7/16 武田鉄矢の賢治論を愉しむ読書
おはようございます。
TOP画像の2冊は図書館にリクエストして借りてきたもの。
ここ数年来、武田鉄矢のラジオ「今日の三枚おろし」ファンなのです。
海援隊も金八先生も興味なく過ごしてきたのですが、武田さんが読んだ本について語るこの番組は実にユニークで、ときどきハッとする刺激を貰います。たまにとんちんかんな発言もありますが、今や目くじら立てるようなことはありません。
彼の読書傾向はワタシと重なる部分が多い。内田樹、司馬遼太郎を敬愛し、日本史に並々ならぬ関心を寄せる。10歳ほど年上なので、老いの道案内としても傾聴に値します。
その彼が宮沢賢治作品をテーマとした『小説 賢治売り』という本を出していたわけです。武田さんの読み解く賢治ワールド、正直たいして期待していませんでした。
ところが読み始めて驚いた。その表現力、絵が浮かんでくる文章表現、巧みな構成。賢治の作品に対する独特の解釈は推理小説のごとく、細部に神経が行き届き、深層心理に根差しているかのよう。
一氣に読んで脱帽しました。
この本で取り上げた賢治は『どんぐりと山猫』『烏の北斗七星』『春と修羅』『貝の火』の4つ。
『どんぐりと山猫』『烏の北斗七星』は毎月開催の賢治の会ですでにやったものですが、この本を読んだら「もう1回読み返してゆっくりメンバーと話し合いたい」と思いました。
詩集(賢治的には心象スケッチ)『春と修羅』について、「難解な賢治作品を読むにあたってまず『春と修羅』を読むことは、全体を見渡す地図を手に入れることになる」というようなことが書いてありました。
そうか、賢治はまず『春と修羅』からだったのね~。
賢治の童話は手あたり次第に読むと、なにを言ってるのか皆目見当がつかないことが多い。実際、若いころのワタシがそうでした。道案内がないとムズカシイけれど、それは言い換えると賢治の森に入る準備ができていないと入れない仕掛けがあるといってもいい。
やがて道草や回り道の面白さが分かるようになれば、賢治の森はマジカルミステリーツァーになります。ワタシは還暦過ぎてから、やっと賢治の森に入ることができた。コレ、河合隼雄先生が道案内でした。
『貝の火』はサラーッと一読しただけでしたが、武田さんの解釈によって「これはちゃんとじっくり腰を据えて読みたい」といういう欲求が湧き上がって参りました。
賢治の童話は、あらゆる場面に「オノレに置き換える」魔法がある。体調や状況によっては「取り扱い注意」、「混ぜるな危険」、「猛毒」でもあるのです。
根っこからゆすぶられる、下手すると根こそぎ倒れる可能性もある。
たましいが目覚める、この場合のたましいは「鬼」になる可能性も含みます。
とまぁ、この作品にはショロー、おおいに触発されました。
ちなみに「楽しむ」と「愉しみ」はどう違うかしらん、と考えてみましたが言語化するのは難しく、手っ取り早くネットで調べました▼
もう1冊『夢の場所・夢の建築』はまだ半分しか読んでいません。
ただ筆者が何十年にもわたって記録した夢の内容を「場」に絡めて読むことができるのは実に興味津々です。場=ゲニウス・ロキ、ワタシにとってあらゆる分野において「場」との関連性は切り離せません。ましてや夢で、場に特化した本というのはそんなはない。
おまけに装丁が杉浦康平なのでした。
杉浦康平の装丁は独特で、文章を読むとき、慣れないとやや面食らうのですが、図や写真との組み合わせは絶妙で本自体がアートになる。彼の本を4冊持っていますが、これらは生涯手放せないと思います。
さて、昨夜もこの本を読みながら就寝したところ、本の影響で鮮明な夢を見ました。オノレのこうした暗示にかかりやすい体質を卑下することなく、開き直って受け入ることにしています。
さて、その夢。
山陰地方のとある和菓子屋に行きました。このお店は夢世界における行きつけの店のひとつです。
和菓子屋の店主は白髪頭のおじいさんでワタシとは顔なじみ、今は娘夫婦といっしょに店を切り盛りしています。久しぶりに行ったら、和菓子だけでなく、奥に喫茶部が出来て、ちょうどモーニングをやっている。店内に入って「さて、どこに座ろうかな」と考えている。客が立ち去ったテーブルの上に空になった食器などがあり、「早く片づければいいのに」と思っているワタシ。テーブルと椅子は角ばっていて、長居するには不向きなもの。店の中央は大きなテーブルで、席も空いているけれど、ワタシとしては個別のテーブルを探している。モーニングはA,Bの2種類ある様子。美味しい和菓子屋さんなのでモーニングも期待していいかも、と考えている。
と、いうような夢でした。
今回は場というより室内インテリアに焦点が当たっていた。山陰というのが唯一「場」につながるのかな。
このお店はおそらく石川県の白山ヒメ神社の近くの「萬歳楽」で有名な小堀酒造をイメージしています。何年も前、この地を真冬にひとり旅していて、ちょっとしたきっかけで、小堀酒造の社長さんに囲炉裏端でお茶を振舞っていただきながら、小一時間いろんなお話をしたことがあったのです。実に旅先での親切は身に沁みましたし、社長さんの柔和なお顔はまるでカミサマのようでした。夢でこうしてお会いできるのが嬉しい。
とまぁ、この本にも刺激されているらしい。
これから、どこにつながっていくのかも楽しみです。
ではでは、今日もご機嫌元氣な1日にいたしましょう。