新着 ㊻鹿児島県議会本会議における陳情採決結果について(令和6年3月22日)
当会より提出いたしました2件の陳情について3月22日開催本会議にて審議採決されましたので、その結果を報告いたします。
文教観光委員長より陳情審査内容の報告があり、当会提出の陳情第4014号について主な審査の内容として詳細な報告がなされました。
その後討論の通告があり、無所属平原議員より委員会で不採択とされた項目に対する反対討論(採択を求める)がなされました。
反対討論は当会提出の陳情の趣旨を要約する形で行われ、結びに陳情者の求めに対しての県議会の役割の重要性、教育行政の根幹に関わることであることを県議会議員の方々へ訴えられました。
その後採決が行われ当会の提出した陳情第4013号並びに4014号は委員長報告のとおり決定いたしました。
〇陳情項目
・第4013号
楠隼中高一貫教育校に令和3年度、令和4年度、令和5年度に入学した楠隼中学校現行1学年、2学年、3学年の生徒が楠隼高等学校を卒業する令和10年度中は全寮制男子校の制度が維持されることを要望する。
委員会審査結果 不採択
・第4014号
楠隼校の共学化及び全寮制廃止の方針が教育委員会において純粋に教育行政の観点から検討される過程において教育委員会制度に定められた首長からの独立性が担保され、政治的中立性が確保されたものであったか否かを鹿児島県議会所管委員会に於いて調査検証いただき、鹿児島県の教育行政の執行が公平かつ平等に実施されていることを県民に説明いただくことを要望いたします。
委員会審査結果 不採択
会派別表決態度は陳情第4013号は自由民主党が不採択に賛成、その他すべての会派が不採択に反対、陳情第4014号は自由民主党、県民連合、公明党が不採択に賛成、その他すべての会派が不採択に反対との結果となりました。
鹿児島県議会において、表決行動は原則会派において同一行動を取られるようです。不採択に反対された会派の中には、楠隼校設置時より男子校であること、県外生に対して多額の県費が使われることなどから反対の立場をとり、今の段階でもそれは変わらないとの意見をお持ちの会派もあります。
塩田知事就任以降、知事の掲げた楠隼校に関するマニフェストについて早期の実現を求める質疑、慎重に扱うべきとの質疑、そもそもマニフェストによってなされるべきものなのかと指摘する質疑、様々な議論が本会議、委員会にて行われてきました。それらを含めた本議会での陳情に対する各議員の表決態度であったかと考えます。
当サイトにおいてもご紹介いたしました埼玉県立高校女子校・男子校の 共学化問題 につきまして現在 埼玉県教育委員会により生徒、保護者、卒業生に対する意見聴取が行われています。
埼玉県立高校への共学化勧告に 生徒からは反対意見相次ぐ (NHK NEWSWEB)
埼玉県苦情処理委員会から共学化に関する勧告を受けた県教育委員会は関係者の意見聴取を公開にて行い、それを踏まえ勧告に関する県の方針を定めるとしています。これらのプロセスにおいて首長は登場しません。県教育委員会は県知事から独立した教育行政の執行機関であるからです。
鹿児島県においては知事の選挙公約マニフェストの一項目を知事就任以降、問題提起として受け止めた教育委員会事務局がその意向に沿うべく検討に着手し、方針変更の必要性がないと考える委員が多数を占める教育委員会議においてもその意向を持つ知事と面談を重ねることにより、知事の意向に沿う形に誘導していきます。関係者とされる周辺市町首長に対しても同様です。
楠隼校に関する方針変更は令和5年5月定例教育委員会議にて決定されましたが、その議論は原則公開とされる教育委員会議にて非公開で行われ、その議事録は今もって公開されていません。その議題すら公開されなかった当該教育員会議が非公開とされた理由は同年6月県議会定例会冒頭にて知事が方針表明を行う予定であるからとされています。純粋に教育行政の観点から教育委員会が決定した事項をその検討決定に全く関与していないとされる知事が表明するというのは極めて不可解な事柄です。また自らの知事就任以降の県政における実施事項として楠隼校の共学化全寮制廃止方針の決定を議会答弁にて実績とすることも同様であります。
一番重要である生徒、保護者への意見聴取は目的手法があいまいかつ不適切な方法で実施され、方針表明以降の説明会では「これは決定事項であり、覆ることはあり得ない」との前口上の後、同じセリフが丁寧に繰り返されました。
これらのプロセスが教育行政の執行として極めて不適切であると考え、方針を決定した教育委員会議にて再考等を求めたものが、当会が9月議会定例会に提出した陳情でありましたが、9月定例会及び12月定例会にて不採択となりました。
県議会3月定例会に当会より提出いたしました本陳情はこれらのプロセスが教育行政の執行として適切なものであったかを県議会から県民に説明を求めたものでありましたが、結果不採択となりました。
楠隼校のあり方については今後すすめられる「共学化・全寮制廃止方針」によって変化します。その形態が鹿児島県立の学校として望ましいとの考えのすべてを否定するものではありませんが、その変更決定の過程は極めて不適切なものであると当会は考えます。
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