Nao Nao

欧州(英・独)在住歴ほぼ30年、ほとんど永住組。壮年期の悩みを乗り越えるために、欧州の…

Nao Nao

欧州(英・独)在住歴ほぼ30年、ほとんど永住組。壮年期の悩みを乗り越えるために、欧州の心理学プロによるカウンセラー現在続行中。日記替わりとして、心に浮かんだことを綴ってみることに。欧州資本テック系企業勤務(職歴25年+)、既婚、2人の子供、私生活の憂い多し・・・。

最近の記事

2回忘れたトラウマ(心の傷)

2回忘れた大きなトラウマ(心の傷)があった。 22年前の2001年、同僚に勧められてヒプノセラピー(催眠療法)を興味がてらに受けたことがあった。 「今のあなたに悪影響を及ぼしている場所と時間に戻ってください」 トランス化で、そう言われた。 なんと、そのあとすぐに、言葉にできない衝撃に襲われた。本当に、言葉にならなかった。・・・というのは、それは言葉を理解する前、胎児の状態の「原」体験、みたいなものだったから。 意識だけがぼんやりしていて、視野の中に両親がいた。 「次は

    • [実践編] 長年、体内に停滞しているトラウマ(心の傷)を解放してみる

      しばらく多忙な日々が続き、何も書けなかった。何か、実践的なことを書きたい、と思いつつも、何もできず3週間くらいズルズルと経過してしまった。 また、心理セラピーをはじめてから、1年以上経過した。やっと、自分が苦しんでいるものが何なのか、ぼんやりと見えてきた。 幼年期からのトラウマ(心の傷) 受け継いでしまった世代間トラウマ 両親への怒り 怒りの裏にある悲しみと絶望感 自分自身の思考回路にとどまり続ける両親の声 もうひとつ、わかってきたのは、これらについては、いつま

      • 哀愁の英系ポップ懐メロ(80〜90年代)

        以前のポストの続きで、「ほんとうに心に響く音楽」。今回は、80年代・90年代の英系・ポップ懐メロ編。 音楽は、とてもタイム・カプセルのよう。昔よく聴いていた音楽をちょっと聴くだけで、その頃の記憶が蘇る。 90年代に、家族とともに、ポスト・サッチャー時代の英国に移住したとき、あの国は、なんとなくすすけていた。当時の首相は、ジョン・メージャー氏。このインディー系・ポップグループ Bronski Beat クリップにでてくる街並みと雰囲気、電車、すべてがその当時のすすけた様子を

        • 自分自身を批判する声

          ・・・まず、先週の心理セラピーのいきさつを下に会話形式で綴ってみる。 わたし:「一年以上も、父への怒りを話し続けても、まだまだキリがない、と感じます。」 ビアンカ:「以前にもお尋ねしましたが、・・・もう、ご家族との付き合いをやめてもいい、と自分に許可する、ということ。これに関しては、どうでしょう。」 わたし:「この『許可すること』についてもよく検討してみました。この『許可』という選択肢があると思うだけで、ちょっと心が軽くなりましたが・・・。自分でも、なぜこれができないのかわ

        2回忘れたトラウマ(心の傷)

          傍観するだけの人生でもいい

          以前に触れた「世代間トラウマ」について、もう少し心理セラピーを通して考えてみた。もしかしたら、私たちの世代にとっては、この(受け継いでしまった)トラウマを傍観、認識するだけでも意味があるのではないだろうか。・・・こう思われてきた。その経緯を綴ってみる。 まず、この動画を観ていただきたい。何年か前に観て、衝撃を受けた。 米発(英語)だが、何よりインフォメーション・グラフィックが素晴らしいので、英語のわからない方でも理解できると思う。まず、グラフに表示されている「ひとり」は、

          傍観するだけの人生でもいい

          藁をつかもうとしてしまうこと

          先週のセラピー・セッションで、「これだ」と響いたトピックがあったのでシェアすることにした。 「あなたにとって、とても心から安全だと感じる場所はありますか。」、この質問だった。どういう経過でこの質問に行き着いたのかは、とりあえず保留。 答えは、「そのような場所は、今はない・・・。」だった。これを掘り下げていくと、これは「場所」だけについての質問ではなかった。つまり、「安全を感じられる年代」でもなく、「安全を感じられる心理境遇」でもないからだ。前回のポストの延長線にある質問。

          藁をつかもうとしてしまうこと

          現代の厄年?「サンドイッチ世代」

          どうやら、私は「サンドイッチ世代」という厄介な世代らしい。欧米でいうこの世代の定義は、ほとんどの場合、40代後半から50代前半の壮年期の人々をさす。子供がまだ小さく手がかかる年で、同時に両親も高齢になり、健康が危うくなってくる。このふたつに挟まれ、さらに、社会的、仕事上でも責任のある役職に配属されるようになってくるため、どこを向いても、がんじがらめのストレスで苦しくなる世代だという。考えてみれば、日本にも昔から「厄年」というものがある。その定義では、キツくなってくる厄年世代は

          現代の厄年?「サンドイッチ世代」

          弾き手、ではなく聴き手

          前回のポストの続き、だったりする。本当に「心に響く音楽」とはどういう演奏だろう、と思いをめぐらしてみた。自分が演奏することはまず考えない。孤島に一生残される羽目になり、一つだけ持参できれば、どの音楽を選ぶだろうか、という質問。 やはり、私にとっては、バッハ (J.S. Bach) だろう。 上のリンクは、音楽史上最高レベルの傑作だと讃えられている「マタイ受難曲」のアリア、「神よ憐れみたまえ」だ。数あるビデオから選ばせていただいた。このバージョンは、「映像の詩人」と呼ばれ、

