歯抜いても一人

一昨日、埋まってる犬歯を抜いた
微かな怒りがずっとある

歯医者にとっては日常的な業務なのでトイレの後に手を洗うぐらいに何の気なしにやっているけど初めてだからな?!!!?こちらは
うがいのときに渡されたコップがうまく支えられないぐらい手が震えていたけどあえて止めようとはしなかった
自分の恐怖を知って欲しかったから

口の部分だけ空いているタオルを被せられてドリルやトンカチで口の中を削られる、ほぼ痛みはなくて大口を開けていないといけない顎の疲れだけがある
あとはいつか麻酔が効いていない部分に急に激痛が走るんじゃないかという不安ぐらい
やられていることの壮絶さと実際に感じている痛みのギャップがありすぎて、差し引かれていた痛みがいつか遅れてやってくることになるんじゃないかという予感がある

ドリルの重低音とたまに聞こえるチュインチュイーンという高音も凄い
今日の夢は宇宙戦争とかかな〜とか考えてた

とはいえ普通にありがとうとも思う
殺すぞと感謝のアンビバレント

処置が終わって看護師さんがタオルをめくった時の自分の顔、世界一情けないみじめな顔をしてただろうな
眉毛を下げた看護師さんに慰められながら口元の血を拭かれるのは妙にフェティッシュな感じがした


家に帰ってからも血がずっと出ていて?ソワソワしてしまった
歯医者さんから貰った紙をお守り代わりに読んで「※固まった血が唾に混じっているだけ」という記述の強度を何度も確かめていた
歯医者の電話番号を調べてはかけずに眺めて自分を安心させた

寝れないことを一番恐れていたけどいつの間にか寝ていて起きたら笑っちゃうぐらい顔がパンパンだった
今もパンパンな顔でスマホを眺めている

孤独だけどなんとかなりそうだなとも思った

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