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なぜ真冬に田植え?東北で続けられてきた年始の祈り~東北の暮らしや文化を発信~

東北の暮らしや文化を伝える発信をしている、なおたむです。

お正月が落ち着いた頃、東北各地でいっせいに伝統行事が行われます。
例えば、えんぶり、田植踊り、雪中田植え、餅花や繭玉飾り。
なぜこの時期なのか、気になったことはありませんか?

実はこの時期でなければいけない理由があります。
春になると農作業が始まりますね。
現代では薄れてしまった感覚ですが、作物が豊作であることは安心して暮らせること、でした。

お米を例にすると、春に苗を田んぼに植え、だんだん成長し、秋にやっと収穫できます。
秋の豊作を願う気持ちから、農作業が始まる春の手前に、これらの行事が生まれました。

「えんぶり」(青森県八戸市) 
出典 https://visithachinohe.com/stories/enburi_schedule/

青森冬の三大まつりの一つでもある「八戸えんぶり」は、国の重要無形民俗文化財に指定されており、田畑の土をならす農具「えぶり」にその名が由来する、豊作を願う八戸地域に伝わる郷土芸能です。例年、2月17日から20日にかけて開催され、長者山新羅神社への「奉納」から始まり、八戸の中心街で30数組が一斉に舞を披露する「一斉摺り」や明治期に建てられた豪商の旧家で観る「お庭えんぶり」など、様々な催しが行われます。えんぶりの象徴ともいえる烏帽子をかぶった「太夫」の頭を大きく振る独特の舞いである「摺り」や、可愛らしい子どもたちが主役となる祝福芸は、観客を魅了し、毎年必ず訪れる観光客も少なくありません。

引用 https://visithachinohe.com/stories/enburi_schedule/
「秋保の田植踊」(宮城県)
出典 https://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/contents/learn/edc27/genre/dengaku/taueodori/arts03.html

年の初めに稲の豊作を予め祝うことによってその年の豊作を願う芸能で、もとは小正月 に行われていたが、現在は湯元、馬場、長袋ともに社寺の祭礼時に踊られている。踊り手は 道化役と口上役を兼ねた弥十郎2名、鈴ふり2名、10名前後の早乙女で笛や太鼓の囃子にのせ、田植えの様子を美しく振り付けた踊りを次々と踊る。演目には 「入羽」「一本そぞろき(一本扇)」「鈴田植」「二本そぞろき(二本扇)」「銭太鼓」「太鼓田植」などがある。

引用 https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/bunkazai/hogojoyaku/unesco/pdf/sanko_04_9.pdf
雪中田植え(秋田県東成瀬村) 
出典 http://sanson.or.jp/1038_top/

雪中田植とは、小正月に行われている農事に係わる行事の一つです。雪原を田んぼに見立て、1年(12ヶ月)が無事に過ごせるようにと、12株の束ねた藁を雪の上に植え、一週間後にその様子を観察し農作物の豊凶を占います。年明けとともにその年の豊作祈願や、農具への感謝を込めてお供えをするなど、農家の生活に密着した行事です。

引用 http://sanson.or.jp/1038_top/
「ミズキ団子」(岩手県盛岡市) 
出典 https://tohoku-kizunamatsuri.jp/special/2023/01/05/post-3659/

1月15日は小正月。全国には各地に根付いた小正月の風習があり、それにちなんだ行事があちらこちらで催されます。盛岡市内でも、この時期が近づくと、家や店先などに愛らしい“実”を付けた枝木が飾られてます。その正体は、岩手県内で昔から受け継がれてきた「ミズキ団子」。小さな丸い形をした“実”は、米粉で作られた団子です。食紅などで色をつけたカラフルな団子をミズキの枝先に付けたことが、ミズキ団子という名前の由来に。同様の風習は全国各地にあり、地域によっては「餅花」や「マユダマ」などと呼ばれています。さらに、東日本の広い地域では、団子をまん丸ではなく繭のような俵型にし、養蚕の繁栄を祈る風習もあるのだとか。ミズキ団子には、五穀豊穣や無病息災などの祈りが込められています。
色とりどりの団子だけでなく、ときには、小判や鯛、大黒様といった縁起物が描かれたモチーフを枝木に吊るすことも。盛岡の街を散策すると、個性豊かな「ミズキ団子」に出合えるかもしれません。
また、団子をつける枝には、ヌルデやエノキ、ヤナギの木を使う地域もありますが、盛岡ではミズキが定番。ミズキの木は赤みを帯びており、赤が縁起のいい色であることや、芽が上を向いて出るところから「運が上を向くように」という験担ぎの意味合いもあるそうです。

引用 https://tohoku-kizunamatsuri.jp/special/2023/01/05/post-3659/


ご紹介した行事は、すべて豊作を祈るものです。
なぜこのような行事を行い、続けてきたのでしょうか。

その理由は、前もって豊作をまねることでその通りになる、という考えられてきたからです。
予(あらかじ)め(=前もって)祝うことから、「予(よ)祝(しゅく)行事」と呼びます。

背景にある願いを知ると、地域の伝統行事の見え方が変わってきますね。
皆さんの地域の行事にはどのような意味があるのか、気になってきませんか。

こちらでは、東北の暮らしや文化にまつわることを分かりやすくまとめていきます。地域を新たな目で見るきっかけになれば幸いです。



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