「人権擁護委員会からのお返事」について

 小学生の息子さん(7歳)が大阪府の小学生用に配られた「子どもの人権SOSミニレター」に「密な学校が怖いのでオンライン授業にしてほしい」と書いたところ、とんでもない返事がきた、というツイートを見た。(https://twitter.com/DvQfphCjQzvi2Mh/status/1283003859279900672

 返事は、(リンク先に飛んでもらえばわかるけれど)箇条書きにすると、1)たくさんのお友達と一緒にいるのが好きじゃないのかな?、2)家で一人っきりのじゅぎょうもいいけど、ふけんこうになっちゃうよ、3)学校にはオンラインでは学べないことがいっぱいある、4)学校へ行かないとそんしちゃうかも、5)いまはあきらめて学校でがんばってみてはどうかな、6)いいことが見つかったらまたお手紙ください。

というもので、そのあまりのズレっぷりに心底驚きと苛立ちを覚えたので、今からこの「お返事」がいかにピント外れかを冷静に見ていきたい。

 まず、小学生くんの要望は、「感染が怖いからオンラインにしてほしい。」である。これに対し、ウイルス感染について全く言及していない、というのは、手紙の日本語が読めていないとしか言いようがない。

 次に、オンラインを真っ向から否定していることも、時代遅れも甚だしいと言えよう。休校中にオンライン授業が進まなかったのは、主に「全員が同じ環境で受けられない以上、導入すべきではない」という学校が多かったためだ。事実、朝の会をオンラインで実施したところ、その学校では好評だったが、それを知った別の学校の親から「なぜうちの学校ではしてくれないのか」という教育委員会への問い合わせがあり、じゃあその学校でも実施したのかなと思ったら、なんと朝の会をやめさせられた、という例が新聞で紹介されていた。また、若手教員が動画配信をしようとしたら(文面から、どうやらYouTubeらしい)、別の教員が「不平等になる」とか「危険だ」と言われてやめざるを得なかったという例もあった。要するに、未知の領域に挑む気はなく、かつ「できない状況を何とかする」気もなく、足並みが揃わないからやめておく、という体質である。これに対し、読字障害などがあって、対面授業にはうまく対応できず、学校を休みがちだった子が、オンラインでは別人のように生き生きと勉強していた、という例も紹介されており、オンライン授業は今後の教育の可能性を開くものとして模索されているし、また第二波に備えて、各学校で準備が進められている。多分この辺りのことをこの回答者は何も知らない。

 さらに、「あきらめてがんばれ」という謎の励ましである。これは一体何が言いたいのだろうか。感染リスクをあきらめて、危険極まりない状況でがんばれ、ということか。あるいは、感染の話、ということが読めていないので、「学校嫌いのコメント」として読み取り、かつオンライン授業をわがままととらえて、「あきらめて」という言葉を使ったのか。いずれにしても、悩み、訴えに対してこういう回答というのは、悪いお手本の極み(実際にはこんな人いませんけどねーというマクラとともに紹介されるレベル)ではなかろうか。

 そして最後に、この回答が、大阪府の人権擁護委員連合会という、法務局の組織から出たものであるということだ。仮にも公の組織の名を冠して回答者として手紙を書く以上、児童心理学、カウンセリングなどの勉強くらいしたらどうだろう。一体何を考えてこういう回答をしたのか、真剣にその思考回路をのぞいてみたい。

 というわけで、今からこの人の思考回路を推測してみることにする(ただの偏見です)。まず、オンラインに偏見を持っていることから、パソコンを使えない世代だろう。50代半ば以上であろうか。次に、学校でしか学べないよさ、ということをやたらと強調していることから、古き良き時代に小学校時代を過ごしたのだろう。結構悪ガキで、体育なんかも得意で、周りのおとなしい子をおちょくったりからかったりして自分は楽しみ、成績はそれほどよくないまでもクラスの中では目立つ存在で(うるさいから)、自分では「クラスの中心」、「人気者」と思っていたのかもしれない。そしてお酒を飲むと「ワシらの時代は」と声が大きくなり、思い出話やしょうもない自慢話が延々と続く。要するに、人の話を聞かず、自分が一人でしゃべりまくるタイプである(だから手紙の文章も読めない)。「がんばれ」という、悩み相談において最も使ってはいけない言葉を安易に書き散らしていることから、自分は昭和のど根性で何か結果を出したのかもしれない。そしてその結果(といっても優勝まではせず、全国大会に出て一つ勝ったくらいのレベル)をいつまでも誇りとし、酔うと「あの試合で負けたんはお前がエラーしたからや」などといつまでも言い続け、「あの時の俺の打率は3割4分やった」などと古ーい数字をしつこく持ち出して自慢する。そして最近の部活のことを「いまの若いもんは根性がない。練習中に水を飲むとか、考えられへん。ちょっと殴られたらすぐ暴力や、と親が出てくる。俺らの頃は先輩からは殴られるのが当たり前やった」などと言い募りそうである。(もうすでに妄想が入っています。)持ち前の声の大きさと強引さと、まあ面倒見がいいとも言えなくもないしつこさでそれなりに出世して、第二の人生をこの委員会で過ごしているのかもしれない。そして帰りにスーパーによってビールを買う際に(家では「お父さん、自分のビールは自分で買ってきて」と妻に言われている)ポテトサラダを買おうとしている子連れのお母さんを見て「ポテトサラダくらい作ったらどうだ」といらぬお説教をしてしまうタイプ、もちろん自分の発言がどれほどネットをざわつかせたのかも知る由もなく、聞いたところで「それのどこが悪いんや」としか思わないタイプ、なのではなかろうか。

 いずれにしても、ピント外れなことしかできず、不快をまき散らす人、というのはどんなケースであれ、困ったものである。自分がこうならないように注意しなくてはならぬ。



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