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そこまで調べているのです

私たちのカフェでは、翻訳家の谷口 由美子さんが、ご自身が手掛けた翻訳本の魅力を語ってくださる茶論トークを開催しています。
本の内容はもちろんのこと、訳すときの工夫などのお話は、大変愉しく、みなさん興味を示されます。

谷口さんは、原作者が生きていらっしゃったら本人に、既に他界している場合は親族の方などに、いろいろ質問をされたことも翻訳に活かす、そうです。

英単語の中には、たとえば、キリスト教関係の言葉だと、同じ言葉でもカトリックとプロテスタントで日本語訳が違ってくるものがあります

ジーン・ウェブスターが書いた児童文学「あしながおじさん」は、大好きな方が多い児童文学です。

孤児院で育った少女ジュディの文才が一人の資産家の目にとまり、毎月手紙を書くことを条件に大学進学のための奨学金を受ける物語で、ジュディが援助者を「あしながおじさん」と呼び、日々の生活をつづった手紙自体が作品の内容となっています。

作品では明確にしていませんが、ジュディが通っている大学は、ウェブスターが通っていた大学がモデルになっていると言われます。

さて
「あしながおじさん」の作中で、「ビショップがやってきてありがたい話をする」という場面が出てきます。
この「ビショップ」、カトリックでは“司教”、プロテスタントでは“主教”または“監督”と日本語に訳されます。

では、ジュディが通っていた大学はカトリック系なのでしょうか?
はたまた、プロテスタント系なのでしょうか?

谷口さんは、ウェブスターの母校に、ウェブスターが通っていた当時、その大学がカトリックであったかプロテスタントであったか、を確認する質問をしたそうです。

その結果、どちらかが判明したので、谷口さん翻訳の岩波少年文庫「あしながおじさん」では、ウェブスターが通っていた頃の日本語訳でビショップは訳されています。
さて、それはどちらであったか?
ぜひ、お買いになってお確かめください。

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