見出し画像

目を瞑った方が見えることもある

「ローズウッドと沈丁花って似てない?」

数週間前、たまたまそんな話題を友人としたばかり。和の花なイメージの沈丁花と洋物のローズウッドとの関連性を見出せずにいたのでその時は
「言われてみればそうかもね」程度の解釈でした。

その後、街で沈丁花の香りと出会うたびに彼女との話をつい思い出してしまうものだから。

信号待ちの折に目を瞑って香りをじっくり味わってみたら。「案外、似ているのかもしれない」
そう感じました。

視覚を閉じる。
嗅覚のみに感覚を集中してみる。

私たちは目に入る情報に大きく左右されているということがよくわかります。

それゆえに自分が日頃強くイメージしているものや、こうだ!と強く思っている信念に引っ張られることで、物事の本質から遠く離れたところに辿り着いてしまうことも多いのかも。

香りと記憶の関係

それにしても、このところ沈丁花と出会うたびに友人の話を思い出してはあれこれ考えていた自分を思うと、やはり香りは記憶と大きなつながりを持っていると感じさせられます。

そもそも香りは鼻の中で香り分子をキャッチし嗅神経を通り大脳辺縁系へと伝えられます。この部位の脳は喜怒哀楽を司る部分でもあり記憶と結びつきの深い海馬もある場所です。

焼きたてのパンの香り=美味しそう
新調した畳の香り=清々しい、青々しい

これらはわたしの感想ですが、想像しただけでもご自分なりのパンや畳の香りや思い出が蘇りませんか?

赤ちゃんの匂いのイメージ

急に息子が赤ちゃんだった頃に彼がよく発していたミルク臭を思い出しました。すると…愛おしさと共に抱っこした時の安らかな気持ちや安心感がイメージとして湧いてきます。だからと言ってわたしの子育ては決して100%平和に満ちたものではなくそれなりの「ままならなさ」「疲労」に悩まされてはいたのに。それでもわたしのミルク臭からの思い出は「良き思い出」としてインプットされているのだから不思議。当時の睡眠不足で辛い日々すら帳消しになるほどわたしにとっては大事な大事な思い出として息づいてるようです。ちょっとうれしいぞ。

香りから安心をサポートする

そう考えると気持ちの安定や安心には、自分が心地よいと感じる香りを日々のお共に添えてあげられるといいのでしょう。香りで心地よさを呼び寄せ、心地よさが穏やかな記憶となって脳にインプットされていく。見事な心身の安心安全サイクルです。

大人になっても幼少期から持っているぬいぐるみを大事にしてたり、ボロボロになったタオルケットを捨てられずにいるという気持ちはわからないでもないな。

わたしは雨が降る前のしっとりとした空気の匂いも好きだし、満開の桜の下のうっすらとした桜餅の香りに春満開を感じたりもします。青臭い香り、冬の夜空を見上げた時の鼻腔をツンとさせる冷たい香りも好き。

そのうち、脂汗したたる息子の靴下の匂いとか何ともいえない頭皮の匂いとかも懐かしい思い出になるのかしら。

こんなふうに季節が巡るごとにたくさんの景色やそれに応じたさまざまな思い出が記憶として積み重なってゆく。

日々を丁寧に眺め観察する習慣って、なんでもないようなことだけど人生を豊かにしていきます。

自然が教えてくれること

美術館は準備期間で中は見られず
こちらでもたくさんの沈丁花に出会いました
やわらかな光に包まれて
こちらは何の実でしょうか?

さすがお庭はお手入れが行き届いていて、訪れた日も木の剪定が行われてました。きれいに刈られた芝生にはいくつかベンチが設置され、家族連れ、カップル、学生さんなどがランチしたりおしゃべりしたりと思い思いにくつろぐ風景も見られました。ゆっくり深呼吸。ふぅー気持ちいい。

枝を剪定してあげることで新たなる季節にぐぐんと枝葉を伸ばせるように整えてあげる。お肌のお手入れ、お体のメンテナンスもそうだけど、こまめにお手入れしてあげるってホントに大事。これって、すこやかさや美しさの秘訣です。そしてシンプルイズベスト。

何事も魔法のようにはいかない。短時間でも日々のシンプルな自分整え時間をちゃんと作ってあげることがわたしの日常における最良のご褒美。面倒くさがらずに丁寧に毎日に向き合えることが幸せって思うのです。忙しい時は手順を省いたりすることもあるけど、毎日できるか以上に意識を向け続ける心持ちのキープに注力していきたいです。

歳とったせいとはいいたくないけど、スロウに生きる楽しみって、なんでもなさにかけがえのないものを見つけていくことです。わたしにとってはね。

窓を開けると春の香り。冬のカラッとした空気とは明らかに違う。やわらかな光にしっとりした空気がはらんでる。鼻から吸い込むごとに、ほのかな希望が肺を通って体いっぱいに満ちてくような。そんなみずみずしさに心と体を浸しつつ、また春がやってきてくれたことがうれしいな。
ありがとう。


いただいたサポートは、わたしからどなたかへと再びぐるりと巡らせます。 ありがとうございます^^