未来2018年3月

まよなかの風は私に語りけり道路にビルに音を預けて
ガードレールが歩道に少し突き出してその頂点に影がはりつく
あちこちに凍結注意の電子板があり国道をかすかに照らす
てのひらの関節という関節が結露しているような静けさ
自転車のチェーンは雪をまきこんで軋む どこまでも平坦な道
アクエリアスを飲みほしてなお揺れやまぬ高速道路にもたれておりぬ
マンホールの上から溶けてゆく雪のにごりをひいている車輪かな
ふくらはぎの奥に残っている熱をつつんでおりぬ冬のてのひら
明けそうな夜の気配に揺れている木々のさなかに風と触れあう

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