学生の絵画コンクールの例を出しました。小学生の絵の魅力をざっくり一言で言うなら、それは「違和感」です。
デッサンもおかしい、モノや人の大きさや比率、遠近法・・・いろんなものがおかしい・・・でも、「これが描きたいんだ!」が伝わってくる(ように見える)・・・。

反対の言い方をすると、「これが描きたいんだ!」という熱量に、技術が追いついていない画面・・・その「違和感」こそが魅力の源なのです。

マンガ家デビューを目指す人の中には、すでにもうとてつもなく技術のある人がいます。私なんかもう恥ずかしくなるぐらいの画力があり、デジタル技術も高く、ストーリーもきっちりうまくまとめられる人・・・。
そういう人は意図的にこの「違和感」をつくることをおすすめします。
どうやるかというと・・・
自分が「すんなり描けてしまったコマ」を見直してみてください。
何も考えずに描けてしまったコマは「クセ」で描いてしまった可能性があります。速く描ける実力は素晴らしいのですが、いじわるな見方をすれば、これまで読んできたマンガや実際に描いてきたマンガなど、自分の中のストックでうまくまかなってしまっているということでもあるのです。

あえてやったことがないことをやってみると、そこで「崩れ」ます。それが「違和感」という新人独特の初々しさ(と思われるモノ)につながるので、すでにうますぎる人は是非参考になさってください。


いかがでしたでしょうか。
私は幼稚園の年長さんのころ、すでに絵がうますぎて(笑)苦労した経験があります。あるとき個別面談で
「なおこちゃんの絵には夢がないんですが、ご家庭でなにかありますか?」
と聞かれたそうです。それに対して母は
「子どもらしい絵は2~3才のころの描き尽くして卒業しました。ご心配はいりません。」と答えたそうです(笑)。

そんな私にとって「荒削りだけどセンスが光る」なんて言葉は大嫌いな言葉ではありますが、是非皆さんは「ああ、それ、できますよ!」と軽やかにデビューを勝ち取って欲しいと思います!

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