七夕の奇跡
笹の葉まつり。
小さな田舎で行われる七夕の催しだ。
男女三人組の翔、星夜、空音は幼なじみ。
今は全員、別々の大学に進学していてこの村には住んでいない。
でも、毎年この時期になると地元に帰省し、祭りの雰囲気を楽しみながら思い出に浸っている。
翔「空音、今年は短冊にどんなお願いを書いたの?」
空音「何でもいいじゃん、教えない」
星夜「なんだよ、おまえ(笑)」
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翔「あー、ちょっと便所に行ってくるわ」
星夜「俺も行く」
空音「いい歳して連れション?昔から変わってないんだね。なんか安心する(笑)」
…
翔と星夜は、実はこの日のために空音の就職祝いとしてサプライズを用意していた。連れションはその準備のための方便だ。
翔と星夜が空音へのプレゼントを準備していると、祭り会場の方から悲鳴が聞こえてきた。
翔「何かあったのか?」
星夜「急いで戻ろう」
彼らが会場に戻ると、祭りのやぐらが崩れてしまっていた。
村人A「おい、大丈夫か?」
村人B「大変だ!女の子が下敷きになっているぞ!」
壊れたやぐらの骨組みの下で、空音が倒れていた。
空音「…」
翔「空音、今助けてやるからな!」
星夜「おい、しっかりしろ!」
…
彼らの救助も虚しく、空音は空虚な目を開き、呼吸も停止していた。
空音「…」
…
翔と星夜は、空音の冷たくなった身体を誰もいない母校の校庭に運び、悲しんでいた。
翔「こんなことになるなんて…」
星夜「返事しろよ、空音…」
空音「…」
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長老「お前ら、何をしている」
現れたのは、この村に長く住むじいさんだった。
翔「空音が…」
翔と星夜は、空音の遺体を長老に見せた。
長老「死んでしまっているようだな」
星夜「じいさん…どうしよう…空音は大切な親友なんだ…」
…
長老「今日は七夕だな。あれをやってみるか」
じいさんは、訳のわからないことを言い出し、校庭に奇妙な魔法陣を描き始めた。
長老「おい、ここにその娘を置いてくれ」
翔と星夜は、冷え切った空音の身体を魔法陣の上に寝かせた。
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長老「BAMBOO LEAVES!!」
じいさんは、その年齢からは予想できないくらいクリアな英語の発音で呪文を唱えた。
魔法陣と空音は、じいさんの呪文に合わせて白い光を強く発した。
翔「うわ!眩しい!」
星夜「ぎゃあー!!」
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…
数分後。辺りは静けさを取り戻した。
翔「おい!空音!!」
空音「…」
…
星夜「空音!戻ってこい!!」
空音「ん…?」
翔「空音!」
星夜「よかった…心配させるなよ!」
…
空音「あれ…わたし…」
こうして、七夕の不思議な力によって、空音は無事に蘇った。
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(ヒュ~…パンッ!!)
翔と星夜たちが用意していたサプライズの花火が上がり、この村の広い空に希望の音が鳴り渡った。
この出来事があって以来、笹の葉まつりには特別な命が宿っているという伝説が語り継がれるようになった…
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