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山笑う季節「猫楠舎だより・改訂版」 築200年の古民家

▲本日は、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町浦神の猫楠舎周辺をご案内します。

「猫楠舎だより」2020年4月から5月にかけての記事 

今時分の山々は、可愛過ぎて食べてしまいたいほどだ。
まるでブロッコリー、モコモコ、ワキワキ、ウキウキのお山模様。
山桜が終わる頃、樹々がいっせいに芽吹き出す。生命力に溢れた何種類もの緑色が山を覆い尽くす。まるで絵本の世界のような彩り。この時期を「山笑う」とはよく言ったものだ。

猫楠舎の背後にまぁるいお山


 ワタシは毎朝、猫楠舎の北側のまぁるいお山に、
「おはようさん。今日もホンに可愛いねぇ」
 と声をかける。
 お山の山裾には薄紫の藤の花。
 今年も咲いてくれたんね、ありがとう。
 96歳で逝った母も生前、この季節の山々の美しさには毎年感動の声を上げていた。
 ワタシは幼い頃茨城県の筑波山を見て育ったのだが、ふるさとの山を美しいと感じたことはなかった。しかし、浦神に暮らすようになってから、なぜか山に語りかけるジブンがいる。
 先日、ヨガ付き猫セミナー合宿に参加した人が、
「ここは、海と山がこんなに近くにあって贅沢ですねぇ」
と言っていた。思わず首がこっくん、こっくん。

荒船海岸の海は威勢がいい


 つい先日、前々から行きたかった場所に愛車「ぽおさん」を走らせた。「国民宿舎あらふねリゾート」の先の道である。この一帯は吉野熊野国立公園エリアで、ワタシは国立公園に住んでるようなもの。
 およ、こんなところに大きな建物が!
なになに? 「荒船キャンプランド」とな。
しかし、閉鎖されているとはもったいない。
 その先、軽自動車しか通り抜けられない岩のトンネルが2カ所あった。
かなりスリリングなのである。

軽自動車がやっと通れるトンネル


 海にそそり立つ岩の群れ、屈曲激しいリアス式海岸、海蝕地形の崖や洞穴がそこかしこにある。イッツ、ブリリアント♬
 景色に見蕩れたら、あやうく海に落っこちそうな箇所が続き、緊張してハンドルを持つ手に力が入る。
 やがて道のどん詰まりまで来たが、ここはなにもなかったのですぐさまUターン。こういうときの見切りは早い。
 帰り道は往きとは違う景色だ。青い空に青い海、浜に打ち寄せる白い波、断層がくっきり線になって見える岩々、緑のグラデーションを身にまとった山々、心地よい風、人工的な音は一切聴こえない国立公園。

タダで見放題、歩き放題


 その道を欧米系の中年女性2人が歩いてきた。ちなみに熊野古道はヨーロッパ系の外国人、それも少人数が多い。
 たしかにこの道は車ではなく、ハイキングが正しい。車で通り過ぎたら見落とすものがたくさんありそうだ。せっかくの吉・熊国立公園、次回は歩こう。
 車で10分ちょっとの場所に、雄大なロケーションが広がっていたとは!
 地元スタッフに感激して報告すると、
「そうなんですか。普通ですよぉー」。
 いや、普通じゃないって、ここはすごい土地なんだってばさぁ……。

「猫楠舎 WEB内覧」記事に続く
 

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