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読書ノート【読書の技法】佐藤優

「熟読できる本の数は限られている」というのは、読書の手法を考えるうえでの大原則である。読書に慣れている人でも、専門書ならば300ページ程度の本を1ヶ月に3〜4冊しか、熟読できない。複雑なテーマについて扱っている場合には2冊くらいしか消化できないこともある。重要なのはどうしても読まなくてはならない本を絞り込み、それ以外については速読することである。1ヶ月に熟読することができる本が3〜4冊ならば、それ以外の本は速読することを余儀なくされる。

P26

読書は熟読することで、知識として身につくことが前提。だから読める本は、厳選する必要がある。そのために速読をする。速読は熟読があってこそのスキルとなる。

重要なことは、知識の断片ではなく自分の中にある知識を用いて、現実の出来事を説明できるようになることだ。そうでなくては、本物の知識が身についたとは言えない。

P58

本を読み終えることが目的となってはいけない。自分の知識にすることが目的。使える知識にすること。そのために本を読む。他人の経験を追体験できるから、読書はコスパが良いとされる。他人の考え方をしることも可能。

熟読法の要諦は、同じ本を3回読むことである。基本書は、最低3回読む。第1回目は線を引きながら通読。2回目はノートに重要箇所を抜き書き、そして最後に再度通読する。

P63

具体的な説明。ある分野の知識を身につけるには、基本書を最低3冊必要。できれば5冊用意することが望ましいと説明されている。たとえ本同士で意見が分かれても、奇数であれば多数決をとることも可能。

囲んだ部分のすべてを書き写すには及ばない。定義、数字、固有名詞などに言及がある部分と、重要だと思うのだが、自分で意味がよくわからない部分を書き写すのだ。そして、欄外に「わからない」とか「○○の言説と対立」といったような書き込みをしておく。要は写本をつくることが目的ではなく、理解するために抜き書きをするという原点を忘れないことだ。

P68

目的は自分の中にある知識で、現実の出来事を説明できるようになること。そもそも知識が少ないと説明できる範囲がせまいまま。だけど、1度にすべてを身につけるのは不可能。書き出す範囲を絞ること。

超速読の目的は2つある。ひとつは、前述したように「この本が自分にとって有益かどうか」「時間をかけて読むに値する本かどうか」の仕分けである。しかし、この判断ができるためには、その分野について一定の基礎知識があるというのが大前提になる。すでに十分な知識がある分野か、熟読によって付け焼き刃でも一応の基礎知識を持っている分野以外の本を速読しても、得られる成果はほとんどない。知らない分野の本は超速読も速読もできないというのは、速読法の大前提だ。

P78

まずは熟読から。最初は熟読する本を選ぶ速読スキルは必要はないのかもしれない。入門書などはベストセラーや選書などを利用すればOK。だから最初は速読するスキルにこだわらず、熟読するスキルを身につけるべき。

ゆるい形で本を読む習慣が身についてしまうと、いくら本を読んで知識を取り入れても、頭の中に定着していかない。本を読んで、「あっ自分も知っている」という感覚は味わえても、「では、どう知っているのか」と突っこんだ質問を改めてされると答えられないのだ。それは取り込んだ知識が自分の中で定着していない証拠である。

P101

読書の目的を忘れてはいけない。現実の出来事を自分の中にある知識で説明できるようになること。手段の目的化はだめ。どれだけたくさん本を読んでも意味がない。

裏返して言うならば、ビジネスパーソンが基礎知識を強化しようとする場合、高校の教科書と学習参考書を手引にして、それに少しの工夫を加えれば、短期間、具体的には半年から1年で、かなり高いレベルの知識と教養を身につけることができる。

P124

専門知識を身につけるための土台となる知識が、高校レベルの知識。知識は積み上げていくものだから、基本的な知識の欠落があると、専門的な知識をみにつけるのに苦労する。


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