キプチョゲのトレーニングに学ぶ①:全体概観編

キプチョゲのトレーニングを分析するべく、とある公開データを集計しました。

マット・フォックス氏による、2017年9月24日に開催されたベルリンマラソンに向けてキプチョゲのアクティビティ(8月10日~9月19日)をトレースしたデータです。

合計41日間、午前コマ午後コマ、合計82コマで、どんな練習をしていたのか?

走行時間
集計期間の総走行時間(41日):約59時間40分
月間走行時間(30日):約44時間30分
日平均走行時間(1日):約1.5時間

走行距離
集計期間の総走行距離(41日):984km
月間走行距離(30日):738km
日平均走行距離(1日):24.6km

平均ペース
1kmあたり約3分35秒

【注】走行時間、走行距離、平均ペースは、以下を除いた算出値です。
 ・ポイントトレーニング中のリカバリーラン
 ・ウォーミングアップ、クールダウン

以下、午前枠・午後枠それぞれのトレーニングをもう少し詳細化します。

午前枠のトレーニング

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・火:トラック練習、木:テンポラン、土:ファルトレク。
トラック:一定距離(400m~1200m)を、繰り返し走る。(ペース:Interval~Marathon)
テンポラン:30kmまたは40kmを、Eペースで走る。
ファルトレク:一定時間(1分~10分)を、4~30本繰り返し走る(ペース:Threshold~Marathon)。

・月、水、金、日にはイージー・モデレートラン、モデレートラン、イージー・ビルドアップのどれかを実施。
イージー・モデレートラン:10~12kmを走る(ペース:Easy)
モデレートラン:18~22kmを走る(ペース:Easy)
イージー・ビルドアップ:18kmを、キロ6分程度から始めて終わり5~6kmを走る(ペース:Easy)

ThresholdとかIntervalといったペースの捉え方を知らない人は、以下の記事を参考にしてください。

午後枠のトレーニング概要

画像2

・午後に走る場合は、イージーランのみ。
・日曜日の午後は休息。
・午前中に激しめのトレーニングをした日(主に火曜日のトラック、木曜日のテンポ・ランなど)の午後も、休息。


この集計結果だけを見ると、キプチョゲの練習だという事前知識がなければ、到底世界王者の練習だとは思えない軽さです。息絶え絶えでフォームを崩しながら追い込むトレーニングは一度もしていません。

どんな練習メニューをこなすか

とおなじくらい、
その練習メニューとどう向き合うか
何を考え、何を意識してその練習メニューに取り組むのか

が大事なのかもしれません。


もうひとつ大事なことは、練習環境の違いです。以下の記事で述べたとおり、標高差や路面など、ペースや距離だけで単純比較ができない要素が多々あることはふまえておくべきです。


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