未来2017年6月

プチトマトの畑を荒らし終えてより土にまみれる犬の鼻先
おびただしき付箋を貼ればゆるやかに波うっている頁の余白
もつ鍋のきれいに並ぶ青にらをまずは崩しぬ夕暮れにいて
変装に憧れている少年は座布団の綿を引き抜いている
そら豆はコンソメスープの底にあり三月の風の色をのこして
埃のない場所を求めてしばらくは風呂の小さな椅子に座りこむ
私物みな失われたる一室のシンクがかすかに濡れていること
三月のダンボール箱に転がった時計の針がうっすら光る
蚊柱にとらわれている心地して鍵穴に鍵を差し込んでいる
弱い弱い目眩をおこす一人暮らし四年目にしてテレビを買えば

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