蛇の夢日記

蛇が夢に出て来て、それを日記にした話である。

夢で蛇を見たとき日付、どんな様子だったのか簡潔に記している。
遡ると蛇日記は、今から6年位前から始めた。記憶は定かでは無いが、恐らく、その頃から夢で蛇が現れ出したと思う。
だいたい、年に2、3回見る。川の土手や公園の道を一人で散歩しているとヒョロヒョロと足下に数匹現れる、これで、もう、内容が始まっているのだ。そうこうしている内に道の脇から蛇は増え続ける。踏むまいと必死になるも夢の中は思うように身体が動かないもので、走って遠くに逃れようとするが、やはり、足が重く走れない。出来ることは気持ち歩行を早める程度だ。踏んでは行けないと頭はしっかりと認識しているが体が言うことを効かないので、噛まれたら、巻き付かれたらと最悪なことを頭が巡り一層恐怖を増すのである。そうこうしている内に道の脇から蛇は増え続け瞬く間に何万匹と現れて地表を埋め尽くし重なり押し合い圧し合い、所詮、夢の中の早歩きなので四方囲まれて逃げ道を失う。行き場を無くした蛇は私という異物を中心にしてぐるぐると迫り足下の地表も蛇で埋め尽くされて来る。迫る蛇から逃れようと咄嗟に片足を上げると瞬時に地表が見えなくなり、両足が付いて無いと、瞬く間に体のバランスを崩し渦巻いた蛇の大きな塊に身を預けるしか選択はなくなる。だが、絶対倒れる訳にはいかないので何とか最小限の刺激にしようと、蠢いている弾力のある漆黒の肉体、小さく折り重なった冷たさを感じる艶のある鱗の中に息を殺し、ゆっくり、ゆっくりと、つま先から足を下ろす、静かに下ろしていくと地表の上にある弾力のある漆黒の肉体に、どおしても体重を掛けなければならない。踏んではいけないものなのに踏まないとならない、体重をゆっくり掛けていく、ゆっくりでも終いは大人の体重が乗った蛇は怒り、地表から折り重なった仲間の冷たい漆黒の肉体を掻き分けて、踏んでる奴は、こいつかと、こちらに狙いを定め己の肉体をゴムの様に使い飛んでくる、もう、ここまで来ると、つま先も踵も全く関係ない、正解は踏まないことのみを改めて思う。何とか逃れ振り払おうと応戦するも敵は狙い通り、指にしっかりと食らついた。「かまれた!」と大声で起きる。電気を付け回りを見渡しても蛇は一匹もおらず、ただ、噛まれた指先がじーんと痺れたように痛い、噛まれた跡は無い。これまた、痛みに似た痺れは、ものの数分で消えてしまうのである。寝床を見回しても蛇は居ない。夢かと認識しても気持ち悪いもので一匹くらいは隠れてんじゃないかと掛布団を剥ぎ、くまなく捜すも居ない。「あ~又、同じ夢か」となる。夢で蛇を見ると一般的には吉夢となっているが、夢の中で体は一層重く恐怖を増殖させ、足の裏の感触、痺れに似た指の痛み、どれもこれも吉夢と程遠く感じるが、逆に言うならば、これ程、私に吉を訴えていると捉えることにした。

今年は、まだ、吉夢を見てないので、そろそろと思います。

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