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ゲーム理論で考えるコンビナンパ

はじめに

 コンビナンパは、ソロナンパでは崩せない層にアプローチできるという非常に大きなメリットがある反面、コンビ案件(👩👩)のスト値(ルックスの程度)に大きな差がある場合において不公平・争いが発生し、結果としてチームの利益最大化と相反する結果に陥ってしまうことがあります。

 私もコンビナンパをしていく中でそのような問題に直面し、これらを解決するツールとして、「公共経済学」「公共財ゲーム」「ゲーム理論」など経済学のコンセプトが一定活用できるのではないかと思い立ったので、その思考を垂れ流します。
・コンビナンパをしてみたい人
・ゲーム理論を学びたい人
におすすめです。

 本書は「ナンパにおけるゲーム理論的なナッシュ均衡=パレート最適となる解が知りたい」という知的好奇心を源泉したものであり、通常コンビナンパを最適化するだけにしては過剰な分析や見立てがあります。常にここまで細かく考えているわけではないので、あくまで探求心・知的好奇心を満たすための書であることを念頭に置いて読んでください。

 まだこの試みは始めたてホヤホヤ赤ちゃんであり、完成までに程遠い時間がかかるため、コメント欄などでご意見いただけると嬉しいです。以下、思考をなるべく簡潔に記すため以下敬体→常体に変わります。

第一章.ゲーム理論の基礎知識

 まずは本書のタイトルにもあるゲーム理論を概説する。ゲーム理論を既に知っている方は、「2.コンビナンパへの適用」へスキップ!

 ゲーム理論とは、「ジョン・フォン・ノイマン」というアメリカの数学者が考案した、ミクロ経済学数学の一分野であり、複数プレーヤーが関わる意思決定の問題や行動の相互依存状況を数学的なモデルを用いて研究する学問。ある集団の中でプレーヤーが採った戦略の帰結としてどのように利得・損失が生じ、集団全体としての利得はどのようになるかなどを考察する。中でも「囚人のジレンマ」は最も親しみの深い思考実験として名高い。

1-1. 囚人のジレンマ

 ゲーム理論の最も身近な例として囚人のジレンマを紹介する。6000万回くらい聞いたことある人もいるだろうからそんな人はSkip推奨

[結論]
・個々人が自己の利益最大化オプション(支配戦略)をとった状態(ナッシュ均衡)が全体の利益最大化(パレート最適)になるとは限らない

[状況の前提]
・1人が自白し、もう一方が自白しない場合、自白した方は無罪・自白しない方は懲役10年
・2人共自白しない場合は懲役2年
・2人共自白した場合は懲役5年
・刑期の最小化=全体利益の最大化

[ゲーム理論的な帰結]
・パレート最適*は2人とも自白しない(総刑期=2年+2年=4年)
・ナッシュ均衡**は2人とも自白する(総刑期=5年+5年=10年)
 =パレート最適よりも+150%の損失が発生

*パレート最適:資源が最も効率的に配分され、集団の利益が最大化されている状態(誰かの状況を改善しようとすれば、他の誰かの状況を悪化させることになる状態)
**ナッシュ均衡:他のプレーヤーの戦略(オプション)を所与とした場合、どのプレーヤーも自分の戦略を変更することによってより高い利得を得ることができない戦略の組み合わせ(雁字搦め状態)

 このようなジレンマ=集団利益の喪失が発生するからこそ、「ルールによる制御」が必要、というのが公共経済学の超ざっくり大枠の趣旨であり、コンビナンパにおける最適解もそこにあると考える。

 囚人のジレンマは、参加人数2名かつゲーム回数:1の簡単なモデルであるが、参加人数が増えても基本思想は変わらない。

1-2. 繰り返しゲーム

 上記囚人のジレンマは「1回きり」だからこそ生じる解であるが、繰り返しゲームになると結果は異なる。繰り返しゲームにも、
➊有限繰り返しゲーム(回数制限あり)
➋無制限繰り返しゲーム(なし)
 と2種類あるが、いずれにせよ、「1回きり」のゲームとの違いは「トリガー戦略」を打てるということである。トリガー戦略とは「こう来たらこう」、つまり、相手の採択した戦略に応じて、自分の戦略を決定することで、主には、最初は協力するが、あるレベルの裏切り(=トリガー)が観測された場合、相手を罰するというものである。

