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「人形の願いと不死鳥の卵」unity1week制作日記

 こんにちは。南天千弦です。Unity 1週間ゲームジャム(テーマ:かえす)に参加いたしました。また制作の裏側を少し紹介できたらと思います。

 完成品は以下のページで遊べます!完全無料のブラウザゲームです!


チームについて

 今回は勇気を出して知人数名に提案してみたところ、驚くべきことに皆さん快諾してくださって、チームを組んで制作することができました。
 イラストレーター2名、作曲家1名が参加してくださり、私は企画と開発を担当しました。

 皆さん忙しい状況でしたので、連絡は主にDiscordのテキストチャットで行いました。
 ゲームジャム開始日の2週間ほど前にDiscordのサーバーを作って参加してもらいました。


企画について

 テーマ発表後、5時間で企画書(兼画面遷移図)をGoogleスライドで、タスクリストをGoogleスプレッドシートで作成し、メンバーに共有しました。
 全員のスケジュールを合わせるのは厳しそうだったので、企画は私一人で考えてしまいました。とにかく全員が一秒でも早く作業を始められるよう、スピードを重視しました。

企画書はこんな感じです。以下にPDFも置いておきます。

 今回の企画はどこから考え始めたかと言いますと、ゲームジャムのテーマ「かえす」と、各メンバーに作ってもらいたい物から考えました。

 まずチーム結成時から私は、可愛らしくも独特な雰囲気のある絵を描くあくらさんに動物キャラクター、癖が良い感じに出てる絵を描くぶるごにゅさんに人物キャラクターのイラストを頼みたいと思っていました。
 音楽のやっすんさんは、私が作る世界設定なら絶対に合う曲を作ってくれると信じているので、特に何も考えていませんでした。ただ、1曲ほどしか頼めないかな?と思っていたので、1曲でも成立するように考えていました。(結局、BGM3曲とジングル2+1曲作ってくれました!)
 
 そして、テーマ発表後、以下のように考えました。


 何を「かえす」と楽しいかな?
アイデア①魂を還したい!
アイデア②卵を孵したい!

 アイデア①について:何の魂をどうやって還そうかな?
⇒人形の魂を燃やして還そう!

 アイデア②について:何の卵を孵すと夢があるかな?
⇒不死鳥の卵ってロマンだよね!

 あ、①と②を足して、不死鳥の炎で人形の魂を還すと良くない?


 という感じで、今回のテーマが決定しました。
「繰り返し」不死鳥の卵を「孵し」人形の魂を「還す」ゲームです。


開発について

 開発に関しては記憶がとても曖昧です。
 常に錯乱していたような気がします。

 チャットのログを見返すと、以下のような日程で進んでいた事実が浮上してきました。


・β版完成 8/19(月) 午前8時頃
 基本機能の実装完了
・プロット完成 8/20(火) 午後4時頃
 物語のプロットが完成
・α版完成 8/23(金) 午前9時頃
 エンディングまでの全機能と全データが揃った
・公開版完成 8/24(土) 午前11時頃
 α版で問題があった箇所(主にラスボス前の展開等)を修正し、unityroomに公開


 締め切りは8/18(日)20時です。6日間遅刻しました!(評価期間終了の8/25までには間に合ったよ!)

 今回はとにかく画面と機能の数が多すぎて、開発に時間がかかりすぎました。
 以下にざっくりと画面や機能を書いてみましたが、それだけでこんなにあります。明らかにプログラマー1人が1週間で作るものじゃないですよね。企画の時点でアウトですね。


宿屋画面
・卵孵化
・話す(不死鳥育成、スキル獲得)
探索画面
・行き先をシャッフル
・ボスを倒すと次の段階へ
戦闘画面
・敵や味方のステータス管理
・魔法の詠唱、多重詠唱、再使用タイマー…etc.
物語画面
・紙芝居機能
・スキップ機能


 画面が多いということは、UIも演出も大量に必要で、そこも苦労しました。基本的にそれらはアセットストア等の素材で済ませましたが、合う素材を探すのも大変ですし、それらを組み込むのもまた様々な苦労がありますよね!

 と、ただでさえ物量がおかしいのに……
「このUI画像あと1ピクセル右の方がいいかな?」
「この効果音もう少し音量下げる?」
「このパーティクルもう少しゆっくり数が増えるようにする?」
……と、一個一個こだわって作ってしまっていました。
 その度に、「お前はアホか、先ずは完成させろ」って自分にツッコミ入れながら作業していました。
(それでも細部までは詰めきれず、完成後も結構ちまちま色んな演出を微調整しまくりました。)


物語について

 開発の日程表を見て、「物語のプロット書くの遅くない?順序逆じゃない?」と気になったでしょうか?

 ゲームジャムなので、手を動かしながら考えるしかないスケジュールというのが第一の理由ですが、他にもあります。

 変な話ですが、私は作りながら物語を考える方が好きなのですよね。
「この絵の子なら何て言うかな?」
「この音楽ならどんな展開で聞くと盛り上がるかな?」
 と、考えるのが楽しいのです。

 でも、普通はもっと物語に合わせて作ると思うので、イラストレーターや作曲家側からするとやりづらいのかなと思います!(ので、あまりお勧めできる作り方ではないのかも?)