          弾き手、ではなく聴き手

          ほんとうに心に響くピアノ演奏とは

          続行中の心理セラピーがついに、「ピアノ・ネタ」に行き着いた。 ピアノ、か・・・。70年、80年代に子供時代を過ごした日本の方々には分かってもらえると思う・・・。あの時代には、5歳、4歳くらいからピアノを習う羽目になった人たちも多かった。我が家では、私が習い始めたのは5歳半くらい、だった。なぜ、「我が家」という単位なのかというと、私の意思で始めたわけではなかったからだ。すべて、当時の「親の期待」によるものだった。当時のトレンドでも、「ちいさな女の子だったら、ピアノだね!」とい

          ほんとうに心に響くピアノ演奏とは

          英BBC発信、逆輸入ネタ:「とある日本人夫婦」とお互いの「境界線」、について

          50代になってからとても忘れっぽくなった。心理セラピーを続けていても、セラピストと話した内容や、「これだ」と感嘆したことさえ忘れてしまうことがある。お恥ずかしい限りだ。また、何かに記しておいても、紙切れをなくしてしまうか、どこに置いたかわからなくなる。その上、私のブラウザーのブックマークさえカオスの世界だ。というわけで、自分にとって大事なことはブログに書いておくことにした。 今回は、心理セラピーにまつわるネタで、最近見て考えさせられたリンクを貼っておくことにした。 まずは

          英BBC発信、逆輸入ネタ:「とある日本人夫婦」とお互いの「境界線」、について

          世代間トラウマと親の愛情とは?

          しばらくブログを書く暇が全くなかった。 心理セラピーも停滞中だ。年末から3月末にかかって、風邪、インフルエンザ、コロナと連続で私と家族ともども、ほとんど「交代」で感染し続けた。人間は、体調が悪くなると、機嫌も気分も、何もかもが否定的になる。そんな中、不機嫌ながらもセラピーは続けた。 去年の10月頃以降から世代間トラウマの家族調査をセラピストと一緒に行っている(世代間トラウマについての過去のポストはここ)。現時点の結論では、私の両親、祖父母たちのほとんどが前戦争の影響で、ひ

          世代間トラウマと親の愛情とは?

          侵略者の子供を育てた人たち、見殺しにした人たち

          しばらく多忙になるので、ブログを書く暇がない。とりあえず、以前アメーバーに投稿した以下の記事をノートに再投稿することにした。 欧州のクリスマス休暇中に、90年代の日中共同制作NHKドラマ「大地の子」をDVDで観た。山崎豊子の小説作品をもとにした、日本人残留孤児問題という深刻なテーマを扱う硬派歴史ドラマだ。モンテカルロ国際テレビ祭最優秀作品賞ゴールデンニンフ賞も受賞している。 一番心に残るのは、主人公の日本人残留孤児、陸一心の「二人の父」の名演だ。実父・松本耕次を仲代達矢、

          侵略者の子供を育てた人たち、見殺しにした人たち

          トラウマによる「近親感」と英国王室の陰惨ドラマ

          先週末にポストで書いた、トラウマで著名なカナダ人医師ガボール・マテ(Gabor Maté)についての最新ニュースを見てびっくりした。彼は、英国王室の反逆児、あのハリー王子のトラウマ・セラピストだったようだ。普段、英国王室ネタにほとんど興味がないので、これは全く知らなかった。王子とのセラピー対談のインタビューが公開され、大きな議論をかもしだしている。 それはともかく、私は、今まで、全く、というかほとんど興味のなかったハリー王子に突然のごとく、近親感を覚えた。 前回のポストで

          トラウマによる「近親感」と英国王室の陰惨ドラマ

          トラウマ:「規律と勤勉」重視、恐るべきプロイセン式教育の原点をドイツ映画で観る

          トラウマについて、書いておきたいことがいくつかある。 まずは、下のクリップを観ていただきたい。ドイツ語だが、口調と重苦しい雰囲気だけでもほとんど伝わる。とりあえずは、このポストの下に意訳を書いておく。それより、子供達の表情に注目していただきたい。 これは、厳格なプロイセン時代を舞台にしたドイツ映画「白いリボン」(2009年)のシーンだ。この映画は、第一次世界大戦勃発とともに終結し、後味がとても悪い。奇才ミヒャエル・ハネケ監督の反ファシズム・メッセージがひしひしと伝わってく

          トラウマ:「規律と勤勉」重視、恐るべきプロイセン式教育の原点をドイツ映画で観る

          トラウマをリフレーミング(再構築)してみる

          トラウマ、中毒症などの研究で著名な、ガボール・マテ医師の短い対話ビデオについての考察(カナダ発)をしてみた。 「思考エクササイズ」形式で、たった7分間だが、かなり濃い内容の対話が行われている。以下、下手な日本語翻訳で申し訳ないが、一部を意訳要約してみる。 マテ医師:あなたと、ちょっと思考エクササイズをしてみましょう。何か最近、嫌なことがありましたか?内容は、どのようなことでもいいですよ。 ティム(対話相手):どのようなことでもいいのなら・・・そうですね。最近、家の中がゴタ

          トラウマをリフレーミング(再構築)してみる

          加害者としての世代間トラウマ

          このポストは、以前アメーバに投稿したものの転用。このトラウマの件について新しい投稿を書きたいと思ったため。後ほど、この件に関しての新しい記事を投稿する。https://ameblo.jp/naoyama1971/entry-12778744480.html セラピストのビアンカが、世代間トラウマについての記事をメール添付で送ってくれた。まず、上に貼った写真について。これにはぞっとする。若い女性が、カーテンの向こうに誰がいるのかと探ろうとしている。そして、その向こうには、ナチ

          加害者としての世代間トラウマ