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【音楽】2019年ベストアルバム

No.10 Shafiq Husayn/The Loop

エリカ・バドゥ、アンダーソン・パーク、ロバート・グラスパー、ハイエイタス・コヨーテら、豪華客演。ロサンゼルス音楽シーンの中心で暗躍(?)してきた鬼才プロデューサー、10年ぶりのアルバム。スペーシーでトライバルナビートをベースに、ジャズ、ソウル、アフロ、ハウスなどさまざまなジャンルを無理なく横断する圧倒的センス。個性的な客演陣のパワーと、作りこまれた一音一音のクオリティがものすごく、17曲1時間16分ずっと濃密な音楽体験が続きます。

No.9 Dos Monos/Dos City **

荘子it、TAITAN MAN、没の3名からなる日本のヒップホップユニット。近年、欧米ヒップホップのトレンドを反映して、トラップビートや英語的な発声が主流になる日本ヒップホップの中で、どこか90年〜00年代の前衛日本語ラップの雰囲気を思わせる不穏なトラックとラッピングが印象的。一周回って海外での評価のほうが高いというのも面白い。リリックの繋がりや文脈がわかるようでわからない絶妙な難解さで、聴き手も気を抜けないグロテスクな言語遊戯が楽しめます。

No.8 Thank You Scientist/Terraformer

サックス、トランペット、ヴァイオリン奏者を含む7人組の米プログレッシブ・ハードロックバンド。メロコアやパンク好きにもリーチしそうな根っからの明るさ!でも、音色やフレーズの随所にインディーロック好きがふと立ち止まるそうな滋味溢れるセンスが感じられ、バカテクフュージョンのようなオヤジ臭さがないのがよいです。一言で言うと明るいマーズボルタみたいな感じ(超適当)のイケイケバンド。

No.7 Tajyusaim Boyz/スリルドライブ

「マツコ村上 月曜から夜更かし」でのフックアップで一気にスターダムに駆け上がり、まさに2019年はTajyusaim Boyzの年だった・・・・・・というのは明らかに言いすぎだけど、ドラッグも殺人も縁遠い日本の一般リスナーの心を最も揺さぶったラップソングは「リボで買う。」だと思います。「TWICEと付き合いたい」「あれもこれもリボで買う」など、知性のかけらも無い(ように思える)楽曲が鋭く映し出すのは、失われた30年と併走してきた日本の若者たちの「m.a.a.d. city」の現実。

No.6 土岐麻子/PASSION BLUE

土岐麻子さんのやっている音楽はなかなか素晴らしいとかねてより耳にしてたのですが、初めて聴いたアルバムになります。シティポップ三部作の掉尾を飾る作品ということで、前作前々作も聴いてみたのですが、いずれの作品も素晴らしくビビりました。本作の楽曲が1番現代的で知的でいろいろ示唆に富んでいて面白かったです。どっちにしろ視聴率が取れないなら、Mステも過去のヒットソングを無理やり再構成する企画物をやるより、こういうアーティストの良曲をフックアップしまくる企画をやってほしいです。

No.5 おとぼけビ~バ~/いてこまヒッツ

「恋愛における執着とか、怒りとか、ネガティブな感情」を「ストレートなハードコアパンク」の形態で楽曲にして、それがすべて「すべらない」という圧倒的なセンス。卑屈と自嘲を自覚しながら、それでも忠実に女性の欲望を爆音で叩きつける。その求心力に拍手喝采です。

No.4 Friendly Fires/Inflorescent

8年ぶりの新譜で、ヒットチャートのハウスっぽいトレンドに目配せをしつつ、きちんとフレンドリーファイア印で全曲ごりごりに踊らせるダンスミュージックに仕上げてきているのは流石の一言。アルバムごとにどんどんメジャー感をアップさせてるのも素晴らしい。

No.3 GoldLink/Diaspora

GoldLink、最高のアルバムしか出さない説。Zulu Screamsみたいなアフリカ音楽の強烈なビートを露骨に取り入れた曲を含みながら、全編通して聴いてもとっ散らかった印象はなく、センス発群のヒップホップビートをたらふく満喫した悦びだけが残る。2〜3分で曲がサクサク終わるのもよいですね。

No.2 Jay Som/Anak Ko

活躍を見せる女性シンガーソングライターの中でも、抜群のソングライティングで僕の心のやらかい場所を締め付けてくるサンフランシスコの注目株。ドリーミーでささやかな幸福感に満ちた楽曲。囁くような歌声についで流れ出すアコースティックギターや、ファズで歪んだたどたどしい(けれどやけに耳に残る)リフなど、まぁインディーしぐさ、と言ってしまえばそれまでなんですけど、2019年の耳をこじ開けて届いてくるたしかなエモさがありました。

No.1 Bronze/EAST SHORE

韓国インディーレーベル「8BALLTOWN」のプロデューサーがリリースした超名盤。普段アイドルグループしか聞かないK-POPリスナーからうるさ型の音楽ファンまで、誰でも楽しめる珠玉の9曲。永井博のジャケットの美しさと、EAST SHOREという洒落っ気のあるタイトル、何より単なるオマージュにとどまらないシティポップの現代的再解釈!

洗練された音楽よりは異物感のある音楽のほうが気分に合った一年でした。聴く側のコンディション次第ではSolangeとかが入ってた気がする。

年間ベスト、初めてnoteに記録してみましたが、Twitterよりまとめて書けるので良いですね。

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