1-3. 財の類型

 経済学では財(Goods)を4種に定義している。なかでも「公共財ゲーム」といわれる分野はフリーライダーなどの問題で知られ、現行の公共経済学・政策分野においても活用されている。

 コンビナンパは厳密には「案件👩」という競合性(=どちらかが利用すればもう一方は利用できない性質)のある財(乱、パスは除く)で限られたリソースを消費するゲームであるため、公共財ゲームではなくクラブ財ゲームである(以下図)

1-4. ゲーム理論主要概念まとめ

 ここでゲーム理論・公共財ゲームにおける重要概念をまとる。第二章「コンビナンパへの適用」で使われる概念でもあるため、覚えよう。

社会的ジレンマ(social dilemma):全ての人が協力した方が良いにもかかわらず、個人の利益と全体の利益が相反するため、個人にとって最適な結果を得ることを優先して協力せず、結果として全体に不利益をもたらす問題

コモンズの悲劇(Tragedy of the commons):そのような社会的ジレンマがある状況で、全体の利益に反して個人の利益を優先して制限なく自由に行動した結果、共通の資源を枯渇させてしまうこと

支配戦略(dominant strategy):他のプレイヤーの戦略の選択によらず他の全ての戦略以上に高い利得を得られる戦略

ナッシュ均衡(Nash equilibrium):すべてのゲームの参加者が自らの利得が最大となる最適な戦略を選択し合っている状態。

パレート最適(Paretian optimum):全体の利益が最大化された状態。厳密には、1つの資源配分を選択するとき、集団内の誰かの効用を犠牲にしなければ他の誰かの効用を高めることができない状態。また、誰の効用も犠牲にすることなく、少なくとも一人の効用を高めることができるとき、新しい社会状態は前の社会状態をパレート改善 (Pareto improvement) するという。言い換えれば、パレート効率的な社会状態とは、どのような社会状態によっても、それ以上のパレート改善ができない社会状態のこと。

繰り返しゲーム(repeated game):何度も繰り返されるゲームをそれ自体1つのゲームと見たものである。有限回繰り返しゲーム(finitely repeated game)、無限回繰り返しゲーム(infinitely repeated game)がある

トリガー戦略:(こうきたら、こう!)

協力ゲーム(cooperative game):
複数のプレイヤーによる提携 (coalition) 行動が可能であるとされた場合のゲーム。拘束力のある合意に基づく。

非協力ゲーム(noncooperative game):プレイヤーが提携しないゲームを指す。プレイヤーが拘束力のある合意を形成する制度的な枠組みがない場合、そのゲームは非協力ゲームである。

公共財ゲーム:
公共財についてゲーム理論的に記述したもの。協力行動に関する分析の枠組みとして用いられる。様々な状況における自発的貢献メカニズムの解明やある状況における経済行、政治行動、政策的意思決定の分析にかかわる。

Contributors and Free-Riders in Collaborative Governance: A Computational Exploration of Social Motivation and Its Effects

第二章.コンビナンパへの適用(単純なモデル)

 ここからは、コンビナンパにおける適用を、乱・パスを含まない単純なモデルで考える。

【問題の解釈】

2-1. ナンパ師のジレンマ

 たとえば、スト高👩+スト低👩の組み合わせ案件に対し、コンビ側にとって「スト高を攻略することだけ」が利得であり、スト低へリソースを割くことはただの損失である(中長期の繰り返しゲーム[後述]を考えない)と認識している場合、各々が自己利得を最大化させようと行動すると、囚人のジレンマと同様のナッシュ均衡解が生じる。

ナッシュ均衡の図(作成中)

