未来2017年12月

ボールペンのインクに浅く窪みたる紙を見ており定時の後に
電車内に微睡む人の歯が見えて長く、長く疲弊している
一つ一つ明るい駅に停まりたる環状線に動く電車は
私の為にすり減るブレーキが擦り切れるまで山を降りぬ
水に触れて柔らかくなる指先の一つ一つが秋の静けさ
どこかしら気づついており指先にうすく匂っている草原よ
色を持つ言葉が欲しい内蔵の暗さをもって私は叫ぶ
草原の水の匂いに濡れているリュックサックを抱えて眠る
自転車を捨てたる後の速さかな雨の駅舎を窓より見つめ

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