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次に住むのは、火星かメタバースか

私は、2020年に仮想通貨取引を始めて、初心者研修としてバブルの最中に資産を減らしながら、徐々に界隈の人たちが盛り上がっている技術や未来について触れ、あれよあれよという間に仮想通貨取引所に転職するに至りました。

仮想通貨と聞くとギャンブルのようなイメージがあるかもしれませんが、お金儲けを超えて、その先の未来に興奮している人が多くいらっしゃいますし、私も新参者ながらその中のひとりです。

このnoteは、なぜメタバースという言葉が流行り出したのかという”過去”と、メタバースに向けた技術の発展が”現在”どのように進んでいるのかについて、自分の理解を書き殴ったものです。
至らない部分も多くあるかと思いますが、一つの見方として楽しんでいただけたら嬉しいです。

ネット上に"住む"ことはできるのか

ネットサーフィンと呼ばれるように、ネットは使いこなすものであり、住むものではないというのが一般的な理解でしょう。しかし、ここ半年くらいで急激に注目を集めている"メタバース"とは、ネット上の生活空間だと理解しています。言葉そのものにはいろんな定義があるのですが、この記事内ではそういった理解で読み進めていただけると幸いです。

「地球にはいつか住めなくなるから、火星に住もうとしてるんだよ」と幼い頃に聞いたことがあるのですが、それと似た感覚で、ネット上に住むという試みであり、宇宙旅行並みにロマンのある話なのです。つまり、この定義において、"メタバース"という言葉そのものは、ブロックチェーンとは本質的には関係ない概念であると整理できます。

では、なぜ最近になって、メタバースが騒がれ始めたかというと、VRの発展やブロックチェーン技術のメタバースへの応用が進んだことで、ずっと先だと考えていた未来が、急激に近づいていることに多くの人が気づいたからではないかと考えています。

火星の例ばかりで恐縮ですが、「火星に行くなら、宇宙服をずっとつけて、お店もないので宇宙食だけで、通貨もみんなバラバラのを使ってて、いつ宇宙人が攻めてくるかも分からなくて」という状態では、誰も移住したいと思いません。しかし、今のメタバースの状況は「近々、宇宙服もいらなくなるし、最近は飲食店もでき始めました。通貨も共通のものが決まりそうで、宇宙人と和平交渉中です」というニュースが流れ、隣の家の長男が火星に土地買ったらしいという噂を聞いたみたいな状況です笑

メタバースは"第二次市民革命"となり得るのか

映画やドラマでは、"人類が仮想現実(=メタバース)で生活する未来"はよく描かれてきましたが、想像できるということは、天才たちがそれを実現させてしまうというのが世の常です。つまり、遅かれ早かれ、また程度はどうであれ、メタバースライフが一般的なものとして実現することは、ほぼ間違いないと思っています。

そして、ここ数年で ①価値観 ②映像技術 ③ネット上の経済 という3つの観点で、メタバースの実現が大きく近づいています。具体的には以下のような変化なのですが、ここでは項目だけ挙げて、この後の章でそれぞれを詳しく書いていきます。
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①ネット上で交流が当たり前である世代の登場
②見る映像から、自分が入り込めるVR技術の進化
③リアルな経済とは切り離された、誰からの規制も受けないネット上の経済圏が誕生
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メタバースに向けて複数の領域で進化が続いている

ここで面白いのは、③を支えると考えられているブロックチェーン技術は”権力なんてクソ喰らえ!"という精神に基づいて作られており、メタバースの実現は第二次市民革命になり得るのではという点です。すでに、メタバースの世界に移行としようとするイノベーターと、それを規制する既存勢力という略図が、徐々に顕在化してきているように感じます。

ちなみに、私としてはまだどちらが良いとは言い切れないのですが、今の仕組み自体はもっと改善の余地があるという意味で、イノベーターサイドの動きにとても興味があります。

前提が長くなってしまいましたが、ここからは、上記の3つの要素を詳しくみていきたいと思います。

1. "価値観"~メタバース1.0の誕生~

先述した通り、広義の意味でのメタバースというのは既に一定生み出されているのですが、ネット上で"生活する"という価値観に近いレベルまで押し上げたのは、この数年で特に若者の間で台頭してきたFortnite・APEX・Minecraftなどのコンシューマーゲームでしょう。

ゲームは"趣味の一つ"から"もう一つの世界"へと変わりつつある

特にZ世代と呼ばれる世代では、見ず知らずの人とゲーム上の空間で、リアルタイムに協力したり対戦したりするのが当たり前になっています。"メタバースだ!"と騒いでいる私たち大人を尻目に、Z世代の方々にとっては別に新しさもないというのが正直なところなのではないでしょうか?

eSportsに代表されるように、現実世界で体を動かすのと同じように、ネット上で精密な動きが表現されるようになっており、現実とリアルの境界線はどんどん曖昧になっているように感じます。

そういった意味でも、今やご高齢の方でもネットを使いこなしているように、徐々にメタバースへと適応した価値観を老若男女問わず実装していく段階に差し掛かっていると考えています。