 コンビナンパをするナンパ師をA,Bと置き、それぞれの支配戦略をみると、、(数値仮置き)

■ナンパ師Aの支配戦略
(ナンパ師Bがスト高に行く場合)
i)スト低に行く:-2
ii)スト高に行く:0(奪い合い、結果としてどちらも即れない)

(ナンパ師Bがスト高に行く場合)
i)スト低に行く:0
ii)スト高に行く:+3

いずれにせよ ii) > i) となり「スト高に行く」が支配戦略

■ナンパ師Bの支配戦略
Aの裏返しで同様

■ナッシュ均衡解
戦略:A スト高に行く、B スト高に行く
利得:A 0、B 0

 ナッシュ均衡は「両方がスト高に集中し、結果として破綻する(効用+0)」、つまりナッシュ均衡=チームの最大利益ではないことがわかります。

2-2. フリーライダー問題

 片方が「超いいやつ」だとした場合でもフリーライダー問題が生じる。コンビの一方が「相方に気を遣う奴」として、スト高担当権(重要なのは、これがコンビで協力することによって生産される財であること)を率先的に相方に譲るケースがあるとしても、もう一方がフリーライダー(ただ乗り野郎)である場合は、自分がコスト(スト低担当義務)を払わず、永遠にスト高担当権を享受することになる。

 チーム利益としては短期的には最大化されるが、公平性がないため、コンビ解消のインセンティブが働き結果、繰り返しゲームにおいてコンビは破綻する。サステイナブルではない。どちらかがフリーライダーである場合は中長期でチームの利益最大化を実現することは難しい。

コラム:最高の仲間 修也
 NSJは修也といいう超いいやつに甘えてしまい、スト高を何人か即らせて貰っている(フリーライダー状態)。この大きな借りはExcelにメモしてあり、コンビナンパもしくはコンビナンパとは別のことで必ず還元しようと考えている。

【パレート最適解の探索】

2-3. 財とコストの定義

 コンビナンパを公共財ゲームとして考えるために、まずは何よりも「財」「コスト」を定義する必要があり、以下の様に定義する。(±は効用・損失計算用の目安置きパラメータでコンビ相手と交渉して都度合意すべし)

(財・コストの定義例)
財1:
スト中以上の担当権
 スト高担当権 +3
 スト中担当権 +1

コスト1:スト低の担当義務
 スト低担当義務 -2

コスト2:飲み代
 2,000円の出費 -1

 ここでの重要なポイントは、財はあくまで「担当権」であって、「即れること」ではないということである。なぜならば、

 ①コンビ案件にリーチする→②スト高を担当(させて頂く)→③スト高を即る(キモチェエエエエ!!!)

 というプロセスがある中で、①~②はコンビ相手との折衝で決まるが、③は完全に自分の実力次第だからである。③までを財として定義してしまうと、口説きの実力を加味したうえで公平な財配分(=即数ベースでの配分)を行わなければいけなくなる。それはまさしく、デェエエエエエエエエエン!!な思想で、強い方にコンビ解消インセンティブが働き、また弱い方の実力が育ちにくい環境になってしまうため非推奨。

出所:デェエエエエエエエエエン!!

2-4. シナリオ・スコープ定義

 コンビナンパとはいっても、コンビ案件👩👩の組み合わせは複数あるため、それぞれにおいてどのような財・コストが市場に"発生"し、どのような戦略(リソースの投下有無・程度)を採択すべきかを考え、合意しておくべきである。

Case:NSJ↔まじおのコンビ条約の例
スト低+スト低 ←声掛けスコープ外
スト中+スト低 ←声掛けスコープ外
スト中+スト中 ←声掛けスコープ
スト高+スト低 ←声掛けスコープ
スト高+スト中 ←声掛けスコープ
スト高+スト高 ←声掛けスコープ

