未来2016年10月

電波塔に赤い灯がつく人間と仲良くなりたい怪獣みたい
コップから流れ出せない珈琲が三日月形に乾ききっている
透きとおる空間にいて透きとおる壁にもたれて待つエレベータ
アイスティのグラスを持てば六月のなごりのようにある水溜り
まどろめば喫茶ソワレに週末の夜を冷ましてゆくゼリーポンチ
スマートフォン大水槽に向けている人それぞれがひかりを映す
等身大ペンギンの絵と折りたたみ傘の長さを見比べている
パーキングエリアはくすんだ白色で夏の月より少し明るい
座席から汗の匂いが少しして初夏の朝陽がさすバスにいる
いろはすのペットボトルが落ちてくる震えに蝿は自販機を去る

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