「新型コロナウイルス感染予防に関して(飛沫感染)」 -認知症とともによりよく生きる -

 認知症の人と家族の会福岡県支部の月刊広報誌「たんぽぽ」に「認知症とともによりよく生きる」という連載を行っています。今回、許可をいただいてnoteにも転載することとしました。 
 こちらの記事は、2020年10月号に掲載されたものです。 

 前回は接触感染についてお伝えし、手洗いと家庭外からウイルスを持ち込まない意識が重要だと説明しました。今回はもう一つの感染形式である飛沫感染についてお伝えします。

 飛沫感染とは、感染者の飛沫(くしゃみ、咳、つばなど)と一緒にウイルスが放出され、他の人がそのウイルスを口や鼻などから吸い込んで感染することです。この飛沫感染対策として重要なのがマスクになります。マスクは、感染しないためというよりも感染している人が周囲に広げないために有用です。新型コロナウイルスは症状が出る前が最も感染力が高いため症状がある人ではなくすべての人がマスクを着用することが求められています。実際、都市のロックダウンや社会的距離政策よりもマスク着用義務の方が感染対策として優れていたという報告もあります。布マスクにも一定の効果があることがわかってきていますが、最近よく見るようになった透明のフェイスシールドやマウスシールドは単独ではほとんど効果がないことも明らかになっています。

 この飛沫感染対策の一つとして距離を取ることが重要だと考えられ1mや2mの距離を取ることが推奨されていますが、最近の研究では感染リスクは人の密集度や密閉度によることがわかっています。いわゆる3密(密閉、密集、密接)がそろうと18.7倍感染しやすくなるそうです。これから寒くなる季節となりますが、常時換気をしておくことをお勧めします。当院でも、訪問診療の際に患者さんやご家族にマスクを着用することと部屋の換気をお願いしています。

 様々な施設でクラスターが発生していますが、休憩中や食事の際にマスクを外して会話をしたために感染が広がったことが多いようです。同居家族以外と会話をする際は必ずマスクを着用することを意識されてください。一方で、マスクをし続けることで脳が酸素不足となり頭痛が生じることもあります。周囲に人がいない状況や野外では適宜マスクを外されてください。


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