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インソール作成の為の足部解剖学〜後足部(距腿関節)②〜


おさらい

距腿関節の特徴としては
・内果が高く、外果は低い
・膝関節軸に対し、30度外旋(外捻)している
・関節面が斜めである為、背屈に伴い回内、底屈に伴い回外する
・底背屈に伴い腓骨も動いている

距腿関節の動きを見るときのポイント

正常歩行を行う為に必要な可動域としては
膝関節完全伸展位で背屈10度 底屈20度と言われている。

結果の出せる整形外科理学療法 より引用

ポイント①
・距骨下関節中間位
・長軸と下腿軸を合わせる  この2つを意識する

ポイント②
底屈・背屈時生じている関節内の副運動を意識する

<背屈時の副運動>
距骨は関節が中に取り込まれるように動きながら、後方へ下がる

背屈運動時は距骨の入り込みと踵骨が押し出される動きが生じる為、
動かす際は踵骨距骨頭を触れて、背屈時踵骨が押し出される感覚距骨頭が入り込む感覚を感じ取りながら動かしていく必要

<底屈時の副運動>
距骨が関節内から前方へ転がるようにしながら前方に出てきて、
そのまま下がってくる

踵骨を触れて、底屈時踵骨の入り込む感覚を感じ取りながら動かす
踵骨の動きが不十分だと前足部だけが動いてしまう
TA(前脛骨筋)の過緊張でも前足部の過剰な動きが生じてしまう

底屈運動時は足部後方の踵骨の入り込みが生じる為、
動かす際は踵骨を触れて、底屈時踵骨が入り込む感覚を感じ取りながら
動かしていく。
踵骨の動きが不十分であったり、TAなどの足関節前面筋の硬さがあると前足部での代償が生じてしまうので注意深く動かすことが大切。

ポイント③
足関節中間位に加えて、内外反位、内外転位を含めた3次元で動きを考える。

距腿関節は関節軸の関係から底屈・背屈の運動方向に加えて、回外・回内の要素が加わる。
その為、可動域制限を評価する際は足関節中間位、内外反位、内外転位で可動域を評価していくことが大切になってくる。

足長軸と足関節軸で足関節周囲にある筋肉を
背屈筋・底屈筋・内反(回外)筋・外反(回内)筋分けた図

<前面の筋群からの影響>
・背屈筋群は距腿関節に付着しない為、筋肉による関節制限は生じにくいが、距骨の動きにより制限が生じてしまう。

Visible Bodyより引用
足関節前面にある筋群は距骨に付着しない
Visible Bodyより引用
足関節前面にある筋群と靱帯により、距骨を後方へ引っ張る動きが生じる
背屈時、距骨が後方へ移動することで骨同士が当たり固定される。

距骨が何らかの影響で前方へ出てしまっている場合などは背屈時やしゃがみ込みの時に足部の前側に痛みが生じやすくなり、
逆に距骨が後方へ移動し過ぎていると距骨の骨性安定機構が早期に生じてしまい関節可動域制限が生じやすくなってしまう。
              ↓
足部前面の筋群は適度な筋緊張が必要になっている

※距骨の前方位は底屈時にも影響を与える

距骨が前方位になっていると底屈最終域で距骨後方部がぶつかりやすくなり骨棘が生じやすくなる。
→底屈最終域で足部の後方の痛みが生じやすくなる

<後方・内側の筋群からの影響>
長母趾屈筋と後脛骨筋の硬さが背屈時に影響してくる

長母趾屈筋は距骨の窪みにしっかり入り込み、そのまま載距突起の下を通って
その後母趾の下までいく
プロメテウス 解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第2版 より引用

長母趾屈筋は距骨の後方にある窪みに入りこみ、載距突起の下を通る為、収縮すると距骨を前方・外転誘導する作用がある

後脛骨筋は載距突起の上を通って、
舟状骨、内側・中間・外側楔状骨、立方骨、第2〜4中足骨の底に付く
プロメテウス 解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第2版 より引用

後脛骨筋は舟状骨、内側・中間・外側楔状骨、立方骨、第2〜4中足骨の底に付着する為、収縮すると中足部が前方へ回転するような動きが生じる。
その時、距骨を一緒に後方へ動かす為、後方誘導させる作用がある。

