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地方競馬への敷居は高い?

ワタシはいま、地方競馬を中心に楽しんでいます。
(中央競馬はGIとPOG程度です)

最近はダートグレード競走の充実やダートクラシック三冠路線の整備、はたまたオグリキャップやイナリワン、ユキノビジンといった地方出身馬やスマートファルコン・コパノリッキー・ホッコータルマエ・ワンダーアキュートといったダート名馬の実装・登場でますますの賑わいを見せているウマ娘の影響で、地方競馬への注目度は上がってきているかと思います。

しかし一方で、中央競馬とは異なるシステムに戸惑いを覚えている人も多いのではないでしょうか。今日はそんなアナタに少しでもヒントをお届けできればと思います。

地方競馬との出会い

ワタシはナリタブライアンのクラシックイヤー(1994年)から競馬を始めたのですが、もちろん中央競馬が中心でした。地方競馬は地元の園田競馬*がたまの祝日に開催されている時にちょっと興味本位で覗きに行く、という程度で、あまり馬も仕組みもよくわからないまま馬券を買い、当然のことながら全く当たらない、ということの繰り返しでした。

*ここで、姫路競馬があるにも関わらず「関西にある地方競馬は園田競馬」という表現が多いと思います。

姫路は園田の1/5の開催日数しかなく(2021年度実績)、しかも2012年から8年間も休止したりしましたのでその存在感は薄く、実質はその通りなのですが、岩手と同じく園田・姫路の2場で兵庫県競馬を構成していますので(形式的には北海道も門別・札幌、愛知も名古屋・中京の2場ですが)、ワタシは場名や開催を区別して使う時以外は「兵庫県競馬」という用語を使うことにこだわりを持っています。(どうでもいい話ですが)

ちなみに岩手県競馬は盛岡と水沢で半々の開催日数です。左回り(盛岡)と右回り(水沢)に分かれている上、盛岡には芝コースもあるということで、その多様さがうらやましいですね。(さらにどうでもいい話ですが)

出典:南洋朧月のヘンなこだわり

それでも、地方競馬は中央と比べていつも割と空いているので砂かぶりで馬たちの疾走を間近に観られるのはとても楽しかったですし、当時の兵庫県競馬はまだアラブ系競走が盛んで、スマノダイドウやトライバルセンプー、スマノヒットといった普段は目にしないアングロアラブ系種牡馬の名前が新鮮でした。

その後、2004年後半に完全サラブレッド化された兵庫県競馬に対する興味はやや下がりあまり園田や姫路には行かなくなったことや、自己紹介で申し上げた通り2007年から長い暗黒期(競馬離れ)がありましたので地方競馬はおろか中央競馬にも殆ど縁が無くなりましたが、2019年6月に旅先ついでに寄った高知競馬場で高知優駿を観てからは一気に地方競馬のとりことなり、今日に至っています。

ただ、地方競馬は中央競馬とは異なる仕組みがあり、そこに戸惑いや尻込みされている方もいらっしゃるのではないかと思います。ワタシも当初はそうでした。よって、ワタシなりに地方競馬を楽しむ上で押さえておきたいポイントを挙げていきます。

初級編①:クラス分け

地方競馬熱が本格化してから最初に行ったことは、システムと言うかクラス分けについての理解を深めることでした。

中央は新馬・未勝利・1~3勝クラス・オープンで構成され、基本的には一つ勝つごとに一つクラスが上がるというシンプルなものになっていますが、地方競馬は各主催者によって色々と異なります。

大まかには「A級、B級、C級」に分類され、それをさらにA1, A2, B1, B2, C1, C2, C3のように細分化しているというのが特徴で、まずはこれだけ押さえておけば良いのではないかと思います。

ちなみにこの7クラス分けは兵庫県競馬の例ですが、南関東競馬はB3が加わって8クラスなど、下表のように北海道(門別)は細かく、東海(名古屋・笠松)はざっくりとしているように主催者毎に違いがあります。

しかし、北海道はB4~C2といったような混合戦も多くみられますし、東海は後述の組分けが細かいのでこの細かさやざっくりさをどう生かしているのかがナゾですが、まぁCからAへ、そして数字が若いほど強くなると覚えておけば良いでしょう。

なお、上表は同じ強さ・レベルを横並びにした訳ではありません。同じB1でも南関東>兵庫>金沢のような力関係がありますが、それはあくまでも個人的かつ感覚的なもので、このあたり網羅的にデータ分析の上で横並びにしたものを常々欲しいなぁと思っているところです。

初級編②:組分け

これはどの地方競馬にも共通していますが、開催ごとに同じクラスの中で番組賞金(収得賞金)の多い順から一組・二組・三組・・・と振り分けてレースを組みます。これは、特に下位級では同じクラスといえども実力差が大きなことも多く、なるべく細分化して実力の近い馬同士で競走するための仕組みです。これもまずはここまで覚えれば十分かと思います。

では実践として、例えば今回がC2一組戦で、前走C2二組で勝った馬とC2八組で勝った馬が対決する場合どちらが強いのか?というのがポイントですが、しかし正直なところ「完全にケースバイケース」としかワタシには答えられません。1着賞金数十万円の上積みで一気に組が上がることもよくありますので(すなわち組の差は簡単に縮まる?)、個人的には昇降級でなければあまり組の差は考えないようにしています。

ただし、兵庫は組の数が少ないので一組と三組とでは結構実力差があると思いますし、高知競馬のように一組戦を近走好調の選抜馬で組む場合で4,5着などそこそこ健闘した馬は、次走の自条件(例えば五組など)に戻った時はやはり強い気がしていますので、そこだけは留意するようにしています。

