未来2017年1月

秋の蝶が私の方へやって来てこわさぬように休めるペダル
唐突なエンドロールの文字列に人は輪郭を取り戻しゆく
分けあえるケーキの写真を撮る人の指先をフレームにおさめる
工事中のフェンスに終わる川沿いを笑い話にして引き返す
夏の日の陸上競技トラックの風が恋しく堤防へ行く
繋がりといえば何だか曖昧で車輪の泥をあらく拭った
いらっしゃいませ席に座っている客にお好きなお席どうぞと囁く
冷凍され店舗に届くものたちに触れれば濡れる指先のこと
音立てて沈んでしまう私はダンボール箱に腰掛けていて
地下街がシャッター街に変わりゆく音をベンチでぼんやりと聞く

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?