欧州閑話 - Nao Nao

90年代に家族とともに英国移住。現在ドイツ在住。壮年期をのりきるため、カウンセリングを受けつつ、徒然に思ったことを日記代わりに綴ってみることに。本職は、ドイツ系テック企業のソフトウェア開発デザイン部所属。子育てとともに奮闘の日々。

欧州閑話 - Nao Nao

90年代に家族とともに英国移住。現在ドイツ在住。壮年期をのりきるため、カウンセリングを受けつつ、徒然に思ったことを日記代わりに綴ってみることに。本職は、ドイツ系テック企業のソフトウェア開発デザイン部所属。子育てとともに奮闘の日々。

マガジン

  • 書いて癒すトラウマ、まとめ

    定期セラピーでセラピストと語りあったトラウマについての記事。書いて癒す、という目的だけ。しかしながら、誰かのお役に立てれば・・・。

  • 観たり、聴いたり、のまとめ

    深く心にのこった音楽、映画、などを徒然に。

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異国ニテ、凡人ユエニ・・・

雨ニモ負ケテ、風ニモ負ケテ、 雪ニモ、夏ノ暑サニモ負ケ・・・ 幾度か倒れ伏せど、再び立ち上がり、 再び敗れんことを知りつつも、 漸く(やうやく)小さな成長を積み重ねてゆくなり。 敗れつつも、その中に見ゆる小さな慈悲と、 僅(わづか)かながらの強さあり。 而(しこう)して、敗れることの価値を知りて、 ただ我がままなる身として、 日々を生きる ーーーーー 子供の頃に大好きだった宮沢賢治の詩に影響を受けて、上の短い詩を描いてみた。でも、彼のようにエゴがなく、澄み切

    • 氷山の一角:メンタルヘルスと学びの深い関係

      今回の投稿では、学びを深めてより充実したものにするためのヒントを紹介したい。専門家の意見も参考にしつつ、結論はあくまで個人的なもの。人それぞれ異なる見方があることを前提としつつ、自分にとって本当に必要な学びを見直す機会についても触れていきたい。 社会人になると、忙しさやタスク優先で、ついつい学びのためのコースや講座を後回しにしてしまうことも…。でも、本当に怠け者なら最初から学ぼうともしないはず。 ここで、自分を責めたり焦ったりせず、その学びが自分にとって本当に必要なのか、

      • モフモフ先生、あらわる

        今週と来週は、中学生の娘の秋休み。なんと、我が家にもう一人、家族が増えることになった。3ヶ月の仔猫だ。決断に迷いもあったが、一度決断すると話は早かった。初日の引き渡しまであっという間。 ふわふわと小さく、生命力にあふれている。私たちにすべてを委ね、まったく無防備な存在。この責任を考えると、なかなか決断できなかった。 3週間くらい前、最後の迷いをセラピストのビアンカに相談したら、なんと彼女は猫を2匹飼っている愛猫家だったことがわかった。日頃、自分のことはあまり話さない彼女な

        • ドイツ職場で活かす仏教の学び

          ドイツで働いていて、仏教の「八正道」のひとつ、「正語」について、あらためてよく考えることが多い。 欧州、特にドイツに住んでいると、周囲の人々の自己主張の強さに気づかされることが多い。子供の学校でも、小さい頃から討論の授業があり、いかに自分の意見をはっきり述べるかが重視されている。ドイツでは、子供たちは「ナイン(ノー)」と言うことから始め、自己主張する力がしっかりと幼年期から育まれている。 一方、日本では自己主張の教育が足りないとされ、欧州で働く日本人としては、特にこの点で

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        • 書いて癒すトラウマ、まとめ
          10本
        • 観たり、聴いたり、のまとめ
          8本

        記事

          異次元と共鳴する10月、奇才・鬼才音楽に浸る (その2)

