未来2017年2月

植木鉢並ぶパン屋の入り口に傾いている折りたたみ傘
カフェ?ラッテの鳥の図柄を沈め終え小さな傷の重なるスプーン
秋雨の匂う駅舎の片隅にしばし無言で佇んでいる
スクールバスのエンジンレバーにかけてある袋に透けるMEVIUSの青
図書館の地下の本棚を目で追って肩幅ほどの通路を進む
立ち読みを長く続けて栞紐の形に窪むページを開く
机もっときれいにしてと叫ぶ客が汚す余白をうみだしてやる
夜行バスに目を覚ますたび私の肩が左に傾いている
海に来て海の描かれた絵葉書を一枚手帳の最後にはさむ
逆光にいっとう暗く象の背を濡らすホースと水の境目

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