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わたしがおばさんになっても

母は、この歌が嫌いだった。

理由は、うーん。忘れた。ただ、女性が自分を「おばさん」と卑下するのが好きじゃなかったんだと思う。40歳ちょっと前まで生きた母だけど、彼女はいつも綺麗にしていて、確かに「おばさん」って感じではなかったと思う。

当時、子どもでしかなかったわたしにとって、子どもを生み育て、そこそこに年齢を重ねた女性が「おばさん」であるかどうかは、そんなに重要なことだとは思えなくて。自分の母親や、その周りにいる「◯◯ちゃんのお母さん」は、おばさんといえばそうだし、そうじゃないといえばそう。そんな程度のものだった。

でも自分が同じ年齢になってみて思うのは、「おばさん」というのは嫌な言葉だな、ということだ。

べつに、自分を若く見せたいとは思っていない。そりゃ、年齢よりちょっと若く見えれば嬉しいけれど、無理して若作りしたいだとか、美魔女とか呼ばれたいとか、そんなことは思ってない。でも「おばさん」はないわ……と思うんだよね。

同い年でも、やたらと自分を「おばさん」と呼ぶ子もいる。わざわざそんなこと言わなくたっていいのに、と思ってしまう。言ったって言わなくたって、年齢は変わらないんだし。むしろ自分を「もうおばさんだから~」と言うことで、実年齢より5歳から10歳くらい気持ちが老け込む、ような気すらする。

母は自分のことを「おばさん」とは言わなかった。わたしが今自分のことを、滅多にそう呼ばないのも、母の影響が強いのかもしれない。

じゃあ、やたらと自分をおばさん呼ばわりする子のお母さんは、やっぱり自分のことを「おばさん」と呼んでいたんだろうか。……そうかもしれないな。わたし達の頃は、「◯◯ちゃんのお母さん」なんて言わず「おばちゃん!」とか呼んでいた時代だった、ような気もするし。

何はともあれ、おばさんなんて嫌な言葉でしかない。「おじさん」にはなんとなく、良いニュアンスも含まれていることが、ときどき、ある気がするけれど……(ちょい悪オヤジ、とかさ)おばさんには一切ない。

もう少し年をとったら、わたしも自分で自分を「おばさん」と呼ぶだろうか。うーん、どうかな。なんだかんだ言って、呼ばない気がするけど。

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