          この前ポストのつづき。 10月、秋。欧米ではいにしえの万霊節にちなんだハロウィン、インドでは光が闇に打ち勝つ収穫祭、ディワリが祝われる。そして今年は10月と11月にふたつの月が天上にあるらしいという異様さ。そんな奇妙な月には、鬼才たちが紡ぎ出した音楽をちょっと。下、10人の鬼才・奇才を集めてみた。 [ポーランド] その6、ハニア・ラニ。ポーランドのショパン音楽学院で学び、モダン音楽を選んだ鬼才ピアニスト、作曲家。このビデオでは、シェシェン戦火を逃れた移民家族のようすが子供

          異次元と共鳴する10月、奇才・鬼才音楽に浸る (その2)

          異次元と共鳴する10月、奇才・鬼才音楽に浸る (その1)

          10月、秋。欧米ではいにしえの万霊節にちなんだハロウィン、インドでは光が闇に打ち勝つ収穫祭、ディワリが祝われる。そして今年は10月と11月にふたつの月が天上にあるらしいという異様さ。そんな奇妙な月には、鬼才たちが紡ぎ出した音楽をちょっと。下、10人の鬼才・奇才を集めてみた。 [独/中]その1、ユジャ・ワン。北京出身のユジャ・ワンは、驚愕の技術と表現力で個性的かつシュールな選曲を自在に演奏する鬼才。また、難曲だけでなく、ネオクラシックにも斬新な解釈をもたらす。ドイツ・グラモフ

          異次元と共鳴する10月、奇才・鬼才音楽に浸る (その1)

          ダラダラ学べる映画鑑賞の秋

          秋がやってきて、やっと涼しくなった。暑かった夏の喧騒も落ち着いて、少しホッとしている。今年は仕事が忙しく、別部署の研究に取り組んでいて自分の時間が全然持てなかった(ポストも今年前半は無理だった)。しかしながら、最近やっとプロジェクトが半分完了したことで少し余裕ができた。 さて、やっと一息ついたところで、芸術や読書の秋にしようかとも思ったけれど、やっぱりちょっとでも暇ができると、つい受け身になってカウチポテトをしたくなるのが人情。しかも、家にいても子育てで疲れる。やっぱり、怠

          ダラダラ学べる映画鑑賞の秋

          旧東ドイツ:偏見と排他主義の現場から考えたこと(その2)

          このポストは、これの続編。 最近のニュースによると、ドイツの地方選挙にて旧東地域の極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が再び上位となった。東部チューリンゲン州ではAfDが第1党になり、同じく東部ブランデンブルク州とザクセン州ではショルツ首相の中道左派・社会民主党(SPD)が僅差(きんさ)で勝利したものの、極右政党が2位となった。この結果は、旧東ドイツ地域での反民主的な極右の支持が依然として強いことをしめしている。 前回の投稿で背景には触れているので、ここでは割愛。

          旧東ドイツ:偏見と排他主義の現場から考えたこと(その2)

          ちょっとした「お金」の話

          久しぶりにセラピーの話題を投稿してみることにした。 セラピストとの前回のセッションでは、なぜか「お金」と価値観の話に行き着いた。ちょっとタブーなネタだが、同じような思いを持っている人もいるかと思うので、あえてシェアしてみる。 セッションの途中、「お金」についてポジティブに考えられるようになりたい、とつい軽々しくビアンカにぼやいてしまった。 ビアンカは、しばらく考えてから、「それも一つの手かもしれないけど、もし根底に強い感情が残っていると、ちょっと無理があるかも・・・。根

          ちょっとした「お金」の話

          ドイツ東部の旅など:偏見と排他主義の現場から考えたこと(その1)

          ほぼ1年ぶりの投稿だ。今年に入って、勤務先のドイツ系テック企業で別部署のフェロー(特別研究員)をすることになり、子育てと両立させる羽目になって、全く時間がない。 今日、終戦記念日の8月15日に、欧州での懸念をひさびさに書いてみる。 先月、家族で東ドイツの田舎、チェコとの国境近くにあるザクセンスイスに国内旅行に行ってきた。ザクセン州は「ブラウン」な地域と言われ、これはナチスの制服の色に由来。ドイツ国内で報じられるネオナチや極右翼の多くはこの州に関連している。 最近の欧州議

          ドイツ東部の旅など:偏見と排他主義の現場から考えたこと(その1)

