就活も苦労しなかった

突然だが、私は苦労をしたことがない。

本気で何かを頑張ることとは程遠い人生だったし、きっとこれからもそう。

適当に生きて、市内で1番頭の悪い公立高校に通って、欠点を取ってみたり、くだらない理由を添えた遅刻届けを大量に書いてみたりしながらFラン大学を第一志望にした。

そんなFラン大学の中でも最下位争いをしながら就職目前のところまでやってきた。やってきてしまった。

自分に合わないアルバイトはことごとく辞め、自分に合うアルバイト先に入社できたものの、最初は週20時間の勤務だったのが今では週に6時間。

ヘルプ先の研修が終わった瞬間「パンプスは足が痛いのであんまり履きたくないです」と我儘っぷりを披露し、そこにヘルプで行かなくていいようにしたし、インナーカラー を入れたいとかいうアホみたいな理由で繁忙期に有給を乱用して長い休みを満喫した。

インターンや大学主催の就職ガイダンスは「大学院に行くので」の一言で全部蹴ったくせに院試対策の授業は早々に受講をやめた。

そんな私が大学院に行くはずもなく、試験すら受けていない。

自分が就職する未来が見えなかった。

学校にすら遅刻せずに毎日通えない私が、真面目に授業を最後まで受けれない私が、課題を期限までに提出し損ねる私が、毎日会社に行って仕事ができるはずないと信じて疑わなかった。今でも就職なんて私には無理だと思っている。

結局私は就活を経験することなくバイト先に思ってもいないことを長々と書き連ねた紙を1枚提出して、出勤前に30分雑談のような面接をして、就職を決めてしまった。

春からバイト先が就職先になるらしい。

「就活どんな感じなんですか?」

と、バイト先の後輩に聞かれた。

「ここに就職するんだよ」

とは言えず適当に濁してしまった。
別に今話す必要もないと思ったし、なんだかちょっと恥ずかしかった。

入社直後、大学1年の冬に「絶対就職したくない場所」と話していたボーナスのない月給15万7千円のこの会社に就職するなんて思ってもなかった。
いや、心のどこかで「ダメだったらここでもいいや」みたいな投げやりな気持ちはあったかもしれない。

友人が大学院への進学準備や有名企業へのインターンを行なっている間、私はただ何もせずゆっくり遊びながら生きていた。

そのツケが回ってきたのだ。当然のこと。

自分の人生に今のところ大きな後悔はない。
大きな後悔はないけど、小さな後悔は死ぬほどある。
その後悔がこの先もどんどん積み重なって、そのうち取り返しのつかないほど大きな後悔になるんだろうなと思う。
それでも私は頑張らない道を選んでしまう。現状に満足してしまう。

頑張れることは才能だと思う。
才能だなんて諦めのような言葉でまとめてしまいたくないが、今の私の語彙力ではこれが精一杯。

そしてその才能を持った人が最終的に幸せになれるんだと思う。

彼氏と長続きしてるあの子も、大手企業に就職するあの子も、結婚してこどもがいるあの子も、可愛いあの子も、やっぱり頑張ってる。努力してる。

素直にすごいと思う。

私もいつか頑張れるだろうか。
頑張らなきゃいけない日をことごとく避けて通ってきた私に頑張れる日が来るのだろうか。

ハンドメイド販売とか携帯小説でも始めようかな。