また、ここに戻ってきた。
何故同じ所に戻ってきてしまうのだろう。

午後9時。

必ず何処かで引っかかる。
家に辿り着きたいのに、どの道を行ってもこの空き地にやってくる。

10度目、またこの空き地に辿り着いた時、私は気が付いた。

時計を見る。

午後9時。

同じ時間だ。

時計は最近買ったばかりなので、止まっている、なんてことはないはずだ。

その時、突如として耳を劈く大音量の何かが聞こえてきた。誰か、の声?のようにも思える。誰、何。
私は耳を塞いだ。

音が止んだ時、空き地にぽっかりと大きな穴が開いている事に気が付く。

時計は、
午後9時1分になっている。
時間が動いた!

この穴は何だ。

下は真っ暗闇。
怖いもの見たさで入るべきではなかったか。

一直線に落ちて、途端に意識を失ってしまう。

──目が覚めた時。

私は自室のベッドの上にいて、
漸くここで夢だと気付かされた。

一つ息を吐き、取り敢えず時計を見た時に怪訝に思う、

午後9時。

何か黒煙が頭の中に渦巻く様に感じられる。

カーテンを開ける。
そこには見覚えのある広大な空き地が広がっていて、そこには、
私がいた。
確かにあれは私である。

窓を開けて、
叫んでみる。

私は耳を塞いでいた。
でもそこで何かに頭をぶん殴られた様な心地がして、暗闇に吸い込まれる。

目を開けると、よく分からん住宅地らしき所にいる。
不思議に感じて歩くと、また空き地に辿り着く。
ここからは抜け出せないのだ、と悟った時、ふと時計を見ると午後10時になっていて、果て?と感じたのだが、
私はこの空き地が、私の住居が建っていた所だとその瞬間に閃いたのである。
とっくに家に辿り着いていたのである。
何故見覚えのある景色を歩いているのに辿り着かないのかと思ったら。

だとしたら、私の家は?
ねえ、私の家は何処なのですか?


20XX年11月10日。ある一軒家で無惨な殺人事件が発生した。その内の一人が、その事件以来姿を消していて警察が血眼になって捜している、その人は重度の精神病を患っている。
それから10年、未だに姿は見つからず、家はもう取り壊されて、近所の子供は心霊スポットと半分本気半分冗談で怖がっている。
そこへ、肝試しで夜にやってきた子供達が、何とも惨たらしい見た目の人物がウロウロしているのを見て、思わず逃げ出したらしい、のだが。
午後10時、頃だったと思われる。

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