混濁

意識を一旦脇に置いて、その意識を再び脳に戻した時、AM4:00。
目の前の、ガラスのコップの底に薄ら沈む、葡萄味のジュースの様な色した空に目配せし、寝惚け眼を擦りながら軽くシャワーを浴びる。その間10分。
テレビを付けると、甲高い声のおばさんによるテレビショッピング。映し出されている電話番号に電話をかけて、繋がった瞬間にブチ切り。という遊びをして、独りで大笑いしてる辺り、精神科に行った方が良いのかもしれない。
通信制限がかかったスマホだけを持って、コンビニに行く。キャッシュレスにしたけど、自分には合ってない気がする。
アイスコーヒーの氷が溶けるのを、地球温暖化で溶けゆく南極の氷に見立てて、その氷をカラカラ動かして無邪気に飛び跳ねる。こんな時間に働いてくれててありがとうね。何でだよ。こんな時間、世界中全員眠ってたら良いのに。そうして、自分一人だけ起きて外に出て、全てを独り占めしたいのに。

人間の事など、0.1%も解明されていないと思われる、何も分からない、何も分からない。一人でいる事が好きな筈の根暗女子が幸せな結婚をした。いつでも元気で周りを明るく照らしてくれるような奴が鬱病になった。人間をステレオタイプに当て嵌めてみたところで、必ず裏切るような事実が明るみになる。自分の事も、自分ですら分からない。全てが思い込み。全てがフィクション。細かな記憶の断片をパズルのように組み合わせて出来上がった偶像。本当は、世界はモノクロであり、色があるように錯覚しているだけ。錯覚。それが真理。死んだら終わりで、死後の世界など無い事は皆心の底では薄々勘づいている筈なのに、それでも天国だ地獄だ幽霊だ神様だを創り出して縋るのは、誰一人として結局死の存在を認めたくないからだ。過去も現在も未来も理想も現実も宇宙もこの世界の全てが複雑で壮大な作り物だ、ロマンだなぁ。

そんな馬鹿馬鹿しい思想をつらつら書き連ねる内に、AM7:35。人々が動き出している。

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