更新でキゲンを手に入れた話

今年の夏は、さまざまな「更新」が重なった。

わかりやすいところでは、運転免許証とパスポート、両方の更新を行った。

身分証明の重要度としてはかなり高い2つの書類の有効期限が、よりによって同じ年の夏に重なるというのも不思議な偶然である。
車は毎日のように乗っているけれど、パスポートは、いま更新したところで海外に行く予定はなく、しかも更新料が16000円もかかるなんて、10年ぶりですっかり忘れていた。
それでも、旅が好きだし、思い立ったときにパスポートの期限切れで出発できないなんて想像するだけで辛すぎる。ちょうど娘のパスポートの期限切れも同時だったので、部活が休みに入ったタイミングで、一緒に出かけた。

最寄りのパスポートセンターは、いつも行く商業施設内にある。
駅前でインスタントの証明写真を撮ってから手続きに行くと、オリンピック期間中のパスポートセンターはガラガラで、わたしたち母娘の前にも後にも利用者は誰もいなかった。
それだけ世間とズレたことをしているのかもしれないと思ったけれど、混んでいるよりは、ずっといい。

運転免許証の方は、道路渋滞のせいで、午前の受付時間の締め切りにタッチの差で間に合わないという痛恨のミスをやらかしたが、時間をつぶして午後受付の一番に並び直し、その間に持っていった小説を読み終え、前回よりも顔写真がマシだったので、半日仕事にはなってしまったけれど、帰り道はご機嫌だった。

メインのクレジットカードも変える


光熱費の自動引き落とし用クレジットカードも変更する、という任務をやってのけた。

これは、とくに有効期限とは関係なく、数ヶ月前から「時間ができたらやること」としてスマホのメモに書いていたことである。

ことの発端は、姉が、「光熱費を含めた生活費の支払いをすべてエポスカードにしたら、すごい勢いでポイントがたまるよ」と勧めるものだから、心がぐらん、と動いたのだった。

これまで使っていたカードでもポイントは貯まったけれど、エポスカードの方がたしかにポイント還元率がよく、しかも付帯の海外旅行保険の保障内容が充実しているのが魅力だった。
これまで海外に行くときは、クレジットカード付帯の保険とは別に、海外旅行保険にも入っていたけれど、エポスカードならその手間と出費は省けそうだ。まぁ、それを喜べるのはいつになるのかわからないけれども。

エポスカードの加入手続きは、打ち合わせに出かけたついでに丸井のカウンターに寄って済ませてしまい、カードもその場で発行された。
クレジットカードをつくるなんて久しぶりだけど、即日発行って、すごい。

その勢いで、帰宅したらすぐ、前のカードで毎月自動引き落としになっていた光熱費や生活費の支払いを、新しいカードに移行する作業をパソコンで一気にやった。
翌日以降になると急に面倒くさくなる自分が予測できたので、その日のうちに済ませた方がいいと思ったのだ。
すべて終えたときはさすがにクッタクタに疲れたけれど、「今日はメインのクレジットカードの移行作業をやりきった」という達成感に包まれながら、夜はスコンと眠りについた。

家電の故障が伝えてくるサイン


冷蔵庫と電子レンジが続けて壊れた話を以前書いたが、


そのあとすぐ、今度はなんとヨーグルトメーカーが壊れた。
なんと、と書くのは、ヨーグルトメーカーを使う時はいつも、棚から取り出して電子レンジの隣に置くのがおきまりだからである。

家電が、置いている順に左から右へと次々に壊れていった夏。
こんなことってあるだろうか。
ここまでくると、単なる「家電の故障」だけでは済まされない、「お宅は今いろいろ更新の時期ですから、一気に新しくしちゃってくださいよ」という宇宙からのサインに思えてくる。

壊れたのは5年前に2000円くらいで買ったヨーグルトメーカーだったが、買い替えたのも3000円ほどのアイリスオーヤマの製品で、これくらいの出費で、毎回失敗なくヨーグルトが作れる安心をまた手に入れられるなら、むしろありがたいというものだ。
おかげでここ数ヶ月悩まされていた、温度調節の不調によってヨーグルトが固まらず、「また牛乳1本と種菌が無駄になった……」とガックリ肩を落とすという事態とおさらばできる。
新しい家電を手に入れたうれしさというより、ストレスが1つ減ったことの清々しさが、わたしの機嫌をよくする。

そう、機嫌だ。
今回のもろもろの更新で、わたしが手に入れた2つの「キゲン」。
それは、書類や家電の機能が有効とされる「期限」と、自分の「機嫌」である。
どちらも、今年後半以降をスムーズに過ごしていくために、必要なもの。

お財布を開くと新しい免許証とクレジットカードが入っていて、台所に行けば若くハツラツとした家電たちが、日々のごはんづくりをガッチリとサポートしてくれる。

財布と台所がちゃんとしてれば、怖いものはない。

あとは、いい仕事をするのみだ。

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