2022年9月11日(日)高知競馬のレース編成
7Rと4Rであまり実力差は無いと思いますが、
9Rは前走1-3着の馬ばかりでレベルが高いです

中級編:昇級制度

中央競馬は基本的に「1着(又は重賞2着)になれば昇級」というルールだけで、しかも降級制度は3年前に廃止されましたのですごくシンプルですが、地方競馬の場合は少しややこしいというか、主催者毎に千差万別ですのでややとっつきにくいです。

まずは昇級制度ですが、これは中央競馬のように「収得賞金」(1着又は重賞2着で獲得する、クラス分け用のいわば”持ち点”)と「本賞金」(5着以内で獲得できる実際の賞金額)の違いが無く、「本賞金」の多い少ないでクラス編成しています(以降「番組賞金」とします)。

よって、基本的にはこの「5着以内に入ったら番組賞金が増えて、クラス基準額を超えると昇級する」と覚えておけば良いと思います。

クラス基準額については賞金レベルが主催者によって異なりますので、各場がそれぞれの基準を設けていますし、特に他場からの転入(移籍)馬については番組賞金の計算方法(例えば賞金の高い南関東からの転入馬は○○%減額、など)も異なります。このあたりは持ち馬の転入/移籍を考えている馬主さんでもなければさほど重要ではありませんので、ここでは割愛します。

(本当は基準額を把握しておけば、「ヘタに昇級すると稼げなくなるので、今回はそこそこの着順で良い」といういわゆる「ヤラズ」を見抜く一助になるとは思いますが、本当に覚えきれませんので詳細を知りたい方は下の各場へのリンク先をご覧ください)

上級編:降級制度

昇級はいわば「掲示板を繰り返せばいつかは昇級」とだけ覚えていても良いですが、本当にややこしいのは降級制度です。

よって、下へ読み進める前に、もう仕組みなど詳しくは知らなくても

昇級初戦の「クラスの壁」や降級初戦の「降級の妙」はあるので、とにかく昇降級馬には注意

とだけ認識しておいても良いと思います。

まぁそれでも降級制度について触れていきましょう。

中央競馬は理屈上クラス在籍頭数が青天井で増えていくのに対し(降級が無いので)、基本的に地方競馬は例えば「A級が多くなり過ぎない」ように各クラスの基準頭数やクラス間での頭数比率が定まっています。その比率を保つため様々な方法で降級させ、時にはクラス基準額を変動させたりもしています(中央競馬で言えば900万下→1000万下、1500万下→1600万下のようなものです)。

南関東は馬齢によりクラス基準額が上がっていきますので、そこに追従して賞金を加算できてない馬は降級してしまう、ということでまだ分かりやすいのですが(ただし基準額表のマトリックスは細かいので覚えきれません)、その他は殆ど書いてても理解できないぐらい複雑です。以下、2(3)歳を除く古馬に対する降級制度です(自分なりの解釈で、正直岩手・金沢・東海はこれで合っているのか自信がありません)。

  • 北海道:前年度番組賞金×80/70/60%(4-5歳/6歳/7歳以上)がクラス基準額を下回ったら降級

  • 岩手:前年度最終開催初日前日以前14競走における本賞金と本年度本賞金との合計額の順位が各クラス基準頭数の最下位を下回る場合は降級(A:B:C=1:2:7になるように調整)

  • 金沢:前2年度+本年度本賞金額(7歳以上は7掛け)の順位が各クラス基準頭数の最下位を下回る場合は降級

  • 東海:直前四半期の間に番組賞金の25%以内しか加算できていない場合、その25%未達分を差し引いた結果クラス基準額を下回ったら降級(直前四半期に昇級したての馬は除く)

  • 兵庫:2か月毎(奇数月起算)に近3走の着順合計が多いものから各クラス基準頭数に応じて降級

  • 高知:過去4回の半期(4-9月/10-3月)の番組賞金がクラス基準額を下回れば降級(”過去”とは新半期開催初日からみた基準)

  • 佐賀:4,5歳馬は10月に50万円、6,7,8歳馬はそれぞれ2,3,4歳時の本賞金全額を差し引き、それがクラス基準額を下回る場合は降級

やはり一番のポイントは馬のことだと思いましたのでクラス分けや昇降級について取り上げましたが、いかがでしたでしょうか?(あぁ、複雑・・・)

その他、騎手や馬場のこと(同じダートコースでも砂の深さや粒度が異なる)、あるいは血統(あまり中央では見かけない種牡馬もいます)なども押さえるべきポイントかと思いますし、昇降級が無くとも他場や中央からの転入馬との力関係については毎回頭を悩まされますので地方競馬は少しとっつきにくいかも知れませんが、地元やご当地の競馬場でもいいですし、どこか思い入れのあるところでもいいので、まずは一つ、お気に入りの競馬場を作ってみてはいかがでしょうか。

今回の記事を書くに当たって色々と調べていたら、ますますその奥の深さに気付かされた自分がいました。その奥深さも魅力の一つの地方競馬。決して中央の二軍とかではなく、知れば知るほど面白い存在ですよ。

ご精読ありがとうございました。

最後はワタシの敬愛するサトミアマゾン様でシメ

付録:各場の格付けルール(リンク)

北海道(PDF) http://www.hokkaidokeiba.net/hkj/henseiyouryou/2022henseiyouryou.pdf

岩手(PDF)
http://www.iwatekeiba.or.jp/dir/wp-content/uploads/2022/03/2022_iwate_hensei_yoryo.pdf

(ワタシが最も楽しんでいる高知競馬については公式よりも高知けいばメモさんの記事がものすごく詳しく、また、そこで勉強させてもらいましたのでここに掲載させて頂きました)

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