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無限ファンデーションの感想


MOOSIC LAB 2018の上映作品。
出町座にて鑑賞。

MOOSIC LABという音楽×映画作品の企画があるという事も知らず、「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」でファンになった南沙良さんが出るという事で興味を持って観た。


僕の観た回は監督さんの舞台あいさつ付きで、そこで話されてたけど最初は劇中に登場するウクレレ少女役の西山小雨さんの「未来へ」という曲のPVを作ろうという話がいつの間にか曲の世界観をベースに長編映画を作るという形に変わっていったらしい(どういうことなんだ、、、)


そうなるとクリアしないといけない課題として、何曲か歌われる西山小雨さんの曲を魅力的に撮ることと、南沙良さん初め若手俳優さん達の初々しさを切り取った青春映画としても成立させないといけないんだけどそのどちらも上手くいってて素晴らしかった。

僕の好みもあるけど単純に西山小雨さんの曲が凄く好きになった。音楽がテーマの企画だからという事を抜きにしても、作り手が楽曲の良さを信じてるのと、ストーリーに沿ったチョイスだと分かるので普通の映画なら長く感じそうなPV的に曲だけが流れるシーンも全然気にならなかった。

青春映画要素としても素晴らしかった。
おおまかなストーリーの流れだけ決めて、後は即興演技だけで話を進めていくスタイルを徹底しているんだけど、僕はこういう描き方の青春映画を邦画であんまり観た事がなかったので単純に新鮮だった。

誰もがした事がありそうな他愛もないダラダラした高校生の日常的会話が、あるすれ違いをきっかけに今まで何気無さに隠してた本音を剥き出しにして出口の無い地獄会話劇に反転していく流れがとても見事だった。

彼等の主張は誰も間違っていないし、それぞれの切実さが痛いほど分かるので本当苦しかった。

それでも最終的に苦しさも同居するクライマックスを作り手が優しい目線で撮っていて、楽曲の良さも相まりかなり泣かされた。
特に完全に一線を越える事件を起こすあの娘も見捨てない感じが愛おしい。

そこから繋がっていく開放的なエンドクレジットシーンも本当最高。
今の彼女たちにはこう見えてるんだろうなっていうあの鮮やかな緑が素晴らしいよ、、、


個人的には途中急にインタビュー形式になる所でちょっと変わった手法をやり過ぎじゃないかな、、、と思ったけど、そこで割と重い事実を聞いた後の南沙良さんの返しが、何気ないのに凄く優しい言葉を選んでて結局ちょっと泣いた、、、

PV要素もある変わった作りの映画だとは思うけど、僕は青春映画の新たな傑作だと思った。

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