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兵庫県の北部、但馬と呼ばれるエリアに位置する新温泉町に月、数回ペースで通っています。元は「ママ友」で、数十年来の親友でもある友人の故郷であるこの町に、足繁く通うことになったのか、経緯も含めてお伝えし、自己紹介とさせていただきます。


きっかけは豊かな海と温かい友人家族のもてなし

息子が通う保育園で知り合った「ママ友」は、夫婦揃って新温泉町の出身です。当時、彼らの出身地の話を聞いたときに、地元の学校は「温泉小学校」、地名には「湯」が付くという「湯村温泉」について初めて知り、好奇心がムクムクと湧いてきました。温泉好きということもあり、夏休みを利用して家族で遊びに行ったのが訪問の始まりでした。
実際に訪れた「湯村温泉」は、98度に達する高温の温泉が湧いており、無色透明の湯は、肌がツルツルになる泉質で「美肌の湯」を実感。さらに、山陰海岸ジオパークに位置する浜坂や居組といった海水浴場は、関東出身の私にとって信じられないほど美しく、個性豊かな奇岩に囲まれた海辺で過ごす時間は、忘れられない特別な体験でした。

湯村温泉

実家が横浜の団地ということもあり、田舎らしい田舎のない自分にとって何より楽しかったのは、自然体験はもちろんのこと、友人夫妻のご両親や親族、ご友人達と過ごす心温まるひとときでした。
庭先でご馳走になったバーベキューや海水浴に持たせていただいた友人のお母さまが握った具沢山のおにぎり、夜な夜な灯を消さないように線香を焚き続ける盆踊りなど、都会暮らしの中では味わうことのできない濃密な時間でした。まるで自分の実家に帰ったような居心地の良さに味を占め、それから数年間、夏休みのたびに通っていました。

20年ぶりに訪れた町は山も豊かだった

子どもの成長と共に、結婚生活を解消し、新しいパートナーと暮らす中で、新温泉町を訪ねる機会は途絶えていましたが、「ママ友」との友情は続いており、彼女から100DIVEという地域課題解決のプロジェクトに新温泉町がテーマアップされていることを聞き、二人で参加することにしました。2022年初夏のことです。
同プロジェクトでは、”200世帯のくらす奥八田(おくはった)という地域の資源を活用して地域の基盤を守り続ける”というテーマに対して、約3か月間で、新たなローカルビジネスを創出する提案を行うものでした。
私はこの時に初めて、奥八田という新温泉町の南部、鳥取県に隣接する山深い地域を訪れることになりました。
この土地に広がる山や棚田の緑色が実に目に鮮やかで、美しい清流の岸田川、数々の滝など、それまで知らなかった新温泉町の新たな一面を知り、とても驚きました。数年来、新型コロナウイルスの影響で外出規制が続いていたこともあり、余計に豊かな自然は心を癒してくれました。

奥八田地域にある上山高原エコミュージアム「ふるさと館」近くの風景

新温泉町が抱える課題は日本全国の地方で起きている

3か月間のプロジェクトを通じて、地域の話を住民の方から直接、ヒアリングさせていただく中で、少子高齢化や過疎化、地域の主幹産業である農業の担い手不足、獣害問題、空き家問題など様々な課題があることを知りました。
こうした話は、建設関係の仕事をしていることもあり、社会課題として頭では分かっているつもりでしたが、改めて自分事として捉えるきっかけとなりました。提案活動に取り組む中で、同様の課題は日本の至る所で起きていて、そうした課題を解決しようと取り組んでいる若者や自分と同年代の中高年層が、事業を立ち上げたり、ボランティア活動として関わっていることを知り、大いに刺激を受けました。

今度はプレイヤーとして役に立ちたい

これまで個人としては30年以上にわたり、一つの企業で会社員として与えらえたタスクを懸命にこなしてきたとは自負していますが、それらは自ら欲した事業やテーマというよりも、会社が定めた目標に対して、自己研鑽をモチベーションに携わってきたというのが実態ではなかったかと思います。
残念ながら、100DIVEでの私たちの提案は採択されずに終わりましたが、その時に関わった地域の方々や一緒に提案をしたメンバーとの繋がりが、大きな財産として残りました。
50歳半ばに差し掛かり、自らの意志でプレイヤーとして活動してみたい、という欲求が沸々と湧いてきて、プロジェクトが終わった今も、新温泉町に通っています。

ひょうごフィールドパビリオンに認定され、認知度を高めていく

今、活動しているのは、奥八田地域の人々のくらしを資源場として古くから支えてきた上山高原を中心とした自然保全活動を担うNPO法人、上山高原エコミュージアムについて、より多くの方へ周知し、様々な体験プログラムの参加者を増やすことです。そのために、100DIVEをきっかけに知り合ったメンバーで、Walk-hatta(ウォークハッタ)という任意グループを作りました。グループには、新温泉町の地域おこし協力隊3名と地域外(東京・横浜・大阪在住)メンバー3名がいます。
NPO法人の承諾を得て、兵庫県が2025年の大阪・関西万博に向けて地域の魅力をSDGs 視点で発信・体感する取り組み、「ひょうごフィールドパビリオン」へ応募し、2023年2月に認定されました。これは、上山高原エコミュージアムの既存プログラムをSDGs視点で整理し、体験していただくために磨き上げを行い、2年後に本格運用することを目指しています。
NPO法人の活動は、地域の住民を中心に行っており、担い手の高齢化も進んでいます。新たな取り組みによって、これまで以上に負荷を増やさないためにも、「ひょうごフィールドパビリオン」向けのプログラムは、私たちのような地域外の関係者が主体となり、地域の方々の協力を得ながら進めていくことを目指しています。

ひょうごフィールドパビリオン認定プログラムに
ーシワガラの滝ー上山高原の近くにあり、洞窟の中から眺める高さ約10mの滝

第2の故郷を見つけたい方と繋がりたい

2023年度は、「ひょうごフィールドパビリオン」向けのプログラムとして、奥八田で人気のトレッキングスポット「シワガラの滝」を巡るプランの磨き上げを目指しています。秋に向けて、モニターツアーを企画し、多くの方に楽しんでいただくためにどのようなプランが望ましいのかを討議・検討を進めています。
今後、モニターツアーの参加者の中から、新温泉町や奥八田地域のことを知り、自ら訪問してくださる方が増えることを願っています。また、そうした人の中から、自分たちのように「何か自分にもできることをしたい!」と考え、賛同してくださる仲間が増えたら嬉しいな、と思います。
かつて私が魅力されたように、地域の人々との触れ合いや交流が、土地の魅力を伝える有効な手段であると考えています。そこで、地域に暮らす方々のインタビューを行いながら、奥八田地域をより身近に感じていただけるよう、地域の特性や歴史なども含めて外部の目線で発信していこうと思います。
記事を読んでくださることで、”私も第2の故郷を見つけてみたい”、と新温泉町へ足を運んでくださる方がいたら、本当にありがたいです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。


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