 ここでは、概略方針を合意するためにスト値のメッシュを3段階(高・中・低)で考えているが、より細分化して定義することで、より認識齟齬が生じにくくなる。

 また上記Caseにおいて、「スト低担当義務」が発生するのはスト高+スト低案件★の場合のみであり、それ以外の声掛けスコープにおいては担当義務系のコストは考えていない。

 ちなみに、スト高+スト中のような、「両方がスト中以上ではあるが、案件に格差がある場合」でも不公平(効用格差)は発生するものの、双方の効用がプラス状態であるため、コンビ解消となるほど深刻な問題とは考えていない。


2-5. 公共財協力ゲーム

 なぜならば、コンビナンパで生じる「ソロでアプローチできない可愛い子を攻略する権利」は、最高の仲間と協力することによって生産される「公共財」だから。(1回限りでみればコモンプール罪だが、複数回単位でみれば公共財。乱やパスが有効であれば、いずれにせよ公共財。)

 ちなみに、協力ゲームとは、複数のプレイヤーによる提携 (coalition) 行動が可能であるとされた場合のゲームである。提携行動を行うためには、事前の交渉と互いに拘束力のある合意(第三章にて後述)が必要であると考えられている。

 ちなみに、この考え方にしたがって、協力ゲームを交渉を行う非協力ゲームから説明しようという研究計画をナッシュプログラムという

2-6. 繰り返しゲームの最適解

 コンビナンパにおける「スト高担当権」の委譲は、以下の様になると思いがちである。

1回目:Aスト、Bスト低
2回目:Aスト低、Bスト
3回目:Aスト、Bスト低
4回目:Aスト低、Bスト
5回目:Aスト、Bスト低

 しかし、この交互モデルには「Aがスト高担当回数の累計において常にリードしている」という偏りが発生し、また通常、コンビはどちらかの引退などによりいつか終了するため、上記の例だとA>BもしくはA=Bの状態で終了し、A<Bがありえないためその点において不公平。そこで、

1回目:Aスト、Bスト低
2回目:Aスト低、Bスト
3回目:Aスト低、Bスト
4回目:Aスト、Bスト低
5回目:Aスト、Bスト低

 のようにすることで、累計スト高担当回数がA>B, A=B, B>A A=B…と交互になりより公平性の高いスキームになるかも。

第三章.コンビ条文の例

 あくまで草案としてドラフトしたものなのでご自由に編集して使ってください。

ー草案―

第一条.案件定義
 ナンパにおける案件スコープを以下の通り定義する。
スト低 スト低 ←スコープ外
スト中 スト低 ←スコープ外
スト中 スト中 ←スコープ
スト高 スト低 ←スコープ(第二条発生)
スト高 スト中 ←スコープ
スト高 スト高 ←スコープ

第二条.補償
 飲み屋ナンパにおけるスト高+スト低案件で、自分がスト低を担当し、セパレートに成功した場合は、その際の飲み代は一切負担しなくて良い。案件の双方が可食内であれば補償義務は発生しない。補償が発生する程度は事前に打ち合わせるものとする。

第三条.スト高担当権の交代
 スト高担当権は、セパが行われ30分以上が経過した時点を基準として交互に入れ替える。その際、スト高担当がスト高案件を即れたかどうかは考慮しない。

第四条.スト高担当権の例外処理
 第三条において、スト高案件の食いつきがスト低担当の方に強くある場合は担当を入れ替える(席も変える)。

第五条.セパ→即の制限時間
 セパレート成功後、30分以内に即れなかった場合は放流する。

おわりに

 以上、簡易なモデルで考えてみた、思い付きベースの「ゲーム理論 x コンビナンパ」理論ですが、実態を正確に捉えるためには、より多くの変数をより高い解像度で考慮する必要があります。

 無料noteですが、参考になった・面白かったという方はスキ+引用RTで感想もらえると喜びます。

関連リンク

 ちなみに、コンビナンパが成功し、セパれた後は、「英国紳士ルーティーン」による搬送でほぼ確で即れています。

 納涼船のコンビナンパはこちら参考

 ナイトプールのコンビナンパはこちら参考

/終

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