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アナと世界の終わりの感想(ネタバレあり)

T-JOY京都にて鑑賞。土曜のファーストデイの割にはお客さん少なかった。

ゾンビ&ミュージカル映画ですよ、という予告で興味を持って観に行ったけど、そういうジャンルを組み合わせたアイデアとかを超えて素晴らしい作品になっていた。

アイデア勝負じゃない誠実な作り

冒頭からミュージカルシーンが何回かある、第一幕はゾンビはまだ出ないミュージカルオンリー描写なのだけど、とってもしっかり作られていて好感を持った。ここで、この作品が「ゾンビ映画にミュージカル入れたら面白いんじゃね?」みたいアイデア一発の映画じゃないのが明白になる。
曲も素晴らしいし彼女や彼たちがどんな苦悩を持っているのか手際よく説明も出来てて普通に青春ミュージカル映画としてめちゃくちゃ完成度が高い。

最初の見せ場はゾンビ要素とミュージカルがいよいよ合体する住民がゾンビ化した世界の町で歌いながら主人公が歩くシーン。
こないだの実写「美女と野獣」もそうだけど主人公が朝家を出た所から歌いながら歩いていくシーン大好き。
今日から何か変わるかも!という希望に満ちた歌詞と後ろで起こっているバイオレンスな事態のギャップが最高。
ここから始まるゾンビ描写がミュージカル描写同様しっかりした完成度でめちゃくちゃ容赦ない、赤ん坊がゾンビに食われてるシーンをコメディとして撮ってるのはドン引きだった(褒めてる)

あとゾンビはミュージカルに参加出来ないルールになっているのも良いと思った。歌ったり踊ったり出来るのは生者のみに許された特権で「歌い踊る事」が死者との境界線になっている。

途中に入るSNS批評ソングも切実な現代に生きる若者の気持ちの代弁になってる良い曲だし、ゾンビ映画が作られる意義である現実の世界の写し鏡であるという要素も見事に表現出来てると思った。

あとラストにしっかり人間ドラマとして泣かせてくるのがえらい。僕はあの冴えないカップル2人のラストが好き。最初の方でコメディ的にベロチューをしてた2人の切なすぎるキスシーンで思わず落涙した。ゾンビ化した後の手が触れる演出とかも本当素晴らしい。

なんだかんだで青春映画

主人公を演じたエラ・ハントさんがまあ素敵。アン・ハサウェイとブレイク・ライブリー足して割った感じの美人で歌も踊りもパーフェクト。間違いなく今後売れていくので覚えておこう。

「彼女が小さな町を出るまでのお話」という一本の筋からブレないのも映画の作りとして好き。こんだけ色々な要素が入ると前半と後半で全然違う映画になっていきそうなのに、主役の彼女のストーリーどっしりある事で最初から最後までしっかり一本のお話で繋がってる感じがする。

それと気になった人でいうと校長を演じたポール・キーさん。めちゃくちゃゲースロ顔だなぁと思ってたら、やっぱ出ていた。画像見てもどんな役か思い出せないけど出ていたらしい。

主人公と真逆で町や学校にしか居場所を見つける事が出来ない傲慢でありながらも地縛霊的な少し悲しい存在。彼を倒す事こそ通過儀礼的な意味合いを持ってくるのも青春映画として筋が通ってる。


観る前はショーン・オブ・ザ・デッドにミュージカル要素足したコメディ映画だと思ってたけど、青春映画部分こそがメインだったのにやられた。観て良かった。

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