未来2016年5月

青空にサドルを少し近づけて春より早く春休みが来る
舌先にアーモンドチョコ転がしてポトフを煮込む火を見続ける
小さき手は砂利を掴んですぐ零す掴んではすぐ泣いてしまった
真夜中の川の深さを横にいる人へ伝えるための水鳥
空港の窓も一つのそらでありわずかに春の塵に汚れる
地下街は清潔な白あたたかく全てチェーン店が埋め尽くす
恋猫は遠くへと鳴く封筒の端薄く薄く切り落とす
引越しの半ばの人の横にいて本棚の螺子見比べている
窓際にひとまずダンボール積んでロゴがのっぺり逆光になる
カーテンもまだない部屋に月の色みたくくすんだ白の壁紙

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?