 まあ、おおまかな設定は最初の企画時に決めていて、それに合わせてどういう絵や音楽を作って欲しいかはある程度伝えているのですけどね!

 企画段階から決まっていたこととしては、「人間と仲良くしたい人形」と「人間に危害を加えたい人形」がいるから話がややこしくなる、というテーマがあります。
 現実でもそういう状況ってありますよね。私はそんな個人的な鬱憤を物語の中で解消したかったのかも。ゲームならどんな問題も「奇跡と暴力」で解決できちゃうので。いや、まあ、割と冗談ですが。


キャラクターについて

 主な登場人物は人形のマーシャ、不死鳥のくるみです。
 マーシャとくるみという名前は、くるみ割り人形から来ています。
 そんなに深い意味はないです。

 マーシャは、クララ、マリー、マーシャの中で一番響きが好きだったのと、「人形を欲しがる人間の名前」を「人間になりたい人形」が名乗るのって可愛くない?ぐらいのノリです。
(※クララ、マリー、マーシャはどれもくるみ割り人形の主人公の名前です。作者やバレー団によって名前が異なるようです。) 

 くるみはくるみ食べてそうだし、くるみ割り人形の登場人物「くるみ割り人形」には名前がなかったからそのまま「くるみ」だけ切り取った感じです。「苦しみ」から「し(死)」を抜いた言葉だから、という理由も一応あります。

 くるみの鳴き声や性格は書いてみるまで全く想像がついていなかったのですが、書いてるとだんだんノリノリになってきて「キュエエエ」とか「キュルルル」と極々小声で鳴きながら書いていました。


エンディングについて

 エンディングは2通りあります。END1とEND2です。
 分かりやすくBadやTrue等にしなかった理由は、どっちも大事だからです。可能なら両方見てみて欲しいのです。

 実はEND1が当初予定していたエンディングですが、結構寂しいエンディングだったのでEND2を急遽作ってしまった感じです。そのせいでタイトル回収がEND1でしかできていないのです。

 分岐の条件はラスボスに勝ったかどうかです。
 負けた場合は、END1を見た後にラスボス戦のちょっと前に戻って育て直してから再度挑戦、ということができるようになっています。
 ですが、一発で勝った場合には、END2しか見られないようになっています。
 ラスボスに勝ったのに「いまからもう一回やって負けてこい」とは言えないので、そういう仕様にしています。
 結構悩ましいところですが、とりあえずラスボスを強めに設定することでお茶を濁しています。(公開当初はラスボスに負けたという感想が一切見られなかったので、アップデートしてラスボスを強くしました。)


メンバーから一言

今回制作に関わってくださったメンバーから一言ずつ預かっていますので、以下で紹介させてください。


ぶるごにゅさん
「是非参加させてください!とは言ったものの、中々にギリギリで楽しくも大変な一週間プラスアルファでした!
お話の雰囲気に合うような、それで目を引くような……というデザインを考えるには、
普段からもっといろいろと学びが必要なんだなと感じました。
しばらくお絵描きから離れていましたが、また絵を描くきっかけにもなりましたし、とっても楽しかったです!」


あくらさん
「この度はすてきなゲームに関わらせていただきありがとうございました!
不死鳥のデザインは何種類かの鳥から派生させたり組み合わせたり、ときにアイディアを出し合いながら徐々に完成していきました。まるで本編の擬似体験のごとく、卵から成鳥まで不死鳥の成長に関わることができて楽しかったです!ありがとうございました!」


やっすんさん
「本作はダークな世界観ではありますが、希望が持てる様なお話になっているので
神秘的で暗めではありつつも悲しくはならない様な温度感で楽曲制作をしました!
少しでも本作の世界観を彩ることができたのなら幸いです!」



まとめ

 以上、制作の過程や雑感でした。

 今回の作品はどうだったでしょうか?
 私個人の目標として、前回のゲームジャムでは「いまの自分に出来ることを試す」でしたが、今回のゲームジャムでは「いまの自分に出来ることを見せる」ということを目標にしました。

 前回は「自分を試す」ということだったので、完全に自分の為の作品でした。今回は「自分を見せる」ということで、結構人の目を気にして作った感じの作品になっています。

 その違いは作品にかなり如実に表れていると思います。
 前回の作品は「癖が強い珍味」って感じで、今回の作品は「おいしい定食」って感じですよね。

 それは評価や感想にもしっかり表れています。前回は、評価は低いけど感動したという内容のコメントを多数頂きました。今回は、評価は高いけど感想はあまり多くはもらえていない、という結果になっていると私は感じました。

 皆様はどちらが好みだったでしょうか?両方プレイしてくださった方がいらっしゃいましたら、ご感想頂けるととてもとても嬉しいです。

 ここまで読んで頂き、本当にありがとうございました!


※前回のゲームジャムで作ったものはこちらです。


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