長母趾屈筋と後脛骨筋は同じような走行をしているが、付着する部分が違う為、背屈可動域制限の制限因子を評価する時、内反・外反・内転・外転を加えて長母趾屈筋と後脛骨筋のどちらが影響しているか確認することが大切になってくる。
背屈+内転で制限。加えて母趾伸展制限+・・・長母趾屈筋
背屈+外転+外反で制限・・・後脛骨筋

<外側の筋群からの影響>

Visible Bodyより引用
Visible Bodyより引用

腓骨筋は外果と距骨の間を通る為、硬くなっていると背屈時距骨の入り込みと後方移動を邪魔してしまう。

筋の走行による制限のまとめ

<下腿三頭筋が制限因子の場合>
  →足関節中間位での背屈に加えて外反方向への動きを出した際に
   制限が生じる
〜理由〜
距腿関節の関節面は斜めになっており背屈に伴い回内の動きが加わる為、硬くなっていると足関節中間位での背屈・外反が制限される

<長母趾屈筋が制限因子の場合>
  →背屈+内転+母趾伸展の動きが制限される。
〜理由〜
①硬くなっていると距骨を前方へ押し出してしまう
②距骨の内側後方を走行する為、硬くなっていると足関節内転時の距骨の内側後方への動きが制限される
 →これで距骨が前に出ているかを確認できる
③母趾の下に付着する為、背屈により伸張位になることで、硬くなっていると母趾の背屈が制限される
※母趾の背屈を評価する時は足関節背屈位で母趾球を押さえた状態で母趾を背屈していく

プロメテウス 解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第2版 より引用

<後脛骨筋が制限因子の場合>
  →背屈+外転+外反の動きが制限される
〜理由〜
内果と載距突起の間を走行し舟状骨、内側・中間・外側楔状骨・第2〜4中足骨底に付着。
足部の内側から中足部の底面にかけて広がっている為、硬くなっていると外転・外反方向の動きが制限される

<腓骨筋が制限因子の場合>
  →背屈+内転の動きが制限される
〜理由〜
第三腓骨筋の停止が第5中足骨の背面に付着
短腓骨筋の停止が第5中足骨の外側の粗面
長腓骨筋の停止が第1中足骨の基部
3つとも腓骨が起始部であり、外果の後方を通る。
その為、硬くなっていると背屈+内転の動きが制限される

※短腓骨筋・長腓骨筋・長母趾屈筋の判別方法
長腓骨筋:背屈角度を上げ、踵骨を固定した状態で足部を内転させる
   (停止部が第1中足骨の基部まで行っている為)

短腓骨筋:背屈角度を緩めた状態で回外させる
   (停止部が第5中足骨の外側の側面まで行っている為)

長母趾屈筋:足関節背屈位で母趾を背屈させる
   (停止部が母趾の末節骨の下面まで行っている為)
〜余談〜
短腓骨筋と長母趾屈筋は筋膜連結をしており、長母趾屈筋の硬さが腓骨筋から生じていることがある。

骨格筋の形と触察法 より引用

<前脛骨筋が制限因子の場合>
  →底屈+前足部外反の動きが制限される
〜理由〜
停止部が第1中足骨底及び内側楔状骨であり、硬くなっていると底屈時前足部が下がらず、内反する代償が生じてしまう為、底屈+前足部外反の動きが制限されてしまう。
※底屈時は前足部の動きと一緒に踵骨の後方の入り込みがしっかり得られているかを確認することが大切になってくる。
一見底屈が出ているかのように見えても底屈に伴い前足部の内反が動きくなる場合は前脛骨筋が硬くなっていて、前足部の動きは出ていないが、踵骨の入り込みが少ない場合はまた違う要因がある。

背屈が硬い=下腿三頭筋?長母趾屈筋?となるのではなく全方向を確認した上で関係している筋肉の硬さや筋硬結をチェックすることで制限因子が何か特定することが大切になってくる

まとめ

足関節の評価の上で最も大切と言っても良いのが底背屈の評価です。
その底背屈の動きに1番関与しているのが距腿関節になります。
足部は身体の土台になっている為、底背屈の制限が生じていると近くにある膝関節だけでなく、上半身にまで影響を及ぼすことがあります。腰や膝などの慢性的な疼痛や上半身の使い方が悪い時に足部からの影響を考えるようにすると思わぬヒントが得られたりします。
その際、足部の底背屈の可動性、制限、制限因子を評価できることがとても大切になってきます。
次回は後足部のもう1つの大きな関節である距骨下関節についてまとめていきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。


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