私自身はメタバースネイティブ世代ではありませので、これ以上知った顔で語るのはやめようと思いますが(笑)、Discord上で募集したフィリピンの方に一緒に仮想通貨ゲームで協力してもらったり、次は何のゲームをやろうかと作戦をたてたりしていると、意外と違和感なく溶け込める世界だったりします。(本来はもっと奥深いのでしょうが…)

2. "VR技術"~現実を超える世界~

高校生の頃、LINEでグループチャット機能が生み出されたときは便利すぎて、毎晩LINEばかりしていたように記憶しています。また、コロナが感染拡大した時、ZOOM飲みが流行し、直接会わなくてお互い顔を見合わせて話すことができました。でも、やっぱりLINEでもZOOMでもなく、直接会って話す方が楽しいというのがぶっちゃけの感想です。
一方で、会社のミーティングなどは、ZOOMで十分事足りるし、むしろ画面の共有機能やブレイクアウトルームなどの便利な機能があり、対面より円滑かもしれません。

このように、ネットの世界への時間の移動はすでに起きているわけですが、さらにこの流れを推し進めるのがVRだと思います。まだ使ったことがない方は、漫画喫茶などでぜひ体験してみて欲しいのですが、数年前に赤と青?のメガネで、3D体験をした映画よりも何倍もの衝撃がありました。

"いつでもどこでも"の手軽さに"対面"の良さが加わりつつある

私もつい先日購入しまして、たまに引っ張り出して使ってみているのですが、感動はあるものの改善余地もまだまだあります。画質も4Kに慣れてしまった私たちには物足りないですし、ヘッドセットは重いので何時間もつけていると疲労がすごいです。しかし、この分野はMeta社が大量の研究開発費をつぎ込んでいる分野であり、日々進化していくものと想定されます。

3-1. "ブロックチェーン"~ハッキング不可能な技術~

VRによってネット上に空間が用意されたとして、そこにルールがなければカオスです。ネット上では国の境界線もないため、各国のルールに従って…というわけにもいきません。もちろん、IPアドレスを利用して、各国ごとの仮想空間を作ったり、GAFAに代表させるネット大手が1つの世界を創り出す可能性もありますが、今最も有力な世界線は"ブロックチェーン技術"を使った世界の構築です。

なぜかというと、ブロックチェーン技術を使うことで、管理者を分散することができるからです。"管理者の集中"によるデメリットは大きく2つあります。
1つ目は、ハッキングリスクの低減です。国や企業が仮想現実を管理した場合、1社をハッキングすれば、その仮想現実上の資金を全て奪うことが可能になり、世界中から標的にされます。
2つ目は、権力の集中です。管理者がいるということは、その空間のルールは全て一社が自由自在に決めることができ、それ以外の参加者は不利な条件であろうとルールに従う他ありません。

そんな背景を受けて生まれたのが"ブロックチェーン技術"です。ブロックチェーン技術を使えば、決められたルールに従って、管理者を必要とせずに運用が可能となります。ちなみに、「ルールはどうやって決めるのか」については別問題で、世界中で提言や実験が繰り返されており、ブロックチェーン界隈の最大のテーマとも言えるものです。(後でもう少し補足します)

正直、ブロックチェーン技術そのものの知識は曖昧なのですが、説明を省くわけにもいかず、自分の理解で説明してみます。

例えば、映画に出てくる治安の悪い高校の部室で、絶対いじめっ子がみんなの財布からお金を抜いてるんけど、監視カメラもなく、証明する方法がないという状態を想像してください。これを解決する方法として、みんなで誰がいくら持っているかを記録した通帳を、数分おきに更新して共有しておくことで、金銭のやり取りをしていないはずなのに、いじめっ子の残高が増えて、全員からお金が減っていることに気づけるようになります。これは現実世界では面倒なので不可能ですが、ネット上であれば実現可能です。

その結果、世界中の人の通帳を同時に改竄しないと、嘘が突き通せないような仕組みになっており、莫大なコストや処理能力が必要となるため、ハッキングは実質不可能です。この点でブロックチェーン技術は革新的でした。

一応補足しておきますと、仮想通貨などで頻繁にハッキングのニュースがありますが、これはブロックチェーンそのものではなく、定めたルールの抜け穴や管理者のサーバーなどが直接狙われて起きているものです。

GAFAをはじめとする既存の"ルールメイカーたち"も黙っているわけがなく、覇権争いに参戦すると見られています。彼らのようなプレイヤーをWEB2.0と呼び、これまで話してきた、"分散"という理念を持ったプレイヤーこそが、最近流行りの"WEB3.0"と呼ばれています。

WEB2.0とWEB3.0のちがい
参照:ARK's Big Ideas 2022

長くなってしまいましたが、ブロックチェーンはビットコイン以外にも様々なサービスに応用されており、"どういったルール設計が最適なのか"を至る所で実験されています。ほとんどのサービスが仮想通貨払いで利用することができ、失敗を繰り返しながら、仕組みを発展させています。

