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腹八分の練習とは

はじめに

怪我を予防し、調子を維持するためには「腹八分の練習」が大事とよく目にする。

しかし、それぞれの選手が何を基準としてるかは分からない。

今回はその「腹八分」について考えてみる。

主観的なきつさ(例:自覚的運動強度)

田中らの大学生を対象にした研究では
走行中の自覚的な運動強度(RPE)に対応した心拍数(HR)の検者間の差が大きかったことが報告されている。

「ややきつい」負荷で心拍数180回/分の人もいれば、140回/分の人もいるのが事実。

SNSなどを見ていても、人によって腹八分のさじ加減は割と異なるのではないかと思う。

特に練習パートナーがいる場合は「通常なら腹八分を超えるような練習」も集中力でカバーできることがあり、腹八分と感じてしまうことがある

このように〝主観的なきつさを頼りに負荷調整すること〟は調子を維持する上では危険な場合があると考える。

客観的なきつさ(例:心拍数)

今回は比較的計測しやすい「心拍数」で考えてみる。

まずは安静状態から最大状態に至るまでの変動範囲=予備心拍数を算出。

予備心拍数=最大心拍数(220-年齢)-安静時心拍数
※この計算式は個人差あり

【例:30歳 安静時心拍数45回/分】

予備心拍数=(220-30)-45=135回/分

そこから目標心拍数を設定(Karvonen法)
※腹八分を80%の負荷として計算

目標心拍数=予備心拍数×目標強度(80%)+安静時心拍数

目標心拍数(腹八分の心拍数)
=135×0.8+45=153回/分

そこで自己ベスト(12/26 5000m 14′04)が出た1週間前の練習を振り返ってみる。

【12/19 トレッドミル16km 3′10/km】

Garminで計測した心拍数は大体150〜160回/分を推移。

「心拍数」という観点ではおおよそ腹八分(153回/分)の調整練習になっていた。

ここで限界として
①Garminの心拍数計測の精度
②スピードメニュー(レペテーション、インターバル)の際はどうしても心拍数が跳ね上がってしまう

等が挙げられる。
そこでスピード練の際の腹八分について考えてみた。

スピード練における腹八分

あくまで持論だが、終始0.5〜1.0″/400m単位でペースをコントロールできる練習が腹八分の強度と言えるのではないかと思う。

【例:1600×4 70″/400mの場合】

具体的には71″0-70″2-70″0-70″3というLAPのように無理なくペースを修正でき、1人でもおおよそイーブンで刻むことができる強度。

昨シーズンの反省

昨シーズン(上半期)はTTのタイムの割に試合での成績が振るわず、葛藤することが多かった。

今考えると、腹八分の有酸素系トレーニングを軽視し、試合直前まで高強度のスピード感覚(出力)を高めすぎる傾向にあった。

その結果として腹八分のペース感覚(出力調整)が崩れ〝調整期のオーバートレーニング症候群〟や〝試合当日のハイペース→撃沈の流れ〟を生んだと分析している。

最後に

今後は自分の感覚以上に身体に負担がかかっていることを前提に、トレーニングと休養に励んでいきたいと思う。

【参考文献】
1)田中秀一:RPEによる運動強度の選択について
http://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/textiles/db/seeds/descente09_21_tanaka.pdf

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