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R5/1/11川根本町議会【請願審査特別委員会】について①

【請願審査特別委員会が開催されました】

令和5年1月11日、川根本町議会の請願審査特別委員会が開かれました。
請願審査特別委員会とは、議長をのぞく11名の議員で構成される委員会で、議長あてに出された請願書を審査するものです。
(委員長:澤西省司議員 副委員長:野口直次議員)

【請願とは】
憲法で保障された権利である。
国や地方公共団体などの公共機関に対して、その所管する事務について一定の措置を行うよう(または行わないよう)要望を文書で伝えること。
誰でも、一人でも請願をすることができる。
議会への提出をする場合には、必ず1人以上の議員の紹介が必要。
紹介議員となる議員は、内容に同意した上で請願書の表紙に、署名または記名押印する。
請願が議会で採択されると、議会はその請願の内容について、最善の努力をすべき政治的、道義的責任を負うことになる。


>今回、委員会に付託された事件は2件。請願内容とその結果

《請願第1号》補聴器購入への補助制度の創設を求める請願
〈紹介議員〉大竹勝子議員、中原緑議員、石山貴美夫議員
【結果】採択4不採択6→請願第1号については不採択

《請願第2号》中川根第一小学校の全施設を町民が広く利用できる場所にできることをもとめる請願
〈紹介議員〉 石山貴美夫議員
【結果】採択4不採択6→請願第2号については不採択 


委員会審査の流れは、以下①~⑥による。
①紹介議員の説明
②参考人の発言
③役場担当課の説明
④質疑応答(基本的には委員から紹介議員への質疑。委員長の判断で参考人も発言できる)
⑤討論
⑥起立による採決(採択または不採択)


>委員会内での質疑等の内容と所感

<請願第1号> 補聴器購入への補助制度の創設を求める請願

〇請願第1号の趣旨
 私達の町は高齢化率がほぼ5割となり、聴覚が衰える方も増加し、難聴のために人付き合いも不足になり、火災や地震等の災害に対しても対応が遅れて大きな事故になりかねません。認知症やうつ病の原因になる可能性もあると指摘されています。
 補聴器を装着して適切な調整や支援が行われれば、多くの場合日常生活に支障のない程度に生活の質を改善できます。補聴器は高価なため、年金暮らしの高齢者には重い負担となります。一日も早く補助制度を作っていただけますよう、議会において本請願の採択をお願いします。

請願文書内「請願の趣旨」

まずは紹介議員の三名、その後参考人の方、そして担当課である高齢者福祉課長から説明を受けました。

その後の質疑では、
補聴器の補助の前に整えるべきことがあるのではないかという主旨の意見、質問が多かったように思います。
例えば、定期健診等の健康診断の際に、難聴かどうかを詳しく判別できる聴力検査を設ける等。

_____

請願を採択するということは、<内容について、最善の努力をすべき政治的、道義的責任を負うことになる>ので、長い目でみると、議会や行政に対しての信頼というところにかかってきます。

本議会の一般質問で、(一見だれもがよいと思う)思いつきのような意見を言っても、実現が現実的ではない案(予算や人的課題等)では、多くの場合行政は動きません。(検討します、参考にします、という答弁になることが多い)

それは、地方公共団体の原則として「最少の経費で最大の効果」というものがあり、そのためにはかなりの情報量と的確な状況判断が必要で、なにかの判断や決定は諸々の条件や情報、状況を勘案しながらしていくものであるので、予算の使途を思いつきで決めるようなことはないからです。(基本的には。)

「地方公共団体は、その事務を処理するに当っては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」

地方自治法第2条第14項

なので、行政等に案を出す際には、実現可能である裏付けと、その案のもたらすであろう効果、その根拠について、行政等の判断を上書きできるくらいの情報量をもつこと、そして、熱量が必要だと考えます。

採択された請願は、その案を出す人自身が全体像の見えていないことでも"議会の意見"としての強い意見になってしまうので、請願の採択はかなり慎重な判断が必要です。

>私がこの<請願第1号>を不採択とした理由

私個人的には、委員からの質問に対して、請願提出側の答弁が全体的にすっきり答えられていなかったことが気になりました。
紹介議員の方が言うには、「詳しいことはプロじゃないからわからない。請願の目的は民意を行政に伝えること。その後の詳しい内容は行政の担当が考えること。議会はその案に対して議論する」とのことなのですが、具体的なイメージがない状態で請願を出すということについて、少し危険だなと感じました。

補聴器は、値段帯が幅広く、ピンからキリまでありますが、安価なのものだと補聴器に対してのストレスが多く、結局つけなくなってしまう例が多いと聞きます。

請願の趣旨にある「適切な調整や支援が行われれば、多くの場合日常生活に支障のない程度に生活の質を改善」ということのための"理想"は、
耳鼻科等で診断をうけ、言語聴覚士や認定補聴器技能者が対応してくれる販売店でパーソナライズ(個人に最適化)された補聴器を購入し、定期的に調整してもらうことです。

難聴を早期発見するための方法、医師による診断から補聴器の調整までの全体的な流れを具体的にイメージした上で、現状の川根本町に足りないのは補聴器購入の補助だ!という主張であればわかるのですが、全体の流れからのアプローチを感じなかったので、私は不採択としました。

他の委員からの質疑も、おおむねそういう内容だったように思います。


>委員会においての結果(各議員の判断)

採択4(大竹、中原、石山、中澤)
不採択6(佐々木、中野浩、藤田、中野暉、中田、野口)
よって、不採択。
※敬称略。杉山議長、澤西委員長は採決には加わりません。
__________

なお、請願は委員会での採択の後、本議会にて委員会報告、その後に議決となります。


<請願第2号>については、②に続きます。

https://note.com/nao_folkknot/n/n689a63f0648f

川根本町議会議員 佐々木直也

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