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あの人のインタビュー術

日曜の午前中は、J-WAVEで女優の玄理さんがナビゲーターを務めるラジオ番組『ACROSS THE SKY』を聴きながら、そうじや、つくりおき用の料理、庭仕事なんかをすることが多い。

J-WAVEのナビゲーターの人選はとても好きで、それまでよく知らなかった人でも、ラジオの語りを聞いているうちに、だんだん興味が湧いてきて好感を持ってしまうことがほとんどだ。
玄理さんもまさにそのパターンで、毎週のおしゃべりから垣間見える、彼女の本や漫画や映画、エンタメ系カルチャーについての造詣の深さや、社会問題についての関心をきちんと言語化できる知性に「こんなにしっかりと自分の言葉で語れる女優さん、すごい」とすっかり魅了されている。

とくにわたしが楽しみにしているのが、毎週1人のクリエイターをゲストに迎えて、その人の自宅の本棚の写真を見ながら、玄里さんがそのクリエイティブの原点に迫るインタビューをする「MY BOOKSHELF」というコーナー。
そういえばnoteの人気クリエイターである岸田奈美さんも数ヶ月前に登場されていて、そのとき玄理さんは「岸田さんの著書にとても感動して、数冊買って友人に配った」という話をしていた。

その回に限らず、玄理さんはいつも、「ゲストとその人の愛読書」というコーナーのコンセプトにしっかり向き合い、個人的な興味を相手にちゃんと向けて対話をしている。
そう書くと当たり前のようだが、ラジオを聴いていると、ナビゲーターの人がゲストにどれくらい個人的な興味を持っているか、たとえば意気投合して盛り上がっているなら、その「もっとしゃべっていたい!」といった高揚感が、逆に番組制作側がキャスティングした人を迎えてそつなくこなしている場合も、その雰囲気もちゃんと伝わってくるものだ。
玄理さんは、迎えるゲストの本を事前にしっかり読んでいて、その感想を生身の言葉でまず伝え、自分と本の趣味が似ているとわかればうれしそうにはしゃぎ、自分の守備範囲ではないジャンルの本を読む人にも「なぜこうした本に興味を持つようになったのか」という純粋な疑問を、知ったかぶりせずにまっすぐにぶつける。
その姿勢がとても気持ちよくて、こんなふうに聞かれたら、インタビューされる側の人もうれしくてどんどんしゃべりたくなるよなぁ、と職業的な刺激にもなっている。

インタビューの質問もありきたりではなく、深い部分まで知りたいというキラキラした好奇心に満ちていて、わたしはそんな玄理さんのインタビューを通してゲストの方と新刊にまで興味が湧き、ラジオを聴きながらAmazonで購入する、なんてことを毎週のようにやっている。
取材相手の心を開かせるだけでなく、第三者の心も動かして、ついでに行動まで起こさせてしまうところに、彼女のインタビュアーとして素晴らしさが表れていると思う。

たまたまJ-WAVEのサイトに彼女へのインタビューが掲載されていて、「言葉より行動に重きをおきたい」と語っているのは、とてもおもしろいと思った。わたしが惹かれる、彼女のいきいきとした言葉は、その背景にちゃんと行動があるからなのだろうなと腑に落ちた。

日曜の午前中、ムードとしては休日らしいリラックス感がありながらも、ただのんびりお気楽なだけでなく、ちゃんと今の時代らしいテーマのトークを聴きながら、家のあれこれをする。そんな休日の過ごし方を、実はとても気に入っている。

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