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“上野“と“白シャツ“

“東京“といえば“上野“

小学生の頃までは、都会=上野のイメージだった。
叔母が松坂屋の最上階のレストランに勤めていたこともあって、
馴染みのある都会だった。

アメヤ横丁や上野動物園、多くの美術館や博物館があり
上野に行けばなんでもあると思っていた。

京成上野駅の短いエスカレーターを上り、アメヤ横丁方面に歩く。
アメヤ横丁に入るとしゃがれ声の鮮魚・精肉店の店主が宣伝している商店街を抜けると
雑居ビルの中に「サンリミット」がある。

“餅は餅屋”“シャツはシャツ屋”

その道のことは専門家が一番という言葉がぴったりなシャツ屋がある。
シャツなんてどこでも買えるし、ましてや白シャツなんて大体の洋服屋行けば取り扱いがある。

ここのシャツ屋はシャツ屋ならではの売り方が特徴的だ。
襟型やボディのシルエット、カフスの種類までを6型にまとめて出していて、
デザイナーの門田さんがいいと思った6種類にまとめている。

この日は友人の結婚式用に白シャツが欲しくて立ち寄った。

「きちんとしててきちんとしすぎてないのを探してるんですけど…」

そんな面倒くさいニーズに対して
店長さんがSH01とSH04という型の2種類をオススメしてくれた。
SH 01はレギュラーカラーで肩幅がやや細め。
SH04はホリゾンタルワイドのゆったりめのシルエット。

王道ならSH01かもしれないが、
普段使いも考えるとSH04がいいと教えてくれた。
細かいが、第一ボタンと第二ボタンの感覚が狭くなっている。
これは第一ボタンを開けた時も襟の収まりが良くなるように設計されている。

これまた男心くすぐるディテールになってる。
「お兄さん仕事何してるんですか?」
「同じです。僕も販売やってます。」
「やっぱり。久々にアパレルっぽい人見ました。」
「えっ?笑」

“街は最高のインプット材料であり、アウトプットの披露の場になる“

街には人やお店などで構成されていて、そこにいる人たちを観察すると
流行りモノがわかったり年代ごとの傾向も見えてきたりする。

最近は過度に自己表現するよりも、馴染むことが優先順位高くなってきているような気がしているので、うまくトレンドを拾っているなと20代のファッションを見て思う。

そんなその日に来ていたのがクレイジーパターンのシャツにストライプの組み合わせ。
一見オシャレ?というのがわからないような組み合わせをしていた。
世の中的にはその組み合わせは微妙だったかもしれないが、店長さんには話のネタになったので
結果的オーライだった。

白いシャツを購入して、意気揚々とお店を出るとアメ横のメイン通り。
すれ違う目線が一気に洋服に。
「あれ?やっぱり洋服間違えたかな?」

“上野新旧“

馴染みのあった松坂屋の様子は少し変わり、駅前にも商業施設が綺麗になった。
上野公園を抜けて芸大方面、根津や湯島に行くと最近出来たパン屋さんやカフェがオープンしている。
そう思えばアメ横は変わらず昔ながらのお店が立ち並ぶ。喫茶店のギャランにカレー専門店クラウンエースは今でもお気に入り。
不忍池に向かうとポルノ劇場が未だ健在。

新しさも旧さもどちらも感じられるのが上野のいいところで、
昼間はサブカル的な空気感、夜は少し不穏な空気が漂いちょっと危ない空気感が漂って
妙に馴染みがあって興味をそそられる。

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