『好き』の中にお互いの夢と可能性と人生をちゃんと抱きしめていられるといいね(ドラマ"マイハル"、"帰して"感想)

夢中で見てきた2つの秋ドラマがちょうど佳境を迎えつつある。1つは、"マイセカンドアオハル"、略してマイハル。2つ目は "帰ってきたらいっぱいして"、こちらは"帰して"と略される。

キュンキュンを摂取するためと思って見始めたこの2つのドラマだけど、意外にずしんと心に刺さっていて驚く。よくよく考えたらヒロインが同年代だからだろうか。

建築に携わる夢を諦めきれず30歳で大学に入学、同じ分野で才能溢れる年下彼氏"拓"にインスパイアされながらも真っ直ぐに相手を応援する"マイハル"佐弥子さん。
"激烈仕事脳"の漫画家で寝食も忘れるほど仕事にのめり込み、同居人(まだ?彼氏じゃない)"直哉"のおかげで成功する"帰して"朱音さん。見るきっかけになった2人(道枝くん、小島くん)のキャラももちろんいいんだけど、両ドラマともこのヒロイン2人の強さと繊細さが、3ヶ月間心を掴んで離さない。

ここから先、ドラマの最新回(12/16現在)のネタバレ含まれるのでまだ見ていない方、ご注意ください。


◾️"帰して"朱音さん

1話に1回は、何も食べず一日中漫画執筆に集中したり、上手くいかなくて暴れる朱音さんの姿を見ることができる。だからこそ、"嘘がない"と言われる朱音さんの漫画。

そんな朱音さんに新彼氏である歩くんが何を言うかって。今日は仕事お休み!、とか、大好きな朱音さんが自分を労わらないのは嫌だとか、漫画家じゃなくても朱音さんが好きだよ、とか。
おいいいい歩お前ぇぇふざけんな!!!!
って1人でバシバシ太ももを叩いてしまったわけですよ。私は。どうやって生きてくんだそんなんで!朱音さんは!!

最新回、とうとう抜け殻になって家を飛び出した朱音さん、探しに行く小島健!…じゃない直哉くん。
"朱音ちゃんから漫画とったら何が残るのw"
"私もそう思うーーー
😭"
この再会のくだりに泣いた。全ワタシが、泣いた。そう思う。そう思うよ小島健。

一般的には歩くんの方が優しいしちゃんとしている男性なのだけど、私がもし朱音さんでもあんな風に心からの優しさで"仕事してなくたって好き"とか言われたら、同じように逃げ出してしまうだろう。違うもん、なんか絶対違うもん。まだ叶わない夢や好きになりたい自分、も含めて好きになってほしいし好きになりたいなぁ、それって難しいことなのかな。


◾️️"マイハル" 佐弥子さん

"拓、別れよ" 、から始まる最新回のお別れシーンはとても美しかった。無理して笑う少し強張った笑顔から徐々に本音をぶつける佐弥子さんの表情の変化がそう思わせたんだと思う。(広瀬アリスさんの演技力すごいよな、、)

佐弥子さんという人はエネルギッシュなのに繊細で、だからこそ恋愛も夢も含めて"人生の潮目"みたいなものを読み取る力がピカイチで。だから自らとの別れを引き換えにでも、拓くんの可能性を潰しちゃいけないと覚悟できたんだろうな。

そして彼女は、同業(?)彼氏との遠距離恋愛の是非という、恋愛・夢・女性としての人生とが交差するど真ん中に立たされる。キッパリと別れを切り出しつつもいざ相手から別れを切り出されると狼狽する、そんな佐弥子さんの繊細な心情のリアリティに心が震えた。
世界で一番応援してるから!と旅立つ拓に声をかけるところで涙腺がギブアップしました。無視して歩くくせに泣いちゃってる拓くんも。先週、"お前なよなよしてんじゃねーよ!!"とか思っちゃってごめんな拓くん。

ここでも"帰して"と同じように、お互いの夢や未来の可能性みたいなものを包含した上で、好きでいたい、じゃないとやっていけない、厳しい2人が描かれている。別に佐弥子さん、拓が海外に行かないと言う決断を喜んでもよかったはずなのだ。



どちらのドラマも、どんな結末かはもはやどうでもよくて、両ドラマのヒロインがどんな価値観で悩み前に進もうとするのか、最愛の相手はそれにどう答えるのか、そのプロセスを最後まで見届けたいなぁと思っている。



年末で、飲み会も多くって、"いつ結婚すんの?"とか全然悪気なく聞かれる場面もたくさんあった。仕事か家庭か、というわかりやすい2択で説明することは簡単で、みんな"まああなたは仕事大好き人間だもんねえ"と一旦納得するような顔を見せてくれるのだけれど。
ドラマを見て思う、そうじゃないんだ。多分私も、自分の夢や可能性みたいな、"今ここに実在しないもの"も含めて好いたり好かれたりしたい、ただのワガママな女の子なのだ。仕事か、結婚か、の2択じゃない。人生全部、同じ。

ぶっちゃけ今は、彼氏に可愛いねと褒められるより作った資料が分かりやすいと褒められる方が嬉しい気がするし、週末どこに行こうかとネットを叩くより、新しい製品ローンチのために市場調査をしているほうが断然ワクワクしてしまうと思う。同時に、アラサー女子としてそれはダメなこと、いつかは変えなきゃいけない価値観なのだとずっとずっと思っている。

今シーズンのドラマに出てくるヒロイン2人は同世代なのにまっすぐで真面目で、そんな自分に自分自身が振り回されていて大変そうだけど正直羨ましい。あくまでこれらはドラマで、実際そんな綺麗に条件やタイミングが合うことなんかないんだけど、合わないからこそ自分が何を拠り所に生きていくのかどこかで腹を括らないといけないんだと思う。夢も仕事も恋愛も。

まあ人生は長いから、そんな自分を貫こうとするもよし、一旦目を瞑って人並み(?)に歩んでいくものよし、なのかな。

とりあえず来週以降の"帰して"で小島健が大大大爆発することが今の楽しみです。

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