          2回忘れたトラウマ(心の傷)

          2回忘れた大きなトラウマ(心の傷)があった。 22年前の2001年、同僚に勧められてヒプノセラピー(催眠療法)を興味がてらに受けたことがあった。 「今のあなたに悪影響を及ぼしている場所と時間に戻ってください」 トランス化で、そう言われた。 なんと、そのあとすぐに、言葉にできない衝撃に襲われた。本当に、言葉にならなかった。・・・というのは、それは言葉を理解する前、胎児の状態の「原」体験、みたいなものだったから。 意識だけがぼんやりしていて、視野の中に両親がいた。 「次は

          2回忘れたトラウマ(心の傷)

          [実践編] 長年、体内に停滞しているトラウマ(心の傷)を解放してみる

          しばらく多忙な日々が続き、何も書けなかった。何か、実践的なことを書きたい、と思いつつも、何もできず3週間くらいズルズルと経過してしまった。 また、心理セラピーをはじめてから、1年以上経過した。やっと、自分が苦しんでいるものが何なのか、ぼんやりと見えてきた。 幼年期からのトラウマ(心の傷) 受け継いでしまった世代間トラウマ 両親への怒り 怒りの裏にある悲しみと絶望感 自分自身の思考回路にとどまり続ける両親の声 もうひとつ、わかってきたのは、これらについては、いつま

          [実践編] 長年、体内に停滞しているトラウマ(心の傷)を解放してみる

          哀愁の英系ポップ懐メロ(80〜90年代)

          以前のポストの続きで、「ほんとうに心に響く音楽」。今回は、80年代・90年代の英系・ポップ懐メロ編。 音楽は、とてもタイム・カプセルのよう。昔よく聴いていた音楽をちょっと聴くだけで、その頃の記憶が蘇る。 90年代に、家族とともに、ポスト・サッチャー時代の英国に移住したとき、あの国は、なんとなくすすけていた。当時の首相は、ジョン・メージャー氏。このインディー系・ポップグループ Bronski Beat クリップにでてくる街並みと雰囲気、電車、すべてがその当時のすすけた様子を

          哀愁の英系ポップ懐メロ(80〜90年代)

          自分自身を批判する声

          ・・・まず、先週の心理セラピーのいきさつを下に会話形式で綴ってみる。 わたし:「一年以上も、父への怒りを話し続けても、まだまだキリがない、と感じます。」 ビアンカ:「以前にもお尋ねしましたが、・・・もう、ご家族との付き合いをやめてもいい、と自分に許可する、ということ。これに関しては、どうでしょう。」 わたし:「この『許可すること』についてもよく検討してみました。この『許可』という選択肢があると思うだけで、ちょっと心が軽くなりましたが・・・。自分でも、なぜこれができないのかわ

          自分自身を批判する声

          傍観するだけの人生でもいい

          以前に触れた「世代間トラウマ」について、もう少し心理セラピーを通して考えてみた。もしかしたら、私たちの世代にとっては、この(受け継いでしまった)トラウマを傍観、認識するだけでも意味があるのではないだろうか。・・・こう思われてきた。その経緯を綴ってみる。 まず、この動画を観ていただきたい。何年か前に観て、衝撃を受けた。 米発(英語)だが、何よりインフォメーション・グラフィックが素晴らしいので、英語のわからない方でも理解できると思う。まず、グラフに表示されている「ひとり」は、

          傍観するだけの人生でもいい

          藁をつかもうとしてしまうこと

          先週のセラピー・セッションで、「これだ」と響いたトピックがあったのでシェアすることにした。 「あなたにとって、とても心から安全だと感じる場所はありますか。」、この質問だった。どういう経過でこの質問に行き着いたのかは、とりあえず保留。 答えは、「そのような場所は、今はない・・・。」だった。これを掘り下げていくと、これは「場所」だけについての質問ではなかった。つまり、「安全を感じられる年代」でもなく、「安全を感じられる心理境遇」でもないからだ。前回のポストの延長線にある質問。

          藁をつかもうとしてしまうこと