未来2018年1月

稲の穂がそよげる横を通りたりバス停までの近道として
県道に金木犀の花びらを溢しつつ発つごみ収集車
蜘蛛が這う 深き緑に塗られたるフェンスの奥の木漏れ日のなか
理科室の人体模型に窪みたる眼窩の縁の骨の薄さよ
友達と仲間の違い教室で飼われる金魚の尾びれの揺らぎ
後夜祭の校庭に火はつけられて影は遥かな場所へと伸びる
肉まんが売り切れているコンビニの蒸し器のなかに滴る水は
ははそはの手招きをする母親の手のひらにうすく影が貼りつく
関係が薄まっている夕暮れの満員電車に人は俯く

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