見出し画像

マンガ学校で感じた、こんな授業があったら良いと思う!

現場で学生たちの作品を見ていて、キャラクターの喜怒哀楽の表現がもっと豊かだといいのにな…と感じることが多くありました。
それは絵のレベルがまだそこに到達していないということもあると思いますが、キャラクターの表情や仕草、行動にもっともっとこだわれば、キャラクターの性格や心情がより伝わるだろうなと思うからです。

私は俳優養成所に2年、シナリオスクールに1年ほど通った経験があり、さらに演劇集団キャラメルボックスの大ファンだったので(上川隆也さんを観に通いました!新宿シアターアップル!)、「演技」には興味がある方だと思います。俳優養成所の卒業公演では
「人間が・・・」
という短い台詞をそれこそ何十回もダメ出しされ(笑)、たった一言にこれほどこだわるのかと絶望的な気持ちになったものです(笑)。その絶望のまま舞台俳優の道はあきらめましたが、こうした経験がマンガを描く上で結構役に立っているなと実感しています。

演劇と違い、マンガ家はひとりですべてをこなさなければいけません。脚本、監督、配役、美術、照明・・・それに加えて演技指導(笑)もです。
マンガを描き始めたばかりだとそのすべてをこなすのは難しく、細かい部分はどうしても後回しになってしまいます。

でも、キャラクターがいつも棒立ち状態になってしまう、表情が同じで心情が伝わりにくい、変化の無い単調な画面になってしまうと感じている人は、こうした「演技をさせる」という意識をもう少し持ってみるといいのではないでしょうか。

マンガで言うところの演技とは「顔の表情」「ポーズ」「動き」だと思います。声の"感じ"や強弱はセリフのフォントやポイントで多少表現出来ますし、構図や仕上げなどの演出ももちろん関わってきますが、やっぱりキャラクター本人の演技が「大根」ではねぇ・・・。

例えば「あなたが好き!」と告白するシーンだとして、恥ずかしそうに言うのか、吹っ切れたように言うのか、自信なさげに言うのか…。だとしたら目線はまっすぐ相手を見るのかそらすのか、手は握りしめているのか、何かをいじっているのか…。
明るいキャラクターが「そのキャラらしい」演技をするのか、逆にいつもと違う意外な表情を見せるのか・・・。

また、登場人物たちがいる場所や手にしている小道具など、それらをうまく使って演技させてもおもしろいです。
自分がそこにいるつもりで、キャラクターになりきってどう動くか想像してみると思わぬ発見があったりします。

私の過去作品にある「呪いの古井戸」では、主人公がライバルに、テントの中で古井戸の伝説を説明するシーンがあります。主人公のブラックな一面があらわになる大切なシーンです。
そのシーンを描くとき、まず私はテントの中に何があるか考えました。キャンプに行った経験を掘り起こし「そうか、夜だからテントの中央にランタンが吊されているはずだ」と。すると、話しながらランタンをテントに吊したり触ったりする演技をさせられます。そして決めゼリフで主人公が振り返ったとき、ランタンの光が逆光になって恐ろしい顔に見えるというシーンにつなげることができました。

「呪いの古井戸」・・・デビュー2作目。昭和ドラマのようなレトロ感で、これもお気に入りの作品です。|尚桜子 NAOKO(漫画・美少女画・家づくり・考古学)|note

こうした演技は、頭の中でシュミレーションできるならそれでいいのですが、まずは自分で実際にやってみると分かりやすいと思います。バチッとはまる演技をさせることができれば作品の質もあがり、それは必ず読者(審査員)にも伝わるはずです。
そのためにも是非・・・

マンガ学校でも「演技」の授業をやって欲しい!

遊び半分、楽しみながらでいいと思います。マンガ学校に来る人は人前でなにかするのが苦手な人も多いと思うので、やりたくなければ見ているだけでもOKぐらいのゆるい感じで(笑)。
演劇の先生に「特別授業」のような形で年に数回お願いしてもいいかもしれませんね。要は「演技」という意識が生まれればいいので。

私が学生だったら絶対受けたい!と思うのですが…どうでしょう?


いただいたサポートは、妊娠・出産後のサポート活動の資金に充てたいと思います!