ブロックチェーンがBitcoin/DiFi/WEB3.0などの起源
参照:ARK's Big Ideas 2022
ブロックチェーンを活用したサービスの例
参照:ARK's Big Ideas 2022

3-2. "仮想通貨"~ネット上の通貨~

ブロックチェーン技術と一緒に論文として発表されたのが"ビットコイン"であり、この"分散"を最も体現している世界中で唯一無二とも言える成功事例です。

ビットコインは特定の組織が運営しているのではなく、世界中に分散するコンピューターが稼働することによって管理されています。繰り返しの例になってしまいますが、Googleは、親会社であるAlphabetが倒産したり、規制によってサービスが停止されると、ブラウザ上の機能は失われてしまいますが、ビットコインは止める術がありません。仮想通貨にはプロトコルと呼ばれるルールを持っていて、例外なくそのルールに基づいて全ての取引が行われていますためです。

現在、仮想通貨の数は無数に存在しますが、それぞれに用途に合わせて、こっちのプロトコルの方が便利なんじゃないかと提案され、良いと思った人がそれを使い始めるといった形で、至る所で実験が行われているのです。

例えば、ビットコインは価値の保存を重視した金みたいな存在で、とにかく分散の原則を守りながら、安全性が第一に置かれています。しかし、その代償として手数料が少し高かったり、取引の処理に時間がかかるというデメリットがあったりします。そのため、普段の支払いなどにビットコインは使い勝手が悪く、もっと手数料を抑えられるモデルの仮想通貨が生まれたりもしています。

仮想通貨の経済圏はどんどん拡大している
https://twitter.com/Coin98Analytics/status/1408374180127510531?s=20&t=s0CICJhigWmrCmrcouigKQ

これまで話してきた通り、ネット上だけあって、お金にも機能をつけることができるので、紙切れのお金よりも使い勝手が良いです。
一方で、まだまだ実験段階であるため、ルールの抜け穴を狙ったハッキングや、ちゃんとしたプロジェクトを装った詐欺も多数存在している状態ですので、より多くの人に利用が広がるにはもう少し時間が必要かもしれません。

3-3. "NFT"~ネット上で所有するという概念~

ネット上では、盗作問題が現実よりも多い気がします。なぜなら、画像を違法にダウンロードして使っても、どちらが本物かを証明する方法がないからです。Amazonなどで商品を購入すると、たまに証明書付きで送られてきますが、NFTという技術はネット上の画像などにつける証明書です。

これにより、現実と同じように、本物と偽物がしっかりと区別されるようになり、ネット上の限定品に価値がつくようになります。ロレックスの時計がステータスの象徴になるのは、買える人が限られているからですが、すでにネット上でもCryptopunksなどの超高額NFTがステータスの象徴となっています。

NFTの用途はそれだけではなく、仮想空間上での制限をつけるのにも役立ちます。例えば、ネット上に土地は無限に作れるわけですが、「NFT付きの土地は10,000個しかありません」と限定することで、不動産のような価値が付きます。別の例では、特定のコミュニティに入るためのチケットとしても使うこともできます。
このように、NFTは"やろうと思えば何でもできてしまう"ネット上に、適切な制限を設けることで、価値をもたらす技術であると認識しています。

TheSANDBOXでは、土地の数が16万6464区画と決まっている

これをもって、リア充ならぬバーチャル充するインセンティブが生まれます。現実と同様に、NFTの証明がない違法ダウンロードをプロフィールにしていたら格好悪いし、NFT付きのチケットがないと入れない場所があるのであれば、当然体験してみたいと思うのが人間だと思うのです。

メタバースは理想郷か

少しメタバースが実現する未来が近く感じられたでしょうか?

特にブロックチェーン技術においては、ネット上でこれまでの制限を全て取っ払って、理想を追求する挑戦であることから、非常に学術的な議論が多く存在します。

例えば、"ルールは誰がどのようなプロセスで行うのが良いのか"という政治学的な話や、"みんなが自発的に発展に貢献したくなるような仕組みを作るにはどのようなインセンティブ設計が良いのか"という経済学的な話もあったりします。

これらは全て既存のセオリーでは解答が出せない問題であり、日々至る所で議論が行われているのですが、ブロックチェーン領域では特に、"匿名の誰か"の意見でも、良いとアイデアと判断されればどんどん取り入れられていきます。これは有名な話ですが、ブロックチェーンおよびビットコインを論文で発表した"サトシナカモト"という人物がいまだに正体不明であることに由来しているのかもしれません。

このnoteを読んで、少しでも興味を持ってくださった方は、TwitterやDiscordなどを利用して、気になった分野を是非もっと詳しく調べてみてください。こんな話よりも、もっと興味深い話が毎日行われています。

拙い文章かつ浅い議論でありながら、長々と失礼しました。
少しでも楽しんでいただけていたらとても嬉しいです!
気になったことがあれば、コメントやDMください